文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ アメリカ作家編その1、ホーソン

ナサニエルホーソンアメリカの作家です。
ピューリタンの名門一族の出身で、
代表作は『緋文字』『七破風の家』の他、
短編集や児童文学なども書いています。

この『緋文字』はアメリカの古典中の古典で、
アメリカでは学校の教科書にも使われたりしているそうです。
日本で言うところの夏目漱石森鴎外みたいな存在でしょうか。

そういう感じならヘミングウェイ芥川龍之介位置でしょうか。


ちなみに、表記はホーソンホーソーンがあり、
『緋文字』も、「ひもじ」か「ひもんじ」で意見が分かれるところらしいです。
一応、ホーソーンの『緋文字(ひもんじ)』が一般的らしいです。
でも、ここではホーソンと書きます。
島崎藤村みたいな音が個人的に好きなので。

 

・人となり
マサチューセッツ州のセイラムという街出身で、
父親は商船の船長でしたが、幼い頃に死去し、
母方の実家にて、姉と妹と共に育ったそうです。
そのせいかもしれませんが、
『緋文字』では女主人公のへスターなど、女性が強い。
奥さんとはかなり仲が良かったり、娘も生まれたり、
女が強い家系なのかな・・・とも思います。


作家としてはなかなか芽が出ず、税関に勤めていた時期もありました。
しかし、税関の仕事も政党上のあれこれで辞めさせられ、
その愚痴が『緋文字』の長い序文である「税関」に書いてあります。
この「税関」がかなり面白い(笑)
はじめに飛ばして、『緋文字』の本文の後に読み返したら、
ユーモアの混ざった軽い文章にびっくりしました。
税関は辞めさせられましたが、後に大学時代の友人が大統領になり、
そのコネでイギリスの領事に出世したりもします。


ちなみに名字のホーソンとは植物の名前で、
和名は山査子(サンザシ)、別名メイフラワーといいます。
アメリカ移民が最初に乗ってきた船、メイフラワー号の由来です。
そして、出身地のセイラムは
最後の魔女狩りがあった場所として有名です。
しかも、ホーソンの先祖に魔女狩りの判事を務めた人物がいたらしく、
彼の作品内にもしばしば魔女が出てきます。
こういうところも含めて、色々とドラマチックなので、
わたしはかなり好きです。作品に関係ない場所でもワクワクする。

 

ホロスコープ解説
ナサニエルホーソン(1804/7/4 出生時間不明)
蟹座の太陽、牡牛or双子の月。Ascは不明。
奇しくも7月4日はアメリカ独立記念日
アメリカを代表する作家としては洒落が利いています。
ちなみに、フランスの女性詩人のジョルジュ・サンドとは3日違いです。

月は不明ですが、双子座の月じゃないかなあ、と思っています。
本編はともかく、「税関」の部分がとても双子座ぽい。
本編からは想像がつかないほど軽い語り口で愚痴、というかクビにされた恨み節が書いてあって、
とても面白いです。
真面目で暗い本編とはあまりに温度差が違うので、
一時期、「税関」だけカットされていたこともあったそうです。
同じ双子座の月の田山花袋ドストエフスキーと似たようなものを感じます。
ドストエフスキーの『死人の家』も、タイトルと分厚さはともかく、
けっこう語り口は軽い。
ある種、二重的というか、そういう温度差の違いが双子ぽいんですがね。


個人的に、アメリカ文学の代表のひとつは
ホーソンの『緋文字』だと思っていますが、
アメリカの根底の根底を流れているのは蟹座っぽさだと思うからです。
歴史的に、アメリカ人の祖先は戒律の厳しいピューリタンで、
アメリカには厳しい道徳観と、排他性がうかがえます。


そういえば、アメリカといえば、アメリカンドリームとよく言われますが、
成功して、その後に成功した分を孤児院や恵まれない人のために寄付して、
社会に還元するまでが本当のアメリカンドリームで、
それが成功者の義務とされています。
恩返しというか、社会に返すことが前提なんですね。


『緋文字』はかなり蟹座っぽさがあります。
たとえば、姦通の罪を犯した主人公は人々に排斥されますが、
罰が村八分というか、社会的抹殺というのはなかなか蟹座っぽい。
また、『緋文字』の大きなテーマは「罪と贖罪」です。
何が本当の罪なのか、どのように自分の中で罪と向き合っていくか、
その戦いがそれぞれ個人の心の内で行われているところが見所のひとつですが、
なんか蟹座っぽいなあ、と思います。
社会的な罪というより、道徳観に照らし合わせた
個人的罪な方が大問題なわけです。
なかなか重くて深いです。


この本編の重さには
不動のTスクエアが関わっているのかもしれない。
牡牛座の火星と獅子座の金星と蠍座海王星でのTです。
ひとことでいえば重い。
特に、蠍座は宗教的にオールオアナッシングで、
潔癖主義みたいな厳しさが出そうな感じ。

ちなみに、主人公のへスターですが、
蟹座に加えて、すごく獅子座の金星っぽいです。
家庭的、かつ華やかというか。
一方、主人公の娘のパールは、
誕生日3日違いの女性詩人のジョルジュ・サンドに通じる部分があります。
サンド本人や作品内に、かなり自由奔放な少女が出てきて、
それに似ているなあ、と思いました。


本編が重い分、軽い「税関」との温度差が激しくなって、
なおさら面白くなるわけです。
ひょっとしたら、そこも狙いの一部なのかもしれない。
日本の江戸時代くらいの古い本ですが、
アメリカ文学を読むなら先ずオススメの本です。