文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープその40 織田作之助

織田作之助は日本の小説家です。通称、織田作(オダサク)。

大阪の下町情緒溢れる作品を書くことで知られています。

代表作は『夫婦善哉』『世相』『可能性の文学』など。

 

大阪の仕出屋が実家で、大学は三高(今の京大)。

これは当時異例のことだったそうです。

もともとは劇作家志望だったそうですが、スタンダールに影響を受けて小説家へ。

太宰治坂口安吾とともに無頼派と呼ばれるように。

この三人で無頼派三羽烏と呼称するらしい。

カレーライスが大好き。もちろん大阪の混ぜカレー。

身体が弱く、学生時代から喀血していた。

のわりに普段からヒロポン(薬物)を常用していたとか。

最期は結核で33才で逝去。

 

織田作といえば大阪の庶民文化を描いたことで知られていますが、

本当にすごいのはそこだけじゃない。

織田作は嘘つきです。ただ、面白い嘘つきだけど。

評論『可能性の文学』の中で

「嘘つきでない小説家なんて、私にとってはおよそ意味がない」

と織田作は言っています。

ようはフィクション(虚構)を作品内に取り入れるかどうかなのですが、

今でこそ小説内でフィクションを語ることは当たり前ですが、

当時の私小説全盛期の頃は、どうも作品内に虚構を入れるなどケシカラン、

となったようで。

織田作作品の中に著者自身が主観の小説(『木の都』『世相』とか)があるのですが、

あれは恐らく、大半が嘘です。

さすがに全部嘘ではないけれど虚実織り交ぜ。

とくに『木の都』なんかは私小説のパロディではないかとも思うほど。

嘘なんですが、あたかも全部本当のことのように書いてある。

それが面白い。まあ当時の文壇的にはケシカランのでしょうが。

他にも、元劇作家志望だけあって映画の脚本やラジオドラマの台本など、

声に出して読む小説を手がけたこともあります。

お偉いさんを無視してまで新しい試みをする面もある。

そりゃ無頼派と呼ばれるわけやわあ。

 

ちなみに、文アルにて当図書館の初期文豪。

コテコテ関西弁の気の良いあんちゃんですが、実際は・・・?

 

織田作之助(1913/10/26 出世時間不明)

蠍座の太陽、乙女座の月(確定)。

意外と蠍座と乙女座。案外真面目だったのかな、と思ったり。

乙女座はもちろん、蠍座も生活の匂いがする話は嫌いじゃない。

というより、観察眼があるためか、

よく見ている身近な場所を題材にするのかなあ、と思います。

あまりファンタジーすぎて地に足が着いていない話は書かない印象があります。

乙女の月(なぜかロマンチックに聞こえる)も、

石川啄木室生犀星(推測)、佐藤春夫、海外だとトルストイモンゴメリ

まあ何か共通するところがありますね。やっぱり生活感かな。

ちなみに織田作の『俗臭』は室生さんの推薦で芥川賞候補になっています。

あと織田作が尊敬していたスタンダールも乙女座の月。

生活感といえば、蟹座にも火星があります。

さすがだなあ。

 

ちなみに、1900年から10年ほど猛威を振るった天王星海王星のオポは

織田作の時には天王星水瓶座に移動しつつ、まだオポジション圏内です。

そして、そこに蠍座の太陽が加わってTスクエアを結んでいます。

可能性の文学、っていうのはここから来ているんじゃないかと思います。

何せ、天王星水瓶座のルーラーです。威力十二分。

今まで天王星山羊座に入ってた世代とは少し違っていて、

山羊座天王星は反権威というか、固まった社会や伝統に対する反抗という感じで、

水瓶座はその常識を壊した後にどう新しいものを築いていくか、

という感じかなあ、と思います。

織田作は他の無頼派とはちょっと毛色が違うのかもしれない、とも思う。

ただ、織田作の嘘つき部分はこれだけじゃないよなあとも思います。

個人的には双子座の土星が怪しいと思っているのですが。

双子座はフィクション大得意(例えば太宰とか)です。

まだ確証は持てていませんが。

 

