文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ ロシア作家編その1 ドストエフスキー

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーはロシアの作家です。
文豪、と聞けばドストエフスキーと答えが返ってくるくらいの超有名作家です。
罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の四大長編の他、

地下室の手記』『死の家の記録』などのこゆい作品が長編短編含めて多数あります。

 

・人となり
ドス(※名前が長いので以下ドストエフスキーのことをこのように称す)の人となりを書くに当たって、
去年の神田古本市で買った太田直子著『ひらけ!ドスワールド』(2013、ACBooks)を参考にしました。
全編通してドス愛に溢れ、普通に読んでも面白い本です。
この本に倣い、私もドスと呼ばせていただきます。

ドスは1821年にロシアの下級貴族として生まれました。
貴族といってもそんな裕福ではなく、父親は医者として働いていました。
ちなみに、1821年といえばフロベールボードレールと同い年です。

子供時代は読書三昧で多少根暗だった(らしい)ドスは
兄と一緒に寄宿学校に入りますが、十代後半くらいのこと、
父親が領地の農奴に殺されるという事件が起こります。
これがドスの人生に大きな影響を与えた、と伝記などでは書かれているらしいです。
まあ影響ないわきゃないわなと思いますけど。

ともかく、学校を卒業して役所に勤めますが、一年で辞めて文筆に集中します。
そして書かれたのがデビュー作の『貧しき人々』。
これが話題になり、ドスは新進気鋭の新人として文壇に迎え入れられます。
しかし、その後は鳴かず飛ばず
そうこうしているうちに、参加していた社会主義系のサークル関係で逮捕され、
政治犯として銃殺刑の宣告を受けます。
このあたりはすごいです。
銃殺刑の宣告を受けた作家なんて世界に何人もいないでしょう。
まあ見せしめの意味が強かったらしいので、
銃殺刑を受けるほんの数分前に皇帝から恩赦が下り、シベリア流刑になります。
この頃のことは非常に衝撃的だったらしく、『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』、
他多数の作品で影響を見ることができます。
シベリアで服役し、数年経てモスクワに帰ってきて、
やっと新生ドスが誕生したわけです。

ドスといえば世界級の大文豪ですが、
実際の人となりはかなりのうっかりさんで困った人でした。
すごかったのが賭博癖と借金癖です。というか、賭博癖からの借金がひどかった。
最初の方の奥さんと不仲だったドスは別の恋人を作ってヨーロッパへと旅行に行くのですが、
ストレスのせいか、賭博に異様にのめりこんでしまった。しかも弱い。
どれくらいすごいかというと、
同じ作家仲間のツルゲーネフに借金を何度もしてついに絶縁された、
借金が払えずに同行した恋人の足下に土下座した、
などというエピソードがあります。

ちなみに、編集者から原稿料を前借りして、
「あと一ヶ月で書けなければ向こう数年間タダ働き」
という状況に追い込まれたこともありました。
この窮地にドスは口述筆記という裏技を使い、
一ヶ月で本当に作品を一本仕上げてピンチを脱しました。
もうどこからツッコんでいいのやら。
そして、この時書かれた話のタイトルが『賭博者』(笑)
もう笑うしかないじゃないですか。しかもこれで結構面白い話なのだから。
大文豪の威厳ゼロです。
結局、文豪だろうが何だろうが、ただの人間ってことですな。

にしても、〆切間近に口述筆記でかっ飛ばして書く、
って、どこかの誰かさんもやっていましたが、
いつの時代のどこの国にもこういう人がひとりはいるもんですねえ。

 

ホロスコープ解説

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821/11/11 9:47)

蠍座の太陽、双子座の月、ASCは射手座。
蠍座なのはすっっっごいよく分かる。
ドスの『罪と罰』は読んだことがあるのですが、
ラスコーリニコフ青年の内面の心理が事細かに書かれています。
事細かすぎて、すっっっごく読むのに疲れます。
テンポは速めなので読みやすいのですが、いちいち感情移入していると非常に忙しない。
なので私はドスが結構苦手の部類なのですが・・・
この読みやすさは双子の月由来でしょうね。
双子座の太陽、月問わずですが、文章が読みやすい人が多い。
ドスも重苦しいイメージがありますが、意外と文章は軽やか。
カラマーゾフの兄弟』なんかは会話文がとても多い。
しかし意外なのが、射手座が強いところ。
ASCの他に水星も射手座です。
射手座の水星ってあんまり居心地が良くないと言われているので、
ほんと、結構意外でした。
蠍座太陽で射手座に水星が入っている人を見てみると、
泉鏡花、ミッチェル(月も同じ)、カミュあたりです。
なんとなーく傾向が見えてくる気がします。
けっして文章がすごく上手いとか読みやすいわけではないけれど、
人の心の奥底や心理をえぐるのが上手いって感じですかね。

さて、ドスが生まれたのは1821年です。
前も書きましたが、この年は約170年に一度の天王星海王星の合がピークの年でした。
この合に特に強い影響を受けたのがボードレールとドスです。
ドスの場合、山羊座の0度で金星、天王星海王星が合で、
そこに魚座冥王星がスクエアで横やりを入れてきます。
ドスのテーマは色々と小難しいこと言われていますが、
私としては「人(=政治)と神(=宗教)」だと思っています。
この神という概念が日本人としては理解しにくいと言われていますが、
キリスト教の神というより、良心とか善とか「何か偉大な存在」っぽくって、
むしろ、日本人の概念に近いんじゃないかなあ、とも思います。
まだ『罪と罰』しか読んでないので理解しきれていませんが…

しかしボードレールは酒とクスリと借金で苦しみましたが、
ドスは賭博と借金で苦しみました。
どうやら天王星海王星が絡むと、何かしら厄介な人になるようです。
金星と冥王星のスクエアもヤバい感じです。
日本の誇る借金王・石川啄木も金星と冥王星のきっついスクエアがあったなあ・・・

 

いろいろ書いてとても長くなりましたが、
ドスは言われているほど偉大な人間や孤高の天才ではなく(変人ではあるけど)
流刑になったり借金まみれだったり賭博にハマっちゃうような意外と人間くさくて親しみやすい人なので、
読んでみたら、意外とドスにハマっちゃうかもしれません。