文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ アメリカ作家編その7、フィッツジェラルド

フランシス・スコット・フィッツジェラルドアメリカの作家です。
ジャズ・エイジと呼ばれた1920年代から活躍し始めた、
サガン村上春樹が大好きな作家です。
代表作は『グレート・ギャツビー』『楽園のこちら側』など。

・人となり

アメリカ中西部の生まれで、彼が生まれたすぐ後に家業が倒産。
貧しい暮らしでしたが、第一次世界大戦後に出した
長編『楽園のこちら側』で一躍人気作家になりました。
ゼルダという美しい女性と結婚し、夫婦そろって世間から注目されました。
世界大戦後の好景気もあり、連日華やかなパーティを開いていたそうで、
代表作の『グレート・ギャツビー』そのままです。
ですが、大恐慌後は借金の返済やスランプや夫婦関係に悩み、
アルコール依存症で、映画のシナリオ等を書き殴っていたそうです。
スランプの際、どうしても原稿を書かねばならず、
ひたすら「書けません」とタイプライターで打っていた、
という噂を聞いたことがありますが、本当はどうなんでしょうね。

死後、しばらく評価は低いものでしたが、
二十世紀のアメリカを代表する作家として認められました。
彼の作品は、1920年代のアメリカ黄金時代そのものです。
まさに時代の寵児である彼は、時代の空気を客観的に、的確に描写しています。


個人的なことですが、わたしの苦手な作家ベスト3に入っている人です。
いや、ファンの方には本当すみませんが、どうしてもいけ好かない
精神的なもの、普遍的なものに価値を見出す射手座にとって、
永遠より瞬間、真実より外観に重きをおく軽佻浮薄な、
1920年以降の「金ぴかめっき時代」の浮っついた空気の描写といい、
金銭至上主義、虚栄心、物質主義、
その裏に隠されたナイーブさがまた絶妙に苛立たしく、
まさに不倶戴天の相手であり、とても高評価どころではない。

流れるような文章が美麗で素晴らしいことは認めますが、
技巧重視で、深い部分まで伝わってこない。
まあ、私は翻訳した村上春樹も苦手な方なので・・・
価値の分かる方からすれば人生の重大な損失なのでしょうが、
残念ながら、ちょっと良さが分かりませんでした。
風属性が強い人は好きそうですが、
火属性(特に射手)と水属性は苦手そうな気がします。


ホロスコープ解説

F・スコット・フィッツジェラルド(1896/9/24 15:30)

天秤座の太陽、牡牛座の月、Ascは水瓶座
風のエレメントが大半を占めています。
特に目を引くのは天秤座の水星金星の合と、
双子座の火星と海王星の合、その両者のトラインです。
風属性、特に双子座や水瓶座は時代の空気を読み取ることに長けています。
それを天秤座の水星で客観的に描く・・・というスタイルでしょうか。
特徴的な文章の美麗さはこのラインで間違いないでしょう。
天秤座はやや技巧的な面はありますが、無駄のなく簡潔で、
イメージ豊かで美しい文章力は風星座の中でも随一でしょう。
ただまあ、派手な作家に多い火星と海王星はかなり諸刃の剣で、
才能の代わりに、奔放で自己中心的な性格という面があり、
アルコールや薬物の依存症に注意です。
まさしくアルコールで身を滅ぼしました。


風属性の他、牡牛座の月、獅子座の木星
それに蠍座土星と、不動宮が目立ちます。
これらに共通するのは、外見や見栄を重視することと、
誰かと深い、心からの関係を結ぶことへの苦手意識でしょうか。
特に、蠍座土星が重かったのかもしれない。
奥さんのゼルダとの関係は早くから破綻し、
最後は精神の失調で終わりました。
彼は40代後半で亡くなりましたが、
ちょうど木星期で、蠍座天王星とスクエアでした。
前半生と後半生でこれほど鮮やかな対照を描く人も
なかなかいないでしょう。


全体のホロスコープを見渡してみて、
かなり代表作の「グレート・ギャツビー」ぽいなあ、と思いました。
多少本編のネタバレになりますが、
ギャツビーという人物は、本名ジェームズ・ギャッツが
存在しない理想の人間を作り上げたもので、
美しい夢、というか虚構の存在です。
天秤座や双子座は「他人の目からどう見えるか」を気にするところがあります。
その点では獅子座は言わずもがなで、なりたい理想の自分を演じることは大得意。
さらに、太陽月の天秤座と牡牛座は美しさにこだわります。
なので、「グレート・ギャツビー」とは、
「美しい夢を形にした虚構の人物」の物語と解釈できるなあ、と思いました。