余談ですが、前述した『可能性の文学』の

「キャッキャ」の話がとても面白いです。

作家ってこんなもんかあ、とも思いましたが。

 

文豪とホロスコープその39 中島敦

中島敦は日本の小説家です。

中島敦といえば眼鏡と『山月記』。

だいたいの人が知っているのは、高校の教科書で『山月記』の作者としてと思います。

代表作は『山月記』『光と風と夢』『かめれおん日記』など。

 

中島敦は代々続く漢学者の家に生まれました。ちなみに長男です。

祖父を始めとして親戚に漢学者が多いという漢学者一家でした。

2才の頃に両親が離婚し、母親と離ればなれになります。

継母と馴染むことができず、孤独な少年時代だったと言われています。

学校の成績はよくて、神童とも呼ばれたらしいですが、

母親の不在が影を落としているようです。

寂しさを紛らわすために、猫を抱っこして寝るのが好きだったらしいとか。

大学卒業後は女子学校の教師になり、

その後、役人になった友人の紹介で南国のパラオに赴任します。

しかし、長旅が身体に障ったのか、帰国後に喘息で亡くなりました。

山月記』が教科書に載ったのは、その役人になった友人の助力があったため、

とも言われています。

 

中島敦というと代々学者の家に生まれて、東京大学卒業で、

大学卒業後は女子校の教師になった(しかも顔が良い)ということから、

スマートな優等生のようなイメージがありますが、

意外と大学時代はかなり荒れていました。

授業には出席せず、麻雀やダンス、乗馬や将棋に没頭、

しかも大学時代に女性と同棲して結婚もしています。

完全に大学デビューです。

女子校の教師も、本当は小説家になりたかったこともあり、

内心は複雑だったようです。

山月記』では李徴が自分の自尊心のせいで虎に変わりますが、

中島敦自身もけっこう闇を抱えていたようです。

 

中島敦(1909/5/5 出生時間不明)

牡牛座の太陽、蠍座の月。

さらに太陽と金星がタイトにコンジャクション、

そこに水瓶座の火星も加わってTスクエアです。

いかにも自分の存在に葛藤がありそうな感じ。

中島敦には『かめれおん日記』という作品があって、

その中に預かったカメレオンを見て、自分の中の矛盾を考えるという場面があります。

それに似てる状況なのかもしれない。

また、『山月記』で李徴は高すぎるプライドのせいで虎になってしまいます。

太陽と金星のコンジャクションは美や才能を得る反面、

自意識高めで強いプライドを持つ、という傾向もあります。

しかも蠍の月もけっこうプライド高い、かつ負けず嫌い。

どうにか本心を隠してスマートに振る舞うのに苦心していたのでは?と思います。

この配置は、猫を被って虎を隠しているように見えてしかたないですね。

 

大体1905年から10年くらいの間の世代には

天王星海王星オポジションがありますが、

中島敦にもあります。

しかも、牡羊座土星が加わってTスクエア。

同年生まれの太宰治と同様です。ていうか、一ヶ月くらいしか違わないのか。

『かめれおん日記』や『悟浄出世』(西遊記沙悟浄が主役、面白い)などの中で、

「本当の自分がわからない、自分らしくいられる居場所がない」

という悩みが出てきます。

牡羊座土星は自分らしさや自己主張することに対して制限がかかります。

牡羊座は戦うことや自分らしくあることが得意な星座ですが、

周りの空気や環境のせいでそれができなかったのかもしれない。

言うより前に自分から引っ込めてしまうタイプ。

例えば小説家になりたかったけれど、それが叶わなかったとか。

わかってもらえないだろうから、失敗するかもしれないから、本当のことは言わない。

これも『山月記』の李徴と一致します。

虎の一部かもしれません。

中島敦のホロで、火属性は土星だけですしね。

地属性が強めです。

中島敦は水星も牡牛座なのですが、

それっぽいですね。

泉鏡花が好きだったらしいですが、

どちらも地属性強めだからかなあ、と思います。

地属性強いと、古文や漢文や匂いがします。

 

