文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ アメリカ作家編その3、メルヴィル

2018年12月1日追記です。

アメリカ作家の重要どころで、11月中に本を読んだので追加。

 

***

 

ハーマン・メルヴィルアメリカの作家です。
様々な読み方の出来る代表作の『白鯨』は
長い間、低い評価を受けていましたが、
近年になって再評価されました。
代表作は『白鯨』『タイピー』『ビリー・バット』など。

 

・人となり
メルヴィルは元々はアメリカの裕福な商人の家に生まれましたが、
少年時代に家が破産し、船乗りとして生計を立てていました。
この船乗りとしてのキャリアが相当長く、
人食い人種の島に行けばそれを元に『タイピー』という作品を書き、
イギリスの軍艦に乗ればまたそれを元に話を書く。
『白鯨』の中にも人食い人種が出てきたなあ、と思います。

 

『白鯨』は今でこそ有名ですが、
善悪が交錯する内容が難解なため、
出版当時はあまり評価されませんでした。
そのため、作家として食べていくことができず、
船乗りやら税関で働いたりしていたそうです。

 

メルヴィルの人生と『白鯨』にとって大きな出来事は、
先輩作家のホーソンと出会ったことでしょうか。
メルヴィルはこの十五歳上の作家をかなり尊敬していたらしく、
手紙のやりとりをしたり、作品に影響を受けたりして、
しかも『白鯨』はホーソンに捧げられています。すごい熱心なファン。
メルヴィルホーソンの『緋文字』及びその他の話の、
「悪は外からではなく、人の内側から来るもの」
というのに強い感銘を受け、これが『白鯨』でもテーマとなっているようです。

 

ホロスコープ解説

ハーマン・メルヴィル(1819/8/1 23:30)

太陽は獅子座、月は射手座、Ascは牡牛座。
全体的に火が強めです。
『白鯨』は全体のほとんどが一人称の語りなのですが、
獅子座の作家は一人称語りの方式を採ることが多いですね。
主人公は荒々しい海の男って感じで、わりと単純で、
感情移入して読むことができました。

 

『白鯨』はジャンルとして、
海洋冒険譚とくくってもいいと思います。
海の荒々しさ、鯨との戦い、仲間との交流などなど。
射手座月や双子座火星の影響か、
普通の読み物として面白いのですが、
捕鯨の知識や情報やらが途中語られていて、
ちょっと難しいところもあります。
また、途中で台詞のみの戯曲っぽい部分もあります。
メルヴィルシェイクスピアも好きだったらしいのでその影響かと)
この構成のあやふやさというか、ある種の拙さが
評価まで時間がかかった原因じゃないかとも思いますが。
そのお陰で多種多様な読みが可能にもなったんですが。
ホロ的に見ると太陽と木星オポジション
射手の月が天王星海王星とコンジャクションと、
うーん、豪快かつ曖昧な感じです。
少なくとも、大味なところは多分木星の影響でしょう。

 

この作品で、タイトルになっている白鯨、
またそれを追うエイハブ船長が何を表わしているか、
それで作品の読みが大分変わります。
白鯨をキリスト教的に神の使いと読むか、自然の象徴と読むか、
エイハブ船長を神に反した悪魔と読むか、自然に立ち向かう勇者と読むか、
数年前の押井守監督の映画『バケモノの子』で、
『白鯨』がモチーフに使われましたが、
その中では自分の負の部分?として描かれていましたね。
正直、どれでも話は通じると思います。
この曖昧さと多種多様な読みは
射手座の月・天王星海王星のステリウムと、
それにスクエアする魚座土星冥王星の影響があるのではと思います。
射手座と魚座のスクエアは、道徳や宗教の匂いが強いですね。
魚座から見れば射手座はかなり反道徳的でしょうし、
射手座からすれば魚座の信仰は純粋すぎて悪になりかねないものに見えるでしょう。
メルヴィルが意識したという、
「人の悪は心の中にある」という言葉が思い出されます。
これらの象徴を読み解くのは一筋縄ではいかないでしょうね。

その分やりがいがありますが。

 

ちなみに、捕鯨のあれこれについて、
現代だったら反捕鯨団体から大バッシングが来そうだなあと思いました。
実際、捕鯨って相当長い歴史があるんですねー。

この海や捕鯨の博物的な知識については、

後のH・G・ウェルズの『海底二万哩』にも通ずるところがあります。