文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ 推理作家編その4 ドロシー・L・セイヤーズ

ドロシー・L・セイヤーズはイギリスの女流推理小説家です。

(このLを付けることになぜかこだわったそう)
同世代の作家たちと比べると知名度では若干劣りますが、
イギリス推理作家クラブ第三代会長(初代はチェスタートン。ちなみに四代目はクリスティ、1年だけですが)。
特に『ナイン・テイラーズ』は非常に高く評価されています。
代表作は『誰の死体?』『殺人は広告する』『ナイン・テイラーズ』など。

 

○『ナイン・テイラーズ』

ある雪の大晦日の夜、主人公は沼地にある小さな村へと迷い込む。
車の修理と一宿一飯の恩を返すため、年末に鳴らす鐘の綱を握ることになる主人公。
その鐘の音が、殺人を呼ぶことに……

 

この話の鍵は鐘です。
複数の鐘を組み合わせて鳴らすことで曲を演奏するという
転座鳴鐘が重要な意味を持っています。
これ以上はネタバレになるので言えません!

 

さて、この話はわかりやすい謎が出てきたり、
奇抜なトリックが使われていたり(奇抜っちゃ奇抜ですが)、
読み終わって即座にすっきりするような話ではないのですが、
読んでいるうちに、じわじわ面白くなってきます。
ああ、あそこで出てきたあれは、ああいうことだったのか・・・とか。

 

あとは、普通に小説として面白い。人間関係がわりと濃密で。
主人公のピーター・ウィムジィ卿と執事のやり取りとか、
村の富豪の娘のヒラリーの悩みとか、閉鎖的な村人の態度とか、
論理とトリック主体のクリスティとはある種、反対のタイプですね。
ちょっと複雑な鐘の豆知識(ちょいちょい出てくる転座鳴鐘とか)や、
イギリスの建築のあれこれとかが出てくるので
現代人でも平気に読めるよ!というわけではないのですが、
そこをひっくるめて雰囲気になっている物語です。

ただ、創元推理文庫で500頁近くあるのでご注意を。

 

ホロスコープ解説

ドロシー・L・セイヤーズ(1893/6/13 出生時間不明)

 

太陽は双子座、月は双子座(確定)、ASCは不明。
彼女のホロスコープは非常にシンプルです。
感受点を除くと5サインにしか星が入っていません。
エレメントも風と水にほぼ集中しています。

太陽、月、海王星冥王星が双子座です。
そして月と海王星冥王星コンジャンクション
クリスティとは違う意味で風属性がすごく強いようです。

 

双子座の強いチェスタートンは短編が得意でしたが、
セイヤーズにも同じような特徴が見られます。
伏線をずっと引っ張って最後の最後でネタばらしをするのがクリスティやエラリー・クイーンですが、
セイヤーズは一見関係のない小さな伏線とネタばらしを繰り返して、
積み上げていった最後に全部が繋がる・・・と文庫の解説(巽 昌章氏)にも書いてありました。
そのおかげで、読んでいて一向に飽きない。謎が謎を呼んでますます深まっていく。
そして、最後に見えたのは衝撃の事実・・・
どちらかといえばドラマや映画っぽいですね。
ドラマは15分ごとに見せ場があると聞いたことがあります。
ちょっとずつ短い、テンポの良い思考を繋げて話を作るというのは、
やっぱり双子らしいなあ、と思います。
また、作品のひとつに広告をテーマにしたものがあって、
(『殺人は広告する』。セイヤーズは元広告店のコピーライター)
それも言葉・情報・メディアを司る双子座らしくて興味深いですね。

 

で、もうひとつの注目点は水のエレメントです。
水星、金星、火星が蟹座。そのうち水星と金星が合で、
蠍座天王星とトラインしています。
蟹座にわりとパーソナルな星が3つも入っている。
セイヤーズの本文はけっこう重厚で、文章力があるなあ、と思います。
(会話文は双子座らしく面白くて軽妙なのですが)
鐘の専門話が乱舞したりするので、たまに難しいですが。
よそ者が来た際の村人の閉鎖的な様子や、一般的な家庭の描写が上手い、
つまりは心理描写が上手いということなんでしょうね。
そもそも保守的な村や集団の描写って蟹座は上手いですね。
ホーソンとかヘッセとかオーウェルとか。
カフカも、集団に入れないという正反対の方向性で。

そういえば、カフカセイヤーズホロスコープは共通点が多いですね。
『ナイン・テイラーズ』でも集団に入りきれない女の子が出てきます。
保守的、伝統的な村の暮らしに順応しようとしつつ、頭が良すぎるために順応しきれないという。
集団に溶け込みたい蟹座と、溶け込みきれない双子座、
その二つが同居する苦しみみたいなのがなんとなく伝わってきます。
(双子座は風星座なので距離を取ろうとする。
対象を理解・把握するには距離を取る必要があるから、
蟹座のようにある種自分の思考を放棄して集団と一体になることは不可能・・・というイメージで)

 

ちなみに、セイヤーズはダンテの『神曲』の翻訳をしたり、
宗教関係の劇や随筆を書いたりという活動もしています。
推理作家にしてはけっこう珍しいタイプだと思います。
そういえば、ダンテって双子座って噂ですね(『神曲』内で明言している)。

 

文豪とホロスコープ 推理作家編その3 アガサ・クリスティ

アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティはイギリスの女流推理作家です。
その作品は世界中で読まれ続け、
「ミステリーの女王」として有名です。
代表作は『アクロイド殺し』『オリエント急行殺人事件』『そして誰もいなくなった』など。

 

○人となり
小さい頃は母親の教育方針にて学校にも通わず、
ひとり遊びで空想することが好きな内気な少女だったそうです。
本を読んだり、長じては小説を書くようになりました。

第一次世界大戦中に薬剤師の助手をしていたこともあり、
毒薬の知識に詳しくなったそうです。
どこかで聞いた話だと、とある看護婦がクリスティの小説を読んでいたおかげで、
症状から毒の種類がわかって、手当が間に合った・・・ということがあったそうです。
戦前から完成させていた『スタイルズ荘の殺人』でデビュー。

クリスティは海外旅行が好きだったそうで、
作品内にも外国の知識や旅先のエピソードが多く盛り込まれています。
代表作の『オリエント急行殺人事件』はその典型例でしょう。

ちなみに、二人目の夫は考古学者だったそうです。

ちなみに、ペンネームのメアリ・ウェストマコット名義で、
推理小説以外にもロマンス小説なども書いているそうです。

 

○『オリエント急行殺人事件

イスタンブール―パリを繋ぐオリエント急行
その車内で起こった殺人事件、
けれど、乗り合わせた乗客の証言はバラバラで・・・?

 

最早わたしが説明するまでもないと思いますが、超有名な推理小説の古典です。
2017年の12月に映画化したこともあり、ラストを知っている方も多いのではと思います。
ちなみに、わたしは三谷幸喜監督のテレビドラマで知りました。

 

クリスティの魅力は意表を突く奇抜なトリックと、そこに導くまでの推理です。
論理派の代表はエラリー・クイーンと私は思っていますが、
クリスティの場合、トリックや結末が全く想像の埒外にあることもままあります。
代表作に挙げた三つとも、知らずに読めば驚かされること間違いなし。
特に『アクロイド殺し』はアリかナシか、フェアかアンフェアか、
揉めに揉めて、論争を巻き起こしました。
それがきっかけで有名になった面もあるんですけどね。
推理作家の中でも意見が割れたそうですが、
たとえばS・S・ヴァン・ダインはアンフェア派、江戸川乱歩はフェア派だったそうです。
なんかキャラが出てるなあ、と思います。ヴァン・ダインは二十則書いているだけあって真面目ですね。

 

さて、この『オリエント急行殺人事件』もクリスティの魅力が発揮された作品です。
具体的に言うと、旅行趣味、奇抜な結末、そこに至るまでの冷徹な推理。
手がかりは全て文中に示されています。
ホロを見ればわかりますが、大変クリスティらしい作品です。

わたしが言うべきこともありませんが、
まだ読んだことのない方は、ぜひどうぞ。

 

ホロスコープ解説

アガサ・クラリッサ・クリスティ(1890/9/15 14:14)

太陽は乙女座、月は天秤座、ASCは射手座。
彼女のホロスコープはひと言でいえば、「見事」です。
見事に推理小説家向きのホロです。

 

まず、推理小説家最多の天秤座に月と水星と天王星が同居。
2位の双子座で海王星冥王星が合。

そして天秤座の月、水瓶座木星、双子座の海王星冥王星
風のグランドトライン。
(ちなみに、この海王星冥王星の合は1886年あたりから始まっていて、
クリスティより2つ下の芥川龍之介とかも持っているアスペクト
太陽星座の乙女座よりも天秤座の方が目立っているくらいで、
推理作家は思考タイプの風星座が多いという印象を全く裏切らないホロ。
ただまあ、人としてはどうかな・・・とも思いますが。