参考資料:

中島敦山月記伝説」の真実』島内景二、文春新書、2009年

文豪とホロスコープその38 太宰治

太宰治は日本の小説家です。

坂口安吾織田作之助石川淳らと戦後に無頼派として活躍した作家です。

日本三大文豪に挙げられることもあり、日本を代表する作家としても良いでしょう。

代表作は『走れメロス』『斜陽』『人間失格』など。

 

前にも書きましたが、

自分は太宰治があまり好きではありません。

才能は凄いと思いますが、なんかこう、理由なくイラっとくる。

言葉に棘が混じらないように気を付けますが、たまに悪口になってるかもしれません。

にしても、前回とえらい温度差だな、これは。

 

えー、太宰治は青森出身です。

大地主の家系で、父親は衆議院議員貴族院議員を務めた大人物で、

11人兄弟の末っ子(六男)でした。

小学校の頃は成績優秀で、特に作文が得意だったそうです。

ちなみに、太宰治ペンネームで、本名は津島修治と言います。

これは津軽弁では津島が「チシマ」に聞こえるのが嫌だったから、

と、師匠の井伏鱒二が解説で言っていました。

中学校の頃からファッションに凝り出すなど、

名前も含めて、かなり格好や他人からどう見えるかを意識しています。

ナルシスト野郎です。

 

太宰治といえば、自殺未遂と薬物中毒と心中です。

就職の失敗での自殺未遂やらカフェの女給と心中未遂やらをして、

入院した先の鎮痛薬で薬にはまったりで、

最期は家族を残して、愛人との心中です。

自殺の理由に関して諸説あります。

ちなみに酒が大好きで、安吾は心中について、

酒に泥酔したノリでやったのではないか、ということを書いていました。

(『太宰治情死考』より)

 

自殺・薬物・心中という三点セットのせいで病んでる暗い人物と思われがち?ですが、

実際は話好きで明るい人物だったとか何とか。

しかし、本当のところはわかりません。

この人、根っからの大嘘つきですから信用できない。

 

太宰治が尊敬していた人物は師匠の井伏鱒二芥川龍之介でした。

とくに芥川龍之介は大ファンで、名前の付いた芥川賞が欲しくてたまらなかった。

だから、選考委員だった川端康成やもうひとりの師匠の佐藤春夫に手紙を書いた。

佐藤さんへの手紙が4mあったことから必死さが伝わってきます。

反対に、志賀直哉の文学には大反発し、『如是我聞』という批判文章を書きました。

内容はまあ半分以上ヒステリーみたいなもんですが、面白いです。

とりあえず、志賀直哉が嫌いなことは伝わった。

 

と、けっこうなロクデナシですが、なぜか女にはモテました。

家族の他に愛人が何人もいて、心中したのも愛人のひとり。

どうしてこんな男に惹かれるのか、理解に苦しみますが・・・

 

けれど、彼は良い作品を書きます。

短編から長編まで、シリアスからユーモアまで幅広い。

上手いことオチが付いている上に、考えさせるような面白い話を書きます。

しかも文章が上手い。

人間性はともかく、作品は面白いです。

 

太宰治(1909/6/19 出生時間不明)

