文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ フランス作家編その13 ラディゲ

レイモン・ラディゲはフランスの作家です。
作家でも屈指の若さである20才で夭折しました。
作品は少ないですが、代表作である『肉体の悪魔』は
フランス心理小説の最高峰と言われています。
日本作家の三島由紀夫が大ファンだったことでも有名。
代表作は『肉体の悪魔』『ドルジェル伯の舞踏会』。

 

・人となり
フランスの中流家庭に生まれ、
学生の時に文学に打ち込んで学校を放校になり、
自宅で創作や勉強をする生活を送ります。
それと同時期に年上の女性と不倫関係になります。
ただし、ラディゲにはけっこうわがままなところがあったらしく、
しょちゅう相手の人妻を泣かせていたとか。
これらは自伝的な『肉体の悪魔』に大体書いてあります。
ただし、これはいわゆる告白小説ではなく、
主人公=ラディゲではないそうです。
劇作家のジャン・コクトーと親友で、
色々な人に紹介してもらったり、出版の手助けをしてもらったり、
何かとお世話になったようです。

 

肉体の悪魔』は読んだことがありますが、
フランス恋愛小説の伝統に則った不倫の話です。しかも実話。
彼女に出会ってから、夫の目を盗んでの密会や彼女の出産と死、
その全てに「ぼく」がどう感じ、どう思ったかが
淡々と、簡潔に、一人称で語られていきます。
その心理分析の鋭さ、精確さは確かにすごかったです。
ただし、この小説が出たためにモデルとなった人妻(こちらは存命)は、
子供の父親を含め、生涯夫に疑われ続けることになりましたが。
芸術はともかく、人間的にはどうなんでしょうね。

 

三島由紀夫が彼の話が好きだったことで有名で、
少年時代のバイブルとしていたほどだそうです。
文体も真似したり、挙げ句自分がラディゲに似てると思ったそうですが、
多分そんなに似てないです。少なくともホロスコープの共通性は薄い。
三島さんて、言っちゃ悪いですけど、思い込みの激しい人なので、
私は、彼の言っていることはあんまり信じてないです。


ホロスコープ解説

 

レイモン・ラディゲ(1903/6/18 17:00)

双子座の太陽、牡羊座の月、ASCは蠍座
ぱっと見で目を引くのが、
太陽と冥王星海王星のコンジャクションと
射手座の天王星魚座木星のTスクエア、
水星、火星、土星の風のグランドトラインと
金星を含めたカイト、
十惑星のほとんど全てが何らかの形に参加している
てんこ盛りなホロスコープです。

 

心理小説の最高峰と言われた冷静な表現は
この風のグランドトラインのためでしょう。
双子座の水星の鋭い感受性と、
水瓶座土星が良く客観性が良く出ている感じです。
三島由紀夫から「エレガンスな文体」と言われたというのは、
天秤座の火星のおかげかなあ、とも思います。
双子座の太陽で風のグランドトライン持ちって、
ジャーナリストや作家として有利そうです。
実際はあんまりいませんが。
考えや言葉が溢れすぎてしまうせいでなかなか形にできないのかも、
とも思います。
また、土星と金星がオポジションしているのが面白く、
作品内で主人公は不倫相手の女性を疑いに疑います。
愛のため、嫉妬のため、あとは罪悪感のためでしょうが、
なんで、人妻はこんな奴と付き合ってるんだろう・・・
と真剣に思いました。
多分、現実のラディゲもそうだったのでしょうが、
なかなか素直に恋愛を受け取れない人だったんでしょうね。

 

で、Tスクエアの方ですが、
けっこう激しいというか、不吉な星が集まっています。
太陽と冥王星のコンジャクションとか、
それと天王星オポジションとか、
その両者が月に向かって流れ込んでいるのとかで、
こう、なにか激しい衝動のようなものを抱え込んでいたのではないかと。
肉体の悪魔』もそうですが、なんで不倫をしたかというと、
ちょうど第一次世界大戦中だったからです。
戦争中の空気はけっこう特殊ですから。
時代の閉塞感を感じていたんじゃないかなあ、と思います。

 

あとは率直に言うと、精神を病んでそうです。
ラディゲは一説では食べ物にあたって亡くなったそうですが、
身体を病んでなかったら心を病んでいたでしょう。
ラディゲのホロスコープと小説を読んでいると、
なんとなく太宰治と『人間失格』に似てる気がします。
あれも本人に似ているけれど、本人そのものではない、
「偽りの自叙伝」です。
双子座の太陽、冥王星コンジャクションのせいでしょうか、
多分、二人とも自分の本当のことはわからないのではないかと。
太宰治の文章がもうちょっと冷静になって客観的になったら
ラディゲになる感じです。おさむはかなり主観的なので。
でもそしたら、太宰治の良さが全部無くなるか。
それにしても、三島由紀夫はおさむのこと嫌いだと公言していたのに(笑)