案外コミュニケーション苦手だったかもしれない。
月は幼少期を意味するので、小さい頃の家庭学習が彼女の人生には意味があったのかな、とかも思います。
初等教育を意味する水星は天王星とゆるく合ですし。
普通とは違っていたことは間違いないかと。

しかし、それがけっこう大事だったんだろうなとも思います。

彼女自身、そういう育て方だったことが良かったと述べていたそうです。

 

他、目を引くのは射手座のASC付近。
火星とほぼきっちり合しています。
射手座といえば高等教育、宗教、旅行、海外……etc.
海外旅行が趣味で、作品にも活かしているクリスティらしい配置です。
射手座の推理作家は奇抜なトリックや結末を好む作家も多い(→例、ディクスン・カー)ので、まあ納得です。
推理小説作家以外にも奇抜な発想を好む射手座は多いですが。
射手座はつまらない現実に飽き飽きして小説を書くんじゃないかと時々思うくらいです)
そういえば射手座に重要な星が入っている作家って、

マザーグース好きだなあ……と思います。

不思議の国のアリスと言い換えてもいい。

そもそもキャロルが射手座強いですしね。
クリスティの『そして誰もいなくなった』、カーの『帽子収集狂事件』、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』がいずれもマザーグースが出てくる作品です。

それぞれ結構射手座入っている。
あれ出てくると怖いんですけどね。


なので、クリスティの作品は射手座の部分が考えたトリックや結末へ、
風属性の冷徹な推理で筋道立てて辿り着いて見せる、
という感じですね。
それが強引でなくてごく自然に見える。
この辺りは若干影が薄いですが、乙女座の太陽や土星がそれぞれツッコミを入れてくれているのかな、と思います。
ちゃんと地に足が着いている。
風星座主体の作家では論理重視でやや無味乾燥になりがち、
射手座主体の作家ではトリックは面白いけどたまに論理が暴走する。
その辺りのバランスがちゃんと取れているのがクリスティなのでは、と思います。

 

ただ一点だけ足りないとしたら、情緒でしょうか。
金星が蠍座に入っているだけあって、怖いのは十分なんですけれど、
人間心理描写が冷たいというか。。。
そして誰もいなくなった』とか、淡々と人が死んでいく系は
水属性主体の私にはちょっと残酷すぎるので、読める気がしません。
まあミステリーはトリックや論理の面白さがメインだから人情はいらない、という意見もあるので、それでいいのかもしれませんが、

クリスティの人物描写が同じような人ばっかりで微妙というのは結構有名らしいですが、

それでもなお、新しい状況やトリックで驚かせてみせる、

というのが彼女のすごいところでもあるんでしょうね。

 

文豪とホロスコープ 推理作家編その2 F・W・クロフツ

フリーマン・ウィルス・クロフツアイルランド出身の、
イギリスの推理作家です。
元々は技師だったのが、(確か)療養中に推理小説を書き、
40才でデビュー。それから一年に一作品を書いていくことに。
代表作はデビュー作の『樽』、倒叙形式の『クロイドン発12時30分』など。

 

○『樽』

ある日、港に届いた謎の樽。
その中にはとんでもないものが入っていた・・・

という始まり方をする推理小説です。
これが、とても面白い。
この話は当時としては珍しく、名探偵が出てきません。
名探偵を必要とするような理解の範疇を超えた状況が起こるわけではなく、
常識的な普通の人々が、常識的な捜査と推理をして、

最後に不動の事実を解き明かしていくという、

とても「現実的」な推理小説です。
実際に起こりえるかもしれないし、しっかり読んでいけば答えはわかる。
けれど、ちゃんと推理小説の面白さはおさえている。
犯人がすさまじく狡猾なんですよ。詳しくは言えませんが。
名探偵にリアリティを感じられない人、あり得ない小説が嫌いな人、
しっかりした話が好みの堅実な人にお勧めです。
そこまで怖くもグロくもないですし。

 

あとは解説にもありましたが、タイトルが格好良い。
日本語でこそ『樽』という冴えない感じですが、原文では『The Cask』(ザ・カスク)。
イギリスですからウィスキー貯蔵用の樽のことをこう呼ぶそうで、
英語の方が明らかに格好良い。
この話に影響された作品として、
鮎川哲也『黒いトランク』、横溝正史『蝶々殺人事件』などがあるそうです。
どちらも名作だそうです。
なるべく、早く読みたいと思います。

 

ホロスコープ解説
F・W・クロフツ(1879/6/1 出生時間不明)

 

双子座の太陽、月は天秤座(確定)、ASCは不明。
一見がっつり風ですが、ホロスコープを見てみると
案外風のエレメント入っていません。太陽と月くらい。
代わりに水と地のエレメントが強いです。

 

ぱっと目を引くのは牡牛座の水星と冥王星コンジャンクション
たしか、コナン・ドイルも同じ組み合わせでしたが、ずいぶん作風は違う。
水星を中心として、魚座の火星と蟹座の金星で小三角を作っています。
ドイルはほとんど水がないので、ここが違いかな?とも思いますが。
金星と火星が絡むと、事件やメロドラマの匂いがしますね。
実際、推理小説の動機の大半は金と女ですが、
『樽』にも両方関わってきます。
そして、この二つが絡むと話が面白くなるのもまた事実。
この話、サスペンスとしてもちゃんと面白いです。
私は謎解きを途中で諦めて読んでいましたが、普通に話として面白かったです。

 

ここから先ちょっと自信ないですが、

クロフツのホロでちょっと面白いことがありました。
マイナーアスペクトが関わるのですが、
魚座木星(11度)、牡羊座土星(13度)、牡牛座の海王星(10度)、双子座の太陽(10度)
と、4星が全てセミセクスタイルを結んでいます。
つまりセミヨドが二つ重なっているわけです。
その中心が土星海王星・・・
土星のメジャーアスペクトは金星とスクエア、太陽とセクスタイルくらいなのですが、
どうにも、この人は土星が利いている雰囲気があるんですよね。
冒険大好きなドイル(牡羊座金星)とは正反対というか。

 

クロフツの堅実さ――作品もそうですが、職業は技師、一年に一作品という面も含めて――は、この辺りが原因かなあ、と思います。(推測ですが)
セミヨドはヨドと同じく「動きが取れない状態」を意味するというので。
また、この「動きが取れない状態」とは、
『樽』の中にも色々当て嵌まる言葉です(読めば分かりますが)。
そう考えると、ちょっと面白いですね。

文豪とホロスコープ 推理小説家編その1 G・K・チェスタートン

ギルバート・キース・チェスタートンはイギリスの推理作家です。
カトリックの神父が探偵役の「ブラウン神父」シリーズが世界的に有名です。
初代イギリス推理作家クラブの会長でもあります。
代表作は『ブラウン神父シリーズ』長編の『木曜日だった男』など。

 

第一回はチェスタートンにしました。

推理小説の元祖はE・A・ポーで、コナン・ドイルも有名ですが、

もうあらかた書きたいことは既に書いてしまったので、この人です。

 

さて、推理小説作家たちの特徴を見るには作品を読むのが一番、
ということで、作品から見て行きたいと思います。

(世界的な文豪と違って、人物面のエピソードが薄い人が多いので・・・汗)

 

○「ブラウン神父」シリーズについて
ブラウン神父はドイルのホームズ、クリスティのポワロと並ぶ超有名な探偵役で、
ちょっと冴えない(シルエットが全体的に丸っこい)見た目とは裏腹に、
非常に鋭い推理で不可解な事件を解決していくシリーズです。
探偵小説でも最古典の部類です。

 

これがすごく面白い。
このシリーズの魅力は豊富なトリックです。
一話完結の短編形式なので読みやすいのですが、
密室あり、心理トリックあり、不可思議状況ありと多種多様。
この中のトリックを借用している作家も多いようです。
江戸川乱歩もいくつか短編に使ってますね。
特に『見えない男』のトリックは有名です。

しかも、すべてにしっかり教訓が付いているところも面白い。
ちょっととぼけたブラウン神父と友人の元怪盗のやり取りも好きです。
古典の中ではかなり読みやすい方なのではないでしょうか。

個人的なお勧めは『見えない男』『まちがった形』『神の鉄槌』
『通路の人影』『ジョン・ブルノワの珍犯罪』あたりです。
『神の鉄槌』と『通路の人影』は教訓面も含めて好きです。

長編の『木曜日だった男』は未読です。すみません。

 

ホロスコープ解説

G・K・チェスタートン(1874/5/29 出生時間不明)

 

双子座の太陽、蠍座の月(確定)、ASCは不明。

双子座で太陽、水星、火星がコンジャンクション
水星を中心にステリウムを作っています。
双子座に星が集中しているのは、コナン・ドイルと同様で、
双子座タイプの作家のようです。

 