双子座の太陽、蟹座の月(確定)。

双子座の太陽には水星と冥王星がコンジャクションしています。

この部分で推測できることがいくつか。

まず、単純に文章力だったら日本屈指として良いかと思います。

志賀直哉のような簡潔な文章ではなく、むしろ谷崎潤一郎に似た、

面白く読ませる文章なのではないか、と思います。

しかも水星は逆行。思考をまとめるのに時間がかかる代わりに、

逆行の方が書き仕事に向いていると言われます。

太陽と水星のコンジャクションはサイン別で個性が出ますが、

双子座の太陽水星コンジャクションの作家では、

たとえばフランスの女性作家のサガンがいます(ちなみに彼女も水星逆行)。

どちらも句読点を多用した独特のリズムのある文章を書いていて、

かつ内容はきっちり伝わってくるという離れ業。

ところで、双子座はフィクションの天才です。サガンもそうですが、

双子座は頭の中で思考した事を書けるため、実際にあったこととは限らないようです。

作家としてはほんと、羨ましい限りでしょう。

 

太宰も、太陽が水星とだけコンジャクションしていれば良いのですが、

冥王星もいます。というより、こちらの方がタイト。

どうも、嘘を吐くやら自殺未遂やら心中やらはここに由来する気がします。

双子座は躁鬱性気質で、明るい時は良いのですが、落ち込んだらどこまでも暗くなる。

いわんや、冥王星が絡めば、どこまでも考えすぎるのは必至。

冥王星と太陽、水星がコンジャクションすると、

深刻に捉えすぎ、考えすぎな傾向にあります。やたらネガティブな方向に。

けれど、周りの空気は暗くしたくないから、

双子座は気を使って、わざと明るい風にふるまいます。

だから、太宰治が普段明るかったというのも、

自分は半分演技じゃないかと思っています。

多分、自分でも何考えているのか分からなかったかもしれません。

明るい顔なんてせずに、本当に辛いなら辛いと言えばいいんです。

この人のこういうところが嫌いです。

 

嫌いなわりに気づいたら二千字超も書いてました・・・

まだ太陽周辺しか書いてませんが、さすがにこの辺りで止めておきます。

ていうか、好きな人以上に嫌いな奴の方が語れるって、どういうこと?

おのれ、太宰め・・・

 

文豪とホロスコープその37 中原中也

中原中也は日本の詩人です。

30才とかなり早めに亡くなりましたが、死後に再評価が進みました。

代表作の詩集は二つだけで『山羊の歌』『在りし日の歌』、他翻訳など。

詩では「サーカス」とか「汚れつちまつた悲しみに・・・」とか。

「サーカス」の「ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん」とかはよく取り上げられてます。

すみません、今回長いです。

 

出身は山口県の温泉街で、医者の家の長男でした。

跡継ぎとして大切に育てられたそうですが、しつけは厳しかったようです。

8才の時に死んだ弟のために詩を作ったのが初めての詩作。

中学校に入って文学の他、酒や煙草をやって荒れ始めます。

16才の頃に女優の長谷川泰子と出会って同棲、

彼女と一緒に上京しますが、親友の小林秀雄の元に行ってしまいます。

しばらくは東京で酒を飲んだり詩を作ったりしていましtが、

遠縁の女性と結婚し、息子も生まれます。

中原さんは息子を大層可愛がっていましたが、2才の時に病気で死んでしまいました。

それがきっかけで精神を病んでしまい、30才の若さで亡くなります。

 

中原中也といえば、まずは酒乱ですね。

酒癖が悪く、酔っては暴言を吐いたり人を殴ったり。

太宰治が絡まれた事件が有名ですが、

親友の安吾と出会った時の話が面白いです。

よく分からないけれど、安吾ヘゲモニーで偉いらしい。

そういや、独特な罵り方をする人で、

太宰治は「青鯖が宙に浮かんだような顔」をしているらしい。

・・・どんな顔? 魚っぽいってこと? 何か分からないでもないけれど。

 

あとは、宮沢賢治が大好きで、

投げ売りされていた賢治の詩集を読んで感動して、

買い集めて、色々な人に配っていたそうです。半分押し付けで。

好きなものや人には純情なのかもしれない。

 

ところで私事ですが、

わたしは、文アルで一番中原さんが好きです。

むしろ、もっと知りたくて他の漫画にも手を伸ばしたというか・・・

見た目と性格のギャップやら、強そうに見えて意外と繊細とか、

自分では格好いいと思っているだろう絶妙に変なセンスとか、

とにかくもう、かっこかわいい。

中二病溢れる詩もかっこよくて好きです。

中原さんは中二病ですよね? 

