文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ イギリス作家編その11 サマセット・モーム

ウィリアム・サマセット=モームはイギリスの作家です。
20世紀初頭のイギリスで大人気になった作家で、
長編小説の他、様々な戯曲や短編を残しています。
代表作は『月と六ペンス』、『人間の絆』など。

 

・人となり
モームはイギリス人ですが、パリ生まれです。
幼い頃に母親を亡くし、10才で父も亡くして叔父に引き取られます。
厳しい叔父の元で教育を受けますが、あまり幸せな子供時代ではなかったようです。
この辺りは自叙伝的小説『人間の絆』に詳しいです。
その後、医師になろうとしますが、人付き合いが苦手で断念し、
勉強中に書いていた小説や戯曲に打ち込みます。

 

第一次世界大戦中には英国の諜報員として参加し、
後々その経験を活かしてスパイ小説を書いています。
自伝的な『人間の絆』もそうでしたが、モームは自分の見聞きしたことや、
何らかの経験を活かして小説を書くことが多いです。
経験を力にするタイプのようですが、
どちらかといえば、されたことを根に持つタイプで
小説の中に登場する嫌味な人物のモデルを現実の人物から取り、
あえてわかりやすいように書くということもしています。
仮に何か嫌なことがあっても、それを作品の中で浄化できるのは小説家の特権である
と作品内で語っていたことがありました。
モームの私生活はとても幸せだったとは言い難いものでした。
不器用な人で、社交はともかく心を開いた人付き合いが苦手で、
同性愛傾向があって奥さんと上手く行かず、離婚と再婚を繰り返していました。
よっぽどストレスたまってたんだろうなあ・・・

 

ホロスコープ解説(1874/1/25 9:10)

水瓶座の太陽、牡牛座の月、ASCは魚座
モームホロスコープはイギリス作家屈指の派手で複雑なものです。
まず、水瓶座の太陽と土星コンジャンクションし、
山羊座の最終度数近くで水星と金星がコンジャンクションし、
それらでステリウムを作っています。
太陽と水星がコンジャンクションしている作家には自伝的作品だったり、
自分の経験を活かす作家が多いのですが、
モームはその代表格です。
自伝的作品の他にも、モーム歴史小説も多く書いていたり、
『月と六ペンス』もゴーギャンの人生に取材したものですが、
やはり誰かしらの人生を自分の物にして描いています。
ここで歴史小説というのが山羊座の水星金星らしいですが。
太陽、水星、金星の何れかのコンジャンクションは人気作家が良く持っていますが、
ここに土星が関わってくるのがモームです。

 

さて、太陽近辺で十分派手ですが、そこに牡牛座の月がスクエア、
獅子座の天王星オポジション、つまりTスクエアを作っています。
牡牛座の月の人は母親と関わりの強い人で、
大デュマとかアンデルセンとか谷崎潤一郎とか、
結構マザコンっぽいのですが、
モームも子供の頃に亡くした母親にことさら強く拘っていたそうです。
親と死に別れるたり、不幸な子供時代を送ったり、
というのは月の太陽や天王星のハードアスペクトにはありますが、
かなりトラウマものだったんだろうな、と思います。

 

太陽水星に土星天王星オポジションしているアンデルセンもそうでしたが、
モームは『人間の絆』以外にも
繰り返し繰り返し、何度も自伝的作品を書いています。
自分の人生に自信が持てていないのがありありとわかる。
モームも小説を書くのは、心の傷を癒やすため、
ある種の復讐のためだったのでしょう。