チェスタートンの魅力はトリックの豊富さですが、
双子座はトリック大好きそうですね。
与えられた情報から論理的に答えを導くよりも、
小粒だけどちょっと面白い、クイズみたいな形式の方が好きなのかもしれません。
面白いことを考えるのが大好きで、頭の回転の速い双子座っぽい。

 

しかし、双子座は体力がないというか飽き性というか、
ひとつのことに集中するのが苦手という面もあります。
ブラウン神父シリーズが短編集で
ホームズも大半が短編で、長編も短編に毛が生えたくらいのものなのも、
それを思えばうなずけるなあ、と思います。

(余談ですが、天秤座がちょっと地に足ついているのに対して、
双子座はより純粋に思考タイプだなあ、と思うことがあります。
天秤座が飽くまでも現実に即して考えているのに対して、
双子座は純粋に頭の中で楽しく遊んでいる感じがします。
守護星の違いですかね? 水星に比べて金星は少し地属性よりなので・・・)

 

また、チェスタートンの土星水瓶座で、
これが双子座のステリウムにトライン。
チェスタートンの作品はトリック重視ですが、
トリックを活かすための状況作りが上手いなあ、とも感じます。
ものすごく変な状況なんだけど、何故かリアリティがあって、
疑問に思わずに納得させられてしまうというか。
双子座の部分がが面白いトリックを考えて、
水瓶座土星がツッコミを入れつつ整えていく、
という感じでしょうか。

 

一方、月は蠍座です。
蠍座って心理トリック大好きそうですよね。
ブラウン神父シリーズは結構な数が心理トリックで、
なるほど、と思うものもあります。
他、蠍座の月の推理作家といえば、
ガストン・ルルー、D・M・ディヴァインなど。
なんとなく、似通った部分がありますね。
ブラウン神父シリーズも、たまに怖い雰囲気になることがあります。
お化けとか怖さではなく、人間の本性の面で。

ちなみに、蠍座の月と水瓶座土星、牡牛座の冥王星

この三つでTスクエア(出生時間不明なので恐らく)。
このラインは非常に真面目な感じがします。

蠍座含むTスクエアって、宗教的に真面目な人が多いイメージがありますね。

ホーソンとかヴェルレーヌとか有島武郎とか。

ブラウン神父の少し皮肉が利いた、時に人間の業をえぐるような教訓は
この部分から生まれているんだろうなあ、と思います。

 

 

 

推理小説作家について

最近、推理小説にハマっています。
というより、推理小説を書く人間のホロスコープを見る方に。

推理小説とは謎を提示して、それを解き明かすことを軸に据えた小説のこと、
でいいんでしょうかね?
純文学とはまた違ったやり方(伏線、トリック、ミスリードなど)の書き方が必要になります。
しかも、作家ひとりひとりで論理中心、トリック中心などなど書き方は千差万別。
ジャンルも本格、サスペンス、ホラー風味、SF風味など無数に枝分かれしていきます。
だから、ホロスコープを見るのが大変面白い。

というわけで、しばらく推理作家のホロスコープを見ていきます。

※今後、ネタバレを含む可能性があります。内容を知らない方は要注意。

 

 

推理小説については以下のサイトを参考にさせていただきました。

【入門編】定番人気のおすすめ名作海外ミステリー小説50選 - 300books

【名作選】最強に面白いおすすめ国内ミステリー小説50選 - 300books

【第2弾】最高に面白いおすすめ国内ミステリー小説50選② - 300books

 

今のところ、ここで紹介されていた読んだ全て面白いです。
この150作品の作家(被り含め)、また個人的に好きな作家も含めて、
現代テクノロジーの粋(Wikipedia)を駆使して調べたところ、
生年月日がわかる作家が推理小説家で95人。

その中で太陽星座ランキングを集計してみました。

1位 天秤座 14人
2位 双子座 12人
   山羊座 12人
3位 射手座 11人
4位 獅子座 10人
5位 蠍座  6人
   蟹座  6人
   牡牛座 6人
6位 魚座  5人 
   水瓶座 5人
   乙女座 5人
7位 牡羊座 3人

   計95人

 

おお、結構意外な結果が。

 

まず圧倒的に多いのが天秤&双子の風属性。
作家全体ではそこまで多い印象がなかったのですが、
推理作家では圧倒的に多数。
やはり謎解きでは論理的な天秤座や双子座が優位でしょうか。
どちらかといえば、天秤座はロジック重視、
双子座はトリック重視の作家が多いなあという印象でした。