中学の時に学校にサングラス掛けてったって聞きましたけれど。(『文豪失格』より)

でもわたしが一番好きな詩は『また来ん春・・・』です。切ない・・・。

 

中原中也(1907/4/29 出生時間不明)

太陽は牡牛座、月は蠍座(確定)。

時間不明なので12時でホロは作ってるのですが、

ひょっとしたら太陽と月がオポジションかな、とも思っています。(分かりませんが)

太陽と月がハードの人はたまに親を早く亡くしたり家庭が不和だったりしますが、

中原さんの場合は、教育方針がかなり厳しかった。

近所の子供と遊ばせなかったり、勉強が出来なかったら納屋に閉じ込めるとか、

過保護&体罰です。

しつけにしても厳しかったのでは?

同じ蠍月の安吾や、二つ下の中島敦(しかも同じ太陽牡牛・月蠍)もそうですが、

蠍座の月は小さい頃に苦労というか、「自分」を圧殺されるような経験があるのかも。

中学、高校になって不良になったのも、それに反発していた意味もあるのかも。

 

にしても、のんびりやの牡牛座? かとおもいきや、水星と金星は牡羊座inです。

自分としては、中原さんの特徴である、

低身長(150㎝前後)と暴言暴力と聞いて、牡羊座がぱっと浮かびました。

牡牛座はどちらかといえば穏やかなイメージがあるのですが、

水星や金星が牡羊に入っている牡牛は別です。

牛の頑固さに羊の自己中と衝動的に行動する癖が加わって、

下手すると本家羊より羊らしい。

萩原朔太郎が中原さんのことを「短刀を懐に入れた子供」と言ったらしいですが、

まさにそういう感じ。

牡羊座は自己中心的で暴力的と言われますが、案外繊細で純情です。

人間が怒る時は自分の欲求が叶えられなかった時なわけで、

正義感が強くて子供みたいに素直だからこそ傷つきやすいわけで、

あー、やっぱ好きだわ。

 

中原さんのホロを、ひとことで言えば「反抗」です。

山羊座の火星と天王星

蟹座の木星海王星

牡羊座の水星、

でTスクエアです。

天王星海王星のオポは同世代に共通していますが、

一番影響が強いのはこの人でしょう。

安吾にも天王星木星海王星のオポはありましたが、そこに火星が加わります。

これ単体でも結構きつい。

火星と天王星のコンジャクション(しかもほぼゼロ)はストレスが半端ないようで、

中原さんも酒が止められなかったり、ノイローゼになったりしています。

そこに蟹座の木星海王星オポジション

もうどうしようもない。

ストレスから逃れるために酒止められなくても無理はないと思う。

Tスクエアはスクエアが集中する星が重要になるのですが、それが牡羊座の水星です。

牡羊座は12星座の一番目で、アイデンティティや自己を意味します。

蟹や山羊が意味する歪んだ常識や良識、腐った伝統やらに対して、

羊が真っ向から「自分自身」を主張しての反抗・反逆って感じです。

見ていて、とても爽快です。

自分は、中二病とは自己主張の賜物だと思っているのですが、

第一詩集の『山羊の歌』はそういう傾向があるなあ、と思います。

とくに「羊の歌」というのがあるのですが、タイトルからしてもう羊。

内容もこのTスクエアっぽくて好きです。一番の大作かもしれない。

ただ、ホロ自体は痛ましい。傷つきやすい水星に大惑星が集中しているから。

本当は傷つきやすいくせにあえて喧嘩を売って、生傷絶えない感じ・・・

 

他にも恋愛のことやら絶妙なセンス(とくに帽子)のことやら、

詩のことについて語りたいのですが、

ただでさえ長くなったので、この辺りで終わります。

火属性として言わせてもらうと、中原さんの詩はいいぞ・・・!

