文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ アメリカ作家編その7、フォークナー

ウィリアム・フォークナーアメリカの作家です。
日本ではややマイナーですが、フィッツジェラルドヘミングウェイと同年代で、
ノーベル賞受賞作家です。
代表作は南部のヨクナパトーファという架空の州を舞台とした
八月の光』『怒りと響き』『アブサロム、アブサロム!』など。

・人となり

フォークナーは南部のミシシッピ州に生まれました。
彼の小説では南北戦争など、南部人であることなど、
南部についてよく語られます。
高校を中退後、職が定まらず、
長編作品は長い間、読者を得られませんでしたが、
批評をきっかけに評価されるようになりました。
おそらくその原因は、彼の小説が、読み方のコツを掴まないと難しいから、だと思います。

彼の作品は「意識の流れ」という手法を使っています。
ジョイスヴァージニア・ウルフが使った手法で、
とりとめのない気持ちや連想をそのまま書き、
人物の思想やら性格やらを含んだ主観を写実的にあらわす手法です。
さらに、視点がちょくちょく別の人物に変わるので、
複数の人物の主観でひとつの物語を眺める構造になっています。

また、同一人物再登場という手法もあります。
ある作品に登場した人物が、また別の作品の登場人物として出てくるというものです。
それによって、多角的に人物の把握ができるという。
バルザックが『人間喜劇』で使っていた手法ですが、ちょっと難しい。
フォークナーの作品では全ての情報が又聞きや主観で語られます。
なので、ある人物の印象は、別の人物からはまったく違うものに見える、
(だからこそ主観的な「意識の流れ」が活きてくるわけで)
という、理解して深読みしていくと大変面白い構造になっています。

が、これらを前情報なしで読み取れというのは多分不可能で、
最初読んだ時は話の構造と流れがかなりちんぷんかんぷんでした。
けれど、一度コツを掴むと面白い。
私にとってはもっと多くの人に読んでほしく、
こういう手法を活かした面白い本が増えてほしいなあー、という作家です。


ホロスコープ解説

ウィリアム・フォークナー(1897/9/25 23:00)

天秤座の太陽、乙女座の月、Ascは蟹座。
太陽、月、水星(しかも逆行中)、木星が合しています。
「意識の流れ」手法を使っていたジョイスやウルフは1882年生まれで、
この年は牡牛座に大惑星が集中していました。
フォークナーは月、水星、木星が乙女座で、
地属性に星の集中が見られます。
「意識の流れ」手法は地属性と関係しているんでしょうかね?

さらにフォークナーは乙女座にステリウムがあります。
太陽と月と水星の合している作家ってなかなか見られないのですが、
自分の主観を的確に、内面にもぐって描く傾向がある、と読めそうです。
乙女座だから、細かく、ひとつひとつ丁寧にすくい取っていく感じです。
「意識の流れ」という、自分の書きたいことを書ける手法はフォークナーにとって、
うってつけだったのでしょうね。
こう考えると、「意識の流れ」手法がけっこう難易度高いのでは、とも思います。
ここまでぴったりの人物は、さすがにもう現われないのでは(汗)


手法はそういう感じですが、フォークナーの作品では、
南部人であること、白人黒人の人種問題、そして神に関すること、が多く語られます。
特に宗教というか、信仰については真面目な人だったんだろうなあ、と思いました。
フォ―クナーの蠍座土星天王星と合していて、
獅子座の金星とスクエアしています。
この辺りに何かあるんじゃないかと思います。
約一世紀前の作家であるホーソンも同じようなアスペクトがありましたが、
どちらも信仰というか信念に関して共通する空気があります。
ただ、十九世紀初めのホーソンの時代は絶対的な信仰がありましたが、
世紀末のフォークナーの世代では、土星天王星の合ということもあり、
もはやその信仰は揺らぎかけている、とも読めます。
フォークナーが十九世紀の終わりに生まれたことは、
なかなか興味深いなあ、と思います。