ちなみに、天秤座はS・S・ヴァン・ダインフレデリック・ダネイ(エラリー・クイーンのプロット担当)や江戸川乱歩
双子座にはコナン・ドイル、チェスタートン、セイヤーズ
という超有名作家がいます。
あとは、天秤座は日本人、双子座は外国作家が多いことが印象に残りました。
双子座の日本人作家は4人しかいなかったので。なんでだろう・・・


次に多いのが意外にも(失礼)山羊座。双子と同率2位。
山羊座も作家全体だと多い印象がなかったので、少し意外でした。
山羊座の推理作家には推理小説の祖と言われているE・A・ポーや
マンフレッド・リー(エラリー・クイーンの執筆担当)、
現代日本だと綾辻行人宮部みゆき(なんと同年同日生まれ!)、
など、実力派揃い。

館ミスで有名な綾辻行人氏は山羊座っぽいですね。
こう、限定された空間内で事件が起こる、っていうか、
建築物(館)っていうのが。
半分歴史小説薔薇の名前』の作者ウンベルト・エーコ山羊座っぽい。
あとポーを初めとして、怪奇ものが多いのも特徴かなあ、と思います。夢野久作山羊座だしね。。。


3位が射手座。
射手座は双子座と同じくトリック重視ですが、
半分歴史小説だったり、書き方で騙してきたり、
ちょっと変わった設定や舞台やアイディアが好きな傾向があるようです。
詳しくは言えませんが、作品の中ではなくて、文体そのものに罠があったりとか。
反則(アンフェア)すれすれのものもたまにあるくらい。
代表的なのがディクスン・カー
密室を初めとした不可能犯罪が大好きで、作風はかなりフリーダム。
私はこの人が大好きですね(笑)。同じ射手座として。
太陽以外にもちょくちょく入っている人が見受けられます。
他の作家でもクリスティとかは天秤や射手も強いですしね。乙女座だけど。


上位の星座を解説するとそんな感じです。
個人的には蠍座が少ないのが意外だったんですが、
蠍座は月や水星が入っている人が多いんですよね。

また、人数が少ない星座でも
例えば、
水瓶座には東野圭吾
魚座には辻村深月
牡羊座には京極夏彦
など、有名人が必ず入っています。

つか、牡羊座が何でこんなに少ないのかが逆に気になる。
京極夏彦は興味深いので読んでみたいのですが、
筆者は怖い作品とグロい作品が超苦手なので(夜眠れなくなる)、
ホラー入った推理小説は鬼門なんですよね・・・大丈夫だろうか。。

綾辻行人氏の『霧越邸殺人事件』で既に夜眠れなくなりました。

あれ、そんなに怖くないのに…

 

ちなみに、筆者は安楽椅子探偵ものが好きです。
提示されたデータだけで純粋に論理で推理していくというジャンルですが、
大体グロくも怖くもならないので恐がりの人にもお勧めです。

まだまだ三十冊読んだ程度の素人探偵レベルですので、
おすすめの推理小説があったらぜひ教えていただきたいです。
詳しい方、よろしくお願いします。
あ、もちろん推理小説以外でも歓迎です。

 

文豪とホロスコープ ドイツ作家編その4 エンデ

ミヒャエル・エンデはドイツの作家です。
主に児童文学を書いていて、日本では『はてしない物語』『モモ』で有名でしょうか。
はてしない物語』はハリウッド映画の『ネバーエンディングストーリー』の原作です。
私は原作も映画も見たことありますが、
原作の方がいいです。確実に。
代表作は『ジム・ボタンの機関車大旅行』『モモ』『はてしない物語』など。

 

○人となり
ミヒャエル・エンデが生まれたのは1929年のドイツです。
父親はシュールレアリスム画家のエドガー・エンデ。
ちょうどナチスが台頭してきた頃で、
父親の絵は退廃的として目を付けられてしまいます。
16才で第二次世界大戦が終わるまで、子供時代は窮屈な生活を余儀なくされます。
ですが、決して言いなりにならず、むしろ抵抗する姿勢を取りました。
まだ学生だったエンデに戦争へ召集が掛かったとき、
召集の手紙を破り捨て、疎開していた母親の元に歩いて避難し、
その地域のレジスタンス活動に伝令として参加していたそうです。
反抗精神がすごい。

戦後は父親に影響されたのか芸術の道に進み、演劇の学校に通ったり、
詩や作品を書いていたようです。
また、結婚後はイタリアに移住したこともあります。
エンデは日本と縁が深い作家らしく、
最初の奥さんを亡くした後、『はてしない物語』の日本語訳をした女性と再婚したりしています。

