文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ アメリカ作家編その11、スタインベック

2018年12月1日追記です。

メルヴィル同様、アメリカ文学の大物なので、11月中に慌てて本を読んだ結果。

 

***

 

ジョン・スタインベックアメリカの作家です。
ノーベル賞受賞作家で、アメリカ文学の巨人と呼ばれているそうです。
アメリ大恐慌時代の家族を描いた『怒りの葡萄』を含め、
作品は多数映画化されています。
代表作は『怒りの葡萄』『二十日鼠と人間』『エデンの東』など。

 

・人となり
スタインベック(長いので以下スタ氏と略します)は
カリフォルニア州のけっこう豊かな家の出身です。

名字から察せられるようにドイツ系(スタイン=シュタインはドイツ語)で、

本当の本名はジョン・アーネスト・スタインベック・ジュニア。

なんかすごそう。
大学に通う傍ら、牧場や道路工事、砂糖工場などで労働者として働き、
二十日鼠と人間』や『怒りの葡萄』などの
後の作品に活かされることになりました。
ちなみに、大学で学んだのは英文学と海洋生物学。
自然や環境に対して関心の強い作家としても有名ですが、
この辺りがきっかけだったのかもしれません。
マスの養殖場で働いたり、山小屋で生活したりもしていました。

 

ちなみに作品内で貧しさにあえぐ農民や労働者を多数描いていますが、
本人は大恐慌時代、パパの別荘を借りて釣りやら畑を耕すやらで
結構楽しくやっていたようです。いやダメじゃんって感じがしますが。

 

スタ氏は、個人的にアメリカ作家の中で
随一のイケメンだと思います。(個人的にですが)
こう、眉毛とかヒゲとかが男らしく濃ゆくて良い感じです。
後述しますが、アセンダントは獅子座です。
ヘミングウェイも生き様は男らしいのですが、
いかんせんアセンダントが乙女で、
見た目はちょっとなよやか(?)です。
獅子座アセンダントはデュマ・ペールやらバルザックやら
がっしりしていてマッチョメンな印象ですねー。
たまにカフカみたいなひょろい人もいますが。

 

ホロスコープ解説

ジョン・スタインベック(1902/2/27 15:00)

魚座の太陽、蠍座の月、Ascは獅子座。
海外作家では珍しく魚座です。
魚座の作家は日本人では多いですが、
海外の有名どころで名を挙げるとしたらユゴーとスタ氏くらい、
ってレベルで珍しいです。

スタ氏はキリスト教色が強い作家として知られています。
代表作というかもはや代名詞の『怒りの葡萄』は
聖書の出エジプト記になぞらえていることで有名です。
主要キャラクターの伝道師のイニシャルがJ・Cで
ジーザスクライスト(イエス・キリスト)と同じ
とかはあちこちで聞きます。
日本で魚座作家と言えばまあ芥川さんかなと思いますが、
芥川さんもかなーりキリスト教にはまっているお人でしたね。
そもそも、魚座時代の象徴がキリスト教なので、
あー、って感じで納得ですが。

あとは、ユゴーにもよく似ています。

ユゴーの『レ・ミゼラブル』は元徒刑囚の話ですが、

怒りの葡萄』の主人公も殺人を犯してのムショ帰りですね。

どちらの話も人間には法律より大事なものが時にはあって、

どっちの主人公もそれを破って追われることになっている、

という立場です。


スタ氏は太陽こそ魚座ですが、
水星・金星が水瓶座でコンジャクションなので、
書き味としては志賀直哉やむしろ水瓶座井伏鱒二に近い感じです。
井伏さんの『黒い雨』が一番近いのでは、と思います。
本当に一番近いのは石川啄木なんですが。
水星金星のコンジャクションは、
モラルにルーズなところがあると常々思っていますが、
スタ氏は借金こそしていませんが、結構お金には奔放ですね。


怒りの葡萄』は自然主義の作品として知られていますが、
私的にはプロレタリア文学に近いんじゃないかと思います。
途中、果樹園で不当な賃金で働かされる部分、
小林多喜二の『蟹工船』に読み心地が似ていました。
石川啄木社会主義に傾倒したりしましたね。
ちなみに、スタ氏はプロレタリア文学者の中野重治とは約一ヶ月違いです。
1899~1903年あたりはプロレタリア文学者が集まっているような、
そんな感じがしています。


魚座作家の作品はどうにもとらえどころがないのですが、
なんとなくスタ氏の作品を読んで魚座について掴めた気がします。
怒りの葡萄』で重視されるのは人々の団結です。
この団結は法や規則で作られるものではなく、
心の結びつきで作られるものです。
それはここ二千年間、魚座時代になってから
ずーっっと続けられてきたことでもあります。
また、ラスト近くで主人公が退場します。
しかし、主人公不在でもしばらく物語は続きます。
ここが魚座らしいなと思うのですが、
主人公は正直、いなくていいんです。
誰でもいいんです。逆にいえば、どこにでも主人公はいるんです。
魚座は、突き詰めていくと没個性化します。
水属性はすべからくそういうところがあります。
蛇足ですが、その次に来る火属性は決まって自我主義、個人主義になります。
魚座は一番没個性化が強いですが、その次の牡羊座は一番エゴイストです。
没個性が進みすぎると死んでいるのと大差がありません。
宗教の理想の境地は涅槃というか、自分を無くして神と同一になることですが、
その魚座がきわっきわまでいくと、
また自我を取り戻すために牡羊座になるというわけです。
上手く出来ていて面白いもんです。
閑話休題、他にも読んでいくと魚座っぽいところがたくさんあります。
日本人はそもそも魚座が強めなので、
日本人の作品を読んでても気づかないことに、
海外の視点で気づくことってあるんだなあ、と思いました。