 

文豪とホロスコープその36 坂口安吾

坂口安吾は日本の小説家です。

戦後に無頼派、新戯作派と呼ばれたグループの旗手のような人です。

小説以外にも文化評論、随筆、推理小説、忍者活劇ものと幅広く書いています。

代表作の『堕落論』も文化評論で、

「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ」(『堕落論』より)

というフレーズが有名です。

代表作は『堕落論』『桜の森の満開の下』『不連続殺人事件』など。

 

無頼派というのは他に太宰治織田作之助などがいて、

酒を飲んだり、薬(ヒロポンという)をやったりと、

まあ反権威主義です。今だったら間違いなくしょっぴかれてます。

なぜか皆、志賀直哉が嫌いです。

安吾も大酒を飲んで暴れて留置場に入ったり、

ヒロポンで眠らずに作品を書きまくったりとかなりやらかしています。

他にもカレーライスをなぜか一〇〇人前頼んだりと、

破天荒な人だったようです。

 

坂口安吾(1906/10/20 出生時間不明)

太陽は天秤座、月は蠍座か射手座。

意外と太陽は天秤座。

評論でも何でも、案外真面目に書いています。

破天荒な普段はともかく、文章に関しては大真面目。

というか、多少理屈っぽいところがあるのかな?

 

おそらく月は蠍座じゃないかなあ、と思うのですが。

蠍座の月は、両親や実家に対して複雑な思いを抱いている人が多いのですが、

安吾は母親に反発心を持ち、父親からは冷たく接されたと書いています。

母親を困らせるためだけに家の物を盗んだり、ガキ大将として遊び回っていました。

後に気づくことには、実は母親のことを愛していたそうですが。

蠍座の月は何かと濃くて、愛憎半ばする、良くも悪くも複雑な感情です。

 

安吾のホロはかなり派手めですが、

蠍座の水星、

魚座土星

蟹座の木星海王星

そして山羊座天王星

という水のグランドトラインからのカイトがハイライトです。

 

蟹座の海王星山羊座天王星によるオポジションは、

安吾を始めとして1913年生まれの織田作くらいまで続きます。

この大惑星同士のハードアスペクトは1867年頃の

天王星海王星のスクエア以来の事です。

だからかわかりませんが、この6,7年くらいはキャラの濃い文豪が多い。

山羊の天王星と蟹の海王星は、古いものに抵抗するというか、

わかりやすく反権威、カウンターカルチャーって感じですね。

堕落論』の堕落とは、誤解されやすいですが、

外から押し付けられた常識や良識、場合には「古き良き伝統」を捨てることです。

そんなものは本当の自分ではない、それにこだわる必要はない。

らしいじゃないですか。

また、安吾海王星には木星が被ってます。

天王星海王星のオポは酒や薬などの中毒に注意なのですが、

物の見事に、どっちにもはまってます(笑)

拡大の星の木星だったら、もうどうしようもなさそうですね。

ちなみに、翌年生まれの中原中也も酒に関して有名。

似たもの同士だからか、仲が良かったらしいですね。

 

さて、水のグランドトラインですが。

安吾が文章の中でよくよく語っているのは、

人間について、さらに人間の生活についてです。

綺麗事で済まない、人間の生の生活を直視して、それを肯定するというのは、

清濁併せのむ水属性らしいなあ、と思います。

ある種の懐の深さというか、寛容さというか。

安吾の身近には困ったちゃんがよくよく集まってきます。

友人の自殺に大ショックを受けることも何度もあります。

何だかんだ情の深い人だったんだろうなあ、と思います。

 

