文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ フランス作家編その14 カミュ

アルベール・カミュはフランスの作家です。
当時フランスの植民地だったアルジェリア出身で、
ノーベル賞受賞作家でもあります。
代表作は『異邦人』『ペスト』評論『シーシュポスの神話』など。

 

・人となり
フランス領アルジェリアの寒村に生まれ、
貧しい家庭だったそうです。
その後奨学金をもらい大学に進むと文学を始め、
ジャーナリストになりました。
しかし、新聞に当時アルジェリアを支配していた総統府の
非人道的な行為を批判する記事を書いたため、
アルジェリアを追放されます。
その後、第二次世界大戦中、ドイツ軍占領下で出版した
『異邦人』で文名が上がった後も
ドイツ軍へのレジスタンスや
非合法の新聞を発行し、アルジェリア独立戦争への停戦呼びかけなど
政治への関心は持ち続けていたようです。

 

カミュは「不条理」の作家だと言われています。
『異邦人』とは社会的、伝統的、宗教的な慣習、
一般的な人のある種パターン化した常識から追放された存在ということです。
「不条理」というと正直意味がわかりにくいですが、
とある理由から何となく理解が進みました。
詳しいことはホロスコープ解説にて。

ホロスコープ解説

アルベール・カミュ(1913/11/7 2:00)

蠍座の太陽、水瓶座の月、ASCは乙女座です。
ぱっと見で派手なアスペクトはなく、
水瓶座天王星と蟹座の海王星、火星が
オポジションしているくらいですが、
これが彼のホロでは重要です。

カミュを理解するのに重要な人物がいて、
誰かというと、日本作家の織田作之助です。
カミュは織田作と2週間違いの生まれです。
2週間では水星や金星など多少星の配置が変わっていますが、
大筋では同じです。むしろ、動いた星が作風にどう影響しているのか、
もっとわかりやすいくらい。
一見、全然似てないよー、という感じですが、
よくよく見ていくと共通点があります。


織田作については以前書きましたが、
彼含む無頼派は旧来の伝統や慣習を相手に派手に反抗しました。
織田作の場合は社会伝統への反抗もありますが、
私小説中心の古い文壇(その象徴が志賀直哉だったりする)に反対して、
自由で新しい文学を作りたかった、ということも言っていました。
夫婦善哉』などで下町庶民の生活を描いている一方、
そのために新しい可能性をあれこれ試している小説もありますが、
日本文壇の「私小説が本当の文学で、小説家は本当のことを書かねばならない」
みたいな空気に真っ向から反対した、フィクションの面白さを追求しているもの
もよく書いています。実際、かなり面白いですが。


カミュのいう「不条理」とは社会の不条理のことです。
『異邦人』では母親の死を見ても涙を流さず、
殺人の理由を法廷で問われて「太陽のせい」と答える青年ムルソーが主人公ですが、
逆にいえば、母親の死を見れば涙を流さなければならない、
殺人をするには何か立派な動機がなければならない、
わたしが本当にどう思うかはともかくとして・・・
正直で誠実な主人公はその本当にどう思っているかを口にした結果、
変わり者、もっと言うと社会的な悪人扱いされて死刑となります。
理由を述べろと言ったから正直なことを言ったら怒られた、
というのが「不条理」ということなのだと思います。


カミュも織田作も常識の皮を被った社会規範に反対していることが
なんとなくわかります。
また、何だかんだ二人とも人情には弱いところがあるようです。
二人の違いがあるとすれば、
カミュの方がより観念的、織田作の方がより生活的、
というところでしょうか。
それぞれ月が水瓶座と乙女座なのがはっきり違いに出ています。
あとは、カミュの水星が移動して射手座に入っているので、
文体の書き味は大分違うかもしれない。
しかし、根っこというか雰囲気は似ています。
ということは、織田作も頑張ればノーベル賞取れたかもしれない、
かどうかはわかりませんが(笑)、
比較してみると分かりやすくて面白いもんですね。