文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ フランス作家編その3 ユゴー

ヴィクトル・ユゴーはフランスの詩人・劇作家・小説家です。
親友であるバルザック、デュマ・ペールと共にフランスを代表する作家で、
日本では『レ・ミゼラブル』がとにかく有名ですが、
フランス本国では詩人としても有名らしいです。
代表作は『エルナニ』『レ・ミゼラブル』など。

 

・人となり
生まれはフランス革命の数年後、
ナポレオン軍将校の次男として生まれました。
が、父親と母親が別居。
母親に引き取られたユゴーは、長い期間ナポレオン嫌いで、
父親とは不和にありました。
読書と勉強に明け暮れた寄宿学校で詩を書き始め、
若き作家の旗頭としてデビュー。
劇作の『エルナニ』は伝統と因習に凝り固まったフランス文学に風穴を開け、
発表の日にあわや乱闘騒ぎになりかけた程だったそうです。

 

ユゴーの作品は、政治と切っても切り離せない関係にあります。
ナポレオンは長い間嫌いでしたが、
父親と和解したことを切っ掛けに逆に大好きになりました。
折しも、共和国の政治家として活躍していたユゴーですが、
ナポレオン三世の復古王朝を大批判した影響で、
ベルギーに亡命を余儀なくされます。
ユゴー自由主義者であり、
革命前に似た復古王朝が相容れなかったようです。
しかし、亡命先からもナポレオン三世批判の詩を書きまくり、
失脚後に華々しくフランスへと帰ってきたそうです。
その影響もあり、『レ・ミゼラブル』の中には
ユゴーの政治上の思想がたくさん盛り込まれています。

 

政治家という肩書きや『レ・ミゼラブル』を読む限りでは、
ユゴーは真面目でお堅い人物なんだろうな、と思ってしまいますが、
全然そんなことはないです。
正式な奥さんとは親に反対されながらも愛を貫いての恋愛結婚。
そのくせ、歴代様々な愛人を持っていて、
人妻と不倫して裁判になったこともある。
作品としても、かなり軽い恋愛詩も多いらしいです。
あとは、亡命時代に心霊主義に凝ったことがあるらしい。
今でいうテーブルターニングにハマっちゃった。
なんか、マーク・トゥェインも似たようなことをしていたような。
後述しますが、ユゴー魚座と射手座が強めです。
神秘的なことに弱いんでしょうねえ、多分。

 

ホロスコープ解説(1802/2/26 22:30)

魚座の太陽、射手座の月、ASCは蠍座
海外では珍しい魚座の作家です。日本人は魚座がやたらと多いですが、
海外の主立ったところでは、あとスタインベックとルナールくらい。
ただしユゴーは水星・金星、そして冥王星魚座で、
最も魚座が強い作家と言っていいかもしれません。
レ・ミゼラブル』はジャン・バルジャンが主人公とされていますが、
その中にも他の多数の人物の物語が入り込み、
時には多数の主観といえるような主人公不在の状況になったりもします。
ネタバレになりますが、バリケードを築いた時とか、そんな感じです。
急に俯瞰的になるからわかりやすい。
スタインベック氏の『怒りの葡萄』でも同じようなことがあったなあ、と
思ったりします。

 

さて、ユゴー魚座にめっちゃ星があるわけですが、
そのちょうど反対側、乙女座に木星土星があります。
いわゆる、グレートコンジャクションです。
この大合がただの大合ではなく、
1784年までの火属性の大合から、
現在の地属性へとシフトチェンジした最初の回でした。
ちなみに、第二回目の大合の年には
ボードレールドストエフスキーフロベールという
かなり派手な面子が生まれています。
このシフトチェンジは240年周期で起こるもので、
ちなみに次回2020年の大合(2018年現在で)は、
この地属性から風属性へと変わる節目の年だったりします。

ただし、本人的にこの大合が良かったのかは分かりませんが。
同じく大合(むしろより強いコンジャクション)のデュマ・ペールともども、
海外に亡命を余儀なくされています。
配置として、必然的に大合の正反対に冥王星が来るのがとても気になります。
こう、築いてきた身分や財産を一瞬で無くすような出来事に遭遇、
っていうのを表わしてそうだなあ、と。
まあ二人とも偉人として名を残している以上は良かったのかなあ。
ある種、今までの時代を象徴する人物だったのかもしれない、と思ったりします。

 

さて、ユゴー氏は『レ・ミゼラブル』にて、
単なる法的な自由ではなく、人間の尊厳としての自由、
そのための教育の大切さを説いています。
社会的な悪を生むのは貧困と無知(ミゼラブル=持たざる者)であり、
法律はむしろ活用によっては人間の自由を制限し、
悪しき社会や法律こそが悪しき人間を作ると書かれています。
こういうところは魚座(もしくは射手座)らしさが出ています。
とはいえ、物語が難しくてつまらないわけではない。
むしろ、逃亡犯ジャン・バルジャンの受難と苦難と愛情の物語、
として読んでも一向に構わない。
物語の面白さはミュージカルとして成立するくらいなので折り紙付き。
むしろ、陳腐なドラマよりも思想に集中すべきだった、
という手厳しい意見がある(らしい)くらいです。
この辺りは射手座の月が良い仕事したのかなあ、と思います。
射手座にはどうしても話を物語として面白くしたがる傾向があるようです。
バルザックディケンズメルヴィルルイス・キャロルサリンジャー
という射手座月の面々を見ていると、なんかそんな感じがします。
魚座も射手座も自由を愛する、という意味では共通しています。
ただ、個人と社会という規模が違うようです。
レ・ミゼラブル』では法や革命という社会的な自由と、
ジャン・バルジャンなどなど登場人物の個人的の自由との、
それぞれの戦いが描かれていることに意義がある
と思います。