と、ここまで書くと一見まともな人のように思えますが、

金星が射手座にいます。

正直、これがなかったらここまで無頼じゃなかったかもしれないなあ、と思います。

安吾のことば』(藤沢周編、集英社、2016)の中に紹介されているのですが、

「私は、革命、武力の手段を嫌う。革命に訴えても実現されねばならぬことは、

ただ一つ、自由の確立ということだけ。私にとって必要なのは、政治ではなく、

先ず自ら自由人たれということであった。」(暗い青春)

を始めとして、自由に関する発言が多々見られます。

射手座が重んじるのは、自由とともに真実です。

射手座の嫌いな言葉は「空気読め」です。

あえて空気を読まずに本当のことを言ってしまう安吾らしいなあ、と思います。

それと同時に遊び好きでノリで色々やっちゃうだらしなさも得ていると思いますが。

 

安吾ホロスコープは濃くて派手で面白いですね。

それこそ安吾の言葉集とか、恋愛についてとか調べたら面白そうです。

 

文豪とホロスコープその35 堀辰雄

堀辰雄は日本の小説家・詩人です。

代表作の『風立ちぬ』は、2013年公開のジブリ映画でちょっと有名になりました。

あれからもう5年か・・・

代表作は『聖家族』『風立ちぬ』『菜穂子』など。

 

東京出身で、妾腹という複雑な出生をしています。

学生時代に文学を始め、田端では室生犀星芥川龍之介中野重治など、

多くの文学者と関わります。

通称たっちゃん、たっちゃんこ(by芥川さん)など。

他、佐藤春夫萩原朔太郎川端康成など、かなりの大物と知り合いだった模様。

芥川さんのことをとくに尊敬していたようですが、佐藤さんなんも、

滅多に人を通さない自分の部屋に通したことがある(意訳)

というくらい、かなり親しかったようです。(『堀辰雄のこと』より)

他、筆無精の自分の手紙を五通持っているのは愛人くらいだが、彼は三通持っているのであと一歩で愛人である、とかも言っています。

ちょっと笑った。

かなり多くの人から愛されていたようです。

 

堀辰雄は肺病を煩っていて、たびたび病床につきます。

恋人も肺を病んでいて、二人で過ごした療養地のことをモデルにした話が、

風立ちぬ』です。

他にも、自分の経験や見聞を書いたものが多く、

『聖家族』は芥川龍之介とその周辺をモデルにしているそうです。

ちなみに、堀辰雄には、自分の身辺を美しく描いたものの他、

折口信夫に影響を受けた日本古典物も多いようです。

中野重治などの『驢馬』同人がプロレタリア文学者になるなか、

堀辰雄は時代に迎合しないもの、と言われています。

 

私的には堀辰雄といえば軽井沢、という感じです。

療養のために何度も訪れています。

当時から避暑地として有名で、室生さんや川端さんが別荘を持っています。

ちなみに、堀辰雄の文学記念館も軽井沢にあります。

 

堀辰雄(1904/12/28 出生時間不明)

山羊座の太陽、乙女座の月(確定)。

かなりの地属性ですね。

小説の描写も自然描写が多いので、まあ納得でしょう。

読んでいて心地が良いです。

ちなみに太陽は天王星と合、蟹座の海王星と衝です。

海王星と太陽が合かハードアスペクトとか、第一ハウスの近くにある作家は、

なんとなく身体が弱い印象があります。

たとえばR・L・スティーブンソンとかも結核でしたね。

 

