文豪とホロスコープその39 中島敦
中島敦は日本の小説家です。
だいたいの人が知っているのは、高校の教科書で『山月記』の作者としてと思います。
代表作は『山月記』『光と風と夢』『かめれおん日記』など。
中島敦は代々続く漢学者の家に生まれました。ちなみに長男です。
祖父を始めとして親戚に漢学者が多いという漢学者一家でした。
2才の頃に両親が離婚し、母親と離ればなれになります。
継母と馴染むことができず、孤独な少年時代だったと言われています。
学校の成績はよくて、神童とも呼ばれたらしいですが、
母親の不在が影を落としているようです。
寂しさを紛らわすために、猫を抱っこして寝るのが好きだったらしいとか。
大学卒業後は女子学校の教師になり、
その後、役人になった友人の紹介で南国のパラオに赴任します。
しかし、長旅が身体に障ったのか、帰国後に喘息で亡くなりました。
『山月記』が教科書に載ったのは、その役人になった友人の助力があったため、
とも言われています。
大学卒業後は女子校の教師になった(しかも顔が良い)ということから、
スマートな優等生のようなイメージがありますが、
意外と大学時代はかなり荒れていました。
授業には出席せず、麻雀やダンス、乗馬や将棋に没頭、
しかも大学時代に女性と同棲して結婚もしています。
完全に大学デビューです。
女子校の教師も、本当は小説家になりたかったこともあり、
内心は複雑だったようです。
『山月記』では李徴が自分の自尊心のせいで虎に変わりますが、
中島敦自身もけっこう闇を抱えていたようです。
中島敦(1909/5/5 出生時間不明)
牡牛座の太陽、蠍座の月。
さらに太陽と金星がタイトにコンジャクション、
そこに水瓶座の火星も加わってTスクエアです。
いかにも自分の存在に葛藤がありそうな感じ。
中島敦には『かめれおん日記』という作品があって、
その中に預かったカメレオンを見て、自分の中の矛盾を考えるという場面があります。
それに似てる状況なのかもしれない。
また、『山月記』で李徴は高すぎるプライドのせいで虎になってしまいます。
太陽と金星のコンジャクションは美や才能を得る反面、
自意識高めで強いプライドを持つ、という傾向もあります。
しかも蠍の月もけっこうプライド高い、かつ負けず嫌い。
どうにか本心を隠してスマートに振る舞うのに苦心していたのでは?と思います。
この配置は、猫を被って虎を隠しているように見えてしかたないですね。
大体1905年から10年くらいの間の世代には
中島敦にもあります。
同年生まれの太宰治と同様です。ていうか、一ヶ月くらいしか違わないのか。
『かめれおん日記』や『悟浄出世』(西遊記の沙悟浄が主役、面白い)などの中で、
「本当の自分がわからない、自分らしくいられる居場所がない」
という悩みが出てきます。
牡羊座の土星は自分らしさや自己主張することに対して制限がかかります。
牡羊座は戦うことや自分らしくあることが得意な星座ですが、
周りの空気や環境のせいでそれができなかったのかもしれない。
言うより前に自分から引っ込めてしまうタイプ。
例えば小説家になりたかったけれど、それが叶わなかったとか。
わかってもらえないだろうから、失敗するかもしれないから、本当のことは言わない。
これも『山月記』の李徴と一致します。
虎の一部かもしれません。
地属性が強めです。
中島敦は水星も牡牛座なのですが、
それっぽいですね。
泉鏡花が好きだったらしいですが、
どちらも地属性強めだからかなあ、と思います。
地属性強いと、古文や漢文や匂いがします。
参考資料: