文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

乙女座作家について

乙女座作家を見ていて思うのは、自然が大好きだなあ、ということ。
題材に自然を取り入れるのはもちろん、自然の描写が巧みだったり、
重要なシーンが自然を活かして描かれることも多いなあ、と思います。
たとえばゲーテファウスト』の復活祭のシーンとか。
自然というのは花鳥風月や草木はもちろん、
人間と自然、人工と自然という対比も出てきます。
人間は所詮、雄大な自然の中のごく一部でしかない、ということを
乙女座の文学を読んでいると実感します。


乙女座は日常を大事にする人々です。
それは地属性全体に言えることですが、
とくに乙女座の作品や詩では、
ささやかな日常とそれに付随するささやかな悲喜こもごもが
肯定的に描かれていることが多いように思います。
小説は大事件が起こってこそ、という人もいますが(特に火属性は)、
さりげない日常の中にこそ大事なものはある、
と乙女座は伝えてくれているように思います。
大事件が起こっていないのにちゃんと面白い作品というのは、
けっこう凄いことなのでは、と思います。


乙女座は、ただ自然が大好きで日常を大切にするわけではありません。
私としては本当に不思議なのですが、
乙女座には独自のドライさ、シビアさがあります。
本を読み進めていて、衝撃的な出来事がさらっと起こり、
いきなり突き落とされたような感じがする時があります。
しかも劇的に、センチメンタルに語るのではなく、
本当にごく当たり前のこととして語ります。
クリスティとかスティーブン・キングとか顕著です。
大自然の中で当然のことですが、
弱いものは強いものに殺され、食べられます。
これは悲劇でも何でもなく、当たり前の食物連鎖です。
宮沢賢治の童話『やまなし』で唐突に魚が鳥に食われたりしますが、
この唐突さは、そういうのに似ています。
地属性としての現実主義の現われ方なのかなあ、と思います。
私としては乙女座の要素がひとつもないので理解が難しいのですが・・・


乙女座の文章はこざっぱりしていることが多いです。
守護星が水星のためか、必要なことを最低限の短い言葉で、
物事や感情の細部まで的確に表現します。
飾り付けは少ないものの、その分意見や伝えたいことがわかりやすい。
地星座らしく、観察眼が鋭いので、これを書けば伝わるという、
肝心要を取り出すのが上手いのだろうなあ、と思います。
O・ヘンリーの短編やグリーン(水星乙女)とかが典型ですね。
官能的な表現も見られますが、
どちらかというと初心というか、少女マンガっぽい。
と、D・H・ロレンスを読んでいて思いました。
神は細部に宿り給う、という言葉がありますが、
乙女座の文章はそれを思い起こさせます。
牡牛座の作品が芸術品ならば、乙女座は匠の職人技って感じです。


主な作家
・太陽
ゲーテ、メアリ・シェリー、トルストイ、O・ヘンリー、ウェルズ、国木田独歩、D・Hロレンス、クリスティ、宮沢賢治
・月
スタンダール森鴎外モンゴメリ石川啄木室生犀星佐藤春夫堀辰雄織田作之助
・水星
トルストイ、ウェルズ、D・Hロレンス、宮沢賢治、グリーン、カポーティ
・金星
ゲーテモーパッサンプルースト宮沢賢治立原道造