大きいアスペクトとしては、

水瓶座の金星・土星のコンジャクション、

天秤座の火星、

双子座の冥王星で風のグランドトラインです。

これは芥川さんが文学の才能を褒めていてもおかしくはない感じ。

堀辰雄は刻々と移り変わる心理描写と美しい言葉使いに特長があると思いますが、

水瓶座の金星・土星はなるほどな、と思います。

うつろいやすい微妙な心理を結晶化させるようなイメージですかね。

特に、結核という死の病を抱えた心理というのは、

想像だけならリアルなものは書けないでしょう。

ちなみに、天秤座の火星と牡羊座木星オポジションで、

これらを全部含めてカイトを作っています。

時代に簡単には迎合しない、

人当たりが良いわりに押しが強い、というのはここが由来なのかも。

 

堀辰雄作品には風のグライドトラインと、

現実主義である山羊座の太陽や水星が良い仕事をしているという感じです。

フランスの心理小説に大きな影響を受けたらしいですが、

まさにそういう感じで、写実主義っぽいところもある。

現実を美しく写実する、それこそ絵画のように思います。

ただまあ、個人的な好みを言わせてもらえれば、

堀辰雄の作品には情熱があまり感じられないかなあとも思いますが。

あんまり激しいや喜び悲しみではないです。

そこは、例えば同期の三好達治とは正反対ですね。

ちなみに、冒頭の話題ですが、

宮崎駿監督(1941/1/5)はかなり地属性が強いです。

堀辰雄の作品には、かなりシンパシィを感じたのでは、と思います。

 

 

 

文豪とホロスコープその34 小林多喜二

小林多喜二は日本の小説家です。

プロレタリア文学の代表として、著書の『蟹工船』がよく知られています。

代表作は『蟹工船』『一九二八年三月十五日』など。

 

秋田県の出身で、北海道の小樽で育ちました。

実家の貧しさや身近に酷使される労働者を見たことから、

学生時代から労働運動に参加を始めていたそうです。

その後、プロレタリア文学を書き始めますが、

内容や描写のために何度も逮捕・起訴されます。

警察にマークされているため、

追手から逃げながら原稿を書いたこともあったそうです。

逃亡しながら書かなきゃならない文学っていうのもなかなかですね。

最期は特高に捕まり、拷問を受けて死亡します。

享年は29才、若い・・・

 

蟹工船』は最近ブームになりましたね。

昔も、この作品でプロレタリア文学は一気に有名になった感じらしいです。

ちなみに、小林多喜二志賀直哉を尊敬していたそうです。

学生時代から何度も手紙を送って名前を覚えられていたり、

わざわざ自宅を訪ねて行ったりと、かなり熱心なファンだったようです。

ちなみに、石川啄木もファンらしいです。

こちらは故郷が近い(北海道も含めて)ことや、

石川さんが晩年にはまった社会主義に関することからかなあ、と思いますが、

借金王という人格面は考慮していたのかが個人的には気になります。

ホロ見て思いましたが、多喜二はかなり騙されやすそうな人のようなので。

 

小林多喜二(1903/12/1 出生時間不明)

太陽は射手座、月は牡羊座(確定)。

ちなみに太陽は水星とコンジャクション。

火が強いです。

射手と羊の組み合わせなら、かなり熱血漢で正義感が強い感じ。

理想に向けての行動力に非常に富んでいる。

他人からどれだけ言われようと、間違いは間違いとと言ってしまう。

根っからの正直者ですね。

だからこそ、過激なプロレタリア文学を書いて獄死したとも言えますが・・・

 

太陽と水星とのコンジャクションの人にはよくありますが、

多喜二の作品も自分の実際の経験を元にしていることが多いです。

実際の企業をモデルにしたことも多いです。

 

総合的にやや熱くなり過ぎそうだけど、素直でいい人だなあ、と思います。

他の星に目をやっても、

たとえば天秤座の金星、山羊座の火星、水瓶座土星と、

かなり正義感が強そうです。

ついでにいえば理想も高そう。

実際、

いくら逮捕されても活動を辞めなかったり、

当時文壇の大物だった志賀さんに『蟹工船』を送りつけたり、

かなりの行動力兼向こう見ずさはあるようですね。