わたしも『はてしない物語』や『モモ』に感動したクチで(読んだのは高校くらいになってからですが)、
あの膨大な世界観と深いメッセージ性に魅せられました。
わたしの好きなライトノベルに『戦う司書』シリーズというのがあるのですが、
この作者の山形石雄さんも『はてしない物語』が大好きのようですね。
別の話にも名前とかキャラクターとか文章にちょくちょく影響が見えます。

 

ホロスコープ解説

ミヒャエル・エンデ(1929/11/12 17:15)

蠍座の太陽、魚座の月、ASCは双子座。

蠍座に太陽、水星、火星が入っています。
意外と、かなり蠍が強いですね。
エンデの作品は大半児童文学なんですけど、
なんだか怖い。
子供向けなんだけれど、容赦なく迫ってくる追手とか怪物がいて、けっこう怖いです。
『モモ』では灰色の男たち、『はてしない物語』も怪物がけっこう出てきます。
実はかなり大人向けなんじゃないかと思います。
そういえば、『モモ』のテーマは時間ですが、
エンデは灰色の男たちを銀行の預金利子から思いついたそう。
蠍座(もしくは第八ハウス)は他人と共有するものという関連から、
他人との財産の共有、ひいては投資などのお金関係にも関わりがあるらしいと聞いたことがあります。
だから時間やお金っていうのはすごく蠍座っぽいなあと思います。

また、月が魚座なのはさすがですね。ファンタジックな想像力がある。
エンデは児童文学を書く際、
「私が小さい頃にこういう話が読みたかったなあ」と思っているものを作っているそうです。
あと、エンデの作品で面白いのは名前。
これだけ響きの良い名前がどこから出てくるのか……不思議です。
ちなみに、太陽・火星と月と蟹座の冥王星で水のグランドトラインです。
水のグランドトラインは、人情派って感じです。
なんか、無限にすっごく優しい感じ。

水以外だと双子座が意外と強くて、
ASCと木星が入っています。つまり木星は第一ハウス。
双子座っていうのがけっこう面白くて、
双子座(特に木星)の得意なことといえばストーリーテリングだと思いますが、
ストーリーテリングそのものが『はてしない物語』の大きなテーマになっているからです。
これは読んでもらえればよくわかると思います。
エンデは大人にこそ自信を持ってお勧めします。

 

文豪とホロスコープ ドイツ作家編その3 カフカ

フランツ・カフカはドイツの作家です。
その独特な世界観で、二〇世紀を代表する作家と言われています。

その作品のほとんどが未完ということでも有名。
代表作は『変身』『審判』など。

 

○人となり
フランツ・カフカは裕福なユダヤ人商人の家に生まれました。生まれはチェコ
生前はもっぱら保険の勤め人として働き、作家として評価されることはあまりありませんでした。
当時流行作家だった友人の尽力で紹介され、
無名作家が今は二〇世紀を代表する作家と言われているわけです。
第二次世界大戦の時には、本人は既に故人でしたが、
友人や元恋人が頑張って原稿と手紙を守り抜いたそうです。

カフカといえば、超ネガティブだったことで知られています。
どれくらいネガティブかというと、
『絶望名人カフカの人生論』(頭木弘樹著)という本が出てしまうくらい。
日記や手紙は愚痴ばっかりだったそうです。引用してみると、
「ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない」
という、超ネガティブな内容が延々と綴られています。
内容はというと、仕事・健康・恋愛・家族・作品とほぼ身の回り全てです。
特に父親とは仲が悪く、父親の教育のせいで自分が歪んでしまったと書いていたそうです。
婚約者もいたけれど、なぜか自分から婚約破棄。
作品も全然自分の思うような自信作が書けない。
結局、結婚も納得いく作品も書けないまま、40才で病気で亡くなります。
しかし、才能を認めてくれる周りの人間には恵まれたらしく、
出版してくれた友人(本人は遺言で作品を焼却するように書いたらしいですが)や、
支えてくれた妹の他、数人の恋人もいました。
あれだけネガティブだったのに、モテたらしい。
実際、優しい人だったらしいからですかね。
ある種の女性は強い男性ではなく、弱い男性に惹かれるものですから。母性本能か何かかな。

えーと。ここから私事ですが。
私はカフカが苦手です。どうしても好きになれない。
私にとって世界三大苦手な文豪といえば、
カフカトーマス・マン太宰治の三人です(次点はフィッツジェラルド)。
何がそこまで苦手なのか自分でもわからないですが、
ひとつは文章が理解にくいってところでしょうか。
文章は読める、けど意味が全く分からない。想像できない。
言葉だけを並べてるみたいで読んでて気持ち悪くなります。
特に『巣穴』という作品は、まったく意味が分からない。
同じ現象は、トーマス・マンの『魔の山』でもありました。
そこを魅力に思う人もいるんでしょうが、わたしはきっぱりと苦手です。
しかし、双子座が強い人ばっかだなあ、私的世界三大苦手文豪。
多分、射手座や蠍座と拒否反応を起こしてるんでしょうけどねえ。

もうひとつは人間性、というかなんというか。
あのネガティブさが見ていて腹が立ってきます。
お父さんがかなり俺様で性格が合わなかったのはわかりますけど、
父親は父親で自分は自分、と思えない辺りがカフカというか。
太宰治と同じくらい見ててイライラする。ていうか、この二人本当よく似てる。
二〇世紀を代表する作家って結構居ますけど、
カフカは結構好き嫌いが分かれるタイプだと思います。
風属性が強い人は好きなんでしょうけど、ちょっと私には良さがわかりません。
カフカの良さが分かる方はぜひ星座を含めて教えていただきたいくらいです。
(しかし、二〇世紀を代表する作家のジョイスもアクが強いなあ……)
とりあえず、わたしは、カフカが苦手です。

 

ホロスコープ解説
フランツ・カフカ(1883/7/3 7:00)

1883年生まれってことは明治の人と同じ年です。
志賀直哉高村光太郎と同じ年。意外と昔の人なんだなあ。

蟹座の太陽、双子座の月、ASCは獅子座。
カフカホロスコープは非常に特徴的です。
見て頂ければわかりますが、
ほぼ蟹座と双子座と牡牛座にしか入っていない。
蟹座の太陽木星の合と、
双子座の月・水星・金星の合が際だってるなあ、と思います。
上でも書きましたが、太宰治と似てます。太陽と月が逆だけど、双子座と蟹座が強い。
妙にネガティブな所とか、なぜか女性にモテるところとか。

まず蟹から、
前にも言及したことがあるように思いますが、
太陽と木星の合は、大らかさや豊かさというイメージがありますが、
木星=父親と見ると、自分自身が父親に飲み込まれてしまうこともあります。
カフカの父親は商人として一代で富を築いた人で、
カフカは成功者の父親をとてもプレッシャーに思っていたそうです。
同時に、カフカの作品の、例えば『流刑地にて』など、
神について書かれているものがあるのですが、
この神は父親のように自分を裁く存在のように思っているように感じます。
木星は宗教を意味することがありますが、
カフカの神=父親的存在、と解釈できるんじゃないかなあ、と。
父なる神って言い方もしますし、そう考えるとちょっと面白いです。

あとは、双子座の月・水星・金星です。
頭の中で考えていることをそのまんま書き写しているんでしょうね。
上でカフカの文章は気持ち悪いと書きましたが、
双子座は相当言語能力が高いので、風星座以外にはちょっと理解できないことがあるのではないかと。
他の人にも理解できる言葉に直すのが苦手なのかもしれません。
ちなみに、この双子座の星に、乙女座の天王星がスクエアしています。
これがけっこうキツそう。
天王星は結構論理でずばっと裁いちゃうところがあるんですが、
カフカが妙にネガティブというか、自己懲罰的なのはこの天王星のせいかもしれません。
しかし、自分がダメなやつだと認めたくはないので、
双子座の星々は都合の良い論理を見つけて自己弁護、というか言い訳します。
自分がダメのは自分のせいではない、父親のせいだと必死に言い訳するカフカの姿は、
努力する必要なく育てられてきた現代の若者たちの姿に通じるものがあります。
他、牡牛座から双子にかけての火星・土星海王星冥王星のステリウムも見るからにヤバそうですが……

カフカの作品の特徴は、話の内部に漂う不安感です。
すでに述べたようにかなり精神的に不安定な人だったことに原因するのか、
言語の意味もあやふやで、現実にないような不思議な世界観です。
突然、人間から正体不明のわけの分からんもの(原文だとそう)になってしまった『変身』や、
姿形もはっきりしない生き物の膨大な住居記録を延々聞かせられる『巣穴』など、
曖昧ではっきりしない世界や身の回りへの不安感がよくよく現われています。
これが二〇世紀の不安感を先取りしていると言われています。
どこまでも広がっていく世界と、それに付いていけない自分と。
二〇世紀、そして二一世紀は誰もがカフカのような不安を抱えている時代なんでしょう。