文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ ロシア作家編その2 トルストイ

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイはロシアの作家です。
ドストエフスキーと並ぶ大文豪で、
ロシア国内では、彼こそ最高の作家であるという評価も与えられています。
代表作は『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など。

 

・人となり
トルストイはロシアの由緒ある伯爵家に生まれました。
ドスとは違って裕福な大貴族です。
ちなみに、親戚(確か甥っ子)もA・トルストイという作家がいます。

裕福で苦労することなく育ったトルストイですが、
相続した農地で農民の生活改善を目指したり、
自分の土地の農奴(領主の持ち物とされる農民)を解放しようとしたり、
農民のための学校を建てたり、
理想主義が多分に混じっているこの改革は上手くいったり行かなかったりですが、
いろいろと取り組んだことは事実です。

トルストイは作品以外に思想面でも強い影響力を持っています。
非暴力・平和主義や自分の財産をなげうっての社会事業、
晩年には独自のユートピア的な思想を広めるため、
もっぱら社会思想家として活動していたそうです。
これはトルストイ運動と呼ばれているそう。
この思想、かなーり理想的なものなのですが……
大文豪が最後に行き着いた答えとしては興味深いので解説で詳しく触れます。

私生活では9男3女(!)という大家族に恵まれ、
孫も生まれましたが、だんだんと自分の人生に悩み始めます。
また、裕福な大貴族であり、召使いに囲まれての生活に疑問を持ち、
1910年、82才の時に家出します。
その途中で体調を崩し、小さな駅で肺炎にて亡くなりました。

作品面・思想面の影響力は大きく、ロシア国内から世界中にまで見られます。
日本は明治時代に大いにロシア文学の影響を受けたのですが、
白樺派武者小路実篤有島武郎あたりはかなり強い影響が見られます。
とりわけ影響を受けた武者さんはトルストイに倣い、
「美しい村」という村人同士の相互援助で生活する農場を作っています。
日本版トルストイって感じです。
あとは宮沢賢治もかなり似ています。
農民のためにあれこれ取り組みをするとか、
自分の裕福な家柄が申し訳なくなって農民と同じような生活をするとか。

宮沢賢治でも思いましたが、
どうしてこう、この人たちはお人好しなのか。
人間、生まれたからには自分の目的を達成するために最大限動くべきという、
自分第一主義者の私(射手座)から見ると苦々しくて仕方がない。
お人好しと言ってしまえばそれまでですが、
やはり自分をなげうって皆のために尽すという行為には、
これだけ多くの人を共感させるような、一種の美しさがあるんでしょうね。

 

ホロスコープ解説
レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(1828/9/9 22:52)

乙女座の太陽、乙女座の月、ASCは蟹座。
はい出ました、乙女座。武者さんやみやけんが影響受けている時点でなんとなく予想はしていましたが。
めちゃくちゃ乙女強いです、この人。
太陽、月、水星が合。
さすがの大作家、さすがの影響力という感じです。
自分の考えや思想を上手く書き表す才能があったんでしょう。
農民のために尽すとか、私財をなげうつとか、非暴力・平和主義など
地属性・奉仕・暴力反対の乙女座っぽいキーワードが頻出しています。
この人がやった事業の中では、
農民のために学校を建てるというのが興味深いです。
これから農民がひとりの人間として生きていくにあたって、
学があること、ものを識別する能力が大事だと考えたわけです。
こういうところも実に乙女座っぽいです。

そして、この乙女座のステリウムに、
山羊座の火星と海王星の合がトラインしています。
少し離れた山羊座天王星も含めて、
地属性に6星入っていることになります。
まさに、理想のために邁進する、って感じですね。
実際に社会を変えるためにあれこれ活動している方なので、
山羊座の火星が良い仕事をしているのかもしれません。
その活動が理想の社会を作るため、
また、思想や宗教面での活動に出る辺りが、
山羊座の火星と海王星の合だな~って感じです。
しかし、火星と海王星アスペクトが強い人は、
結構わがままだったり、理想が高すぎて苦悩したり、
海王星の影響か酒その他に溺れる傾向が強いと思っているのですが、
トルストイは乙女座のステリウムに上手く流れたから大丈夫だったのかもしれません。
結局、苦悩は深かったようですが。

作家としてのトルストイの顔もホロに出ています。
トルストイ写実主義の作家として知られています。
現実社会をありのままに描くというアレです。
代表的な例は『戦争と平和』。
制作足かけ5年、登場人物は500人超、
日本版だと分厚い文庫で4冊以上という大長編です。
これは写実主義の傑作で、
サマセット・モームが「世界の十大傑作」のひとつに挙げているそうです。
長すぎてわたしはとても読む気になれませんが……
同じく地属性が多い作家のバルザック同様、
トルストイといえばやたらと長いイメージがあります。
作品内ではトルストイの思想や経験と思しき場面が多々登場します。
ここは太陽・月・水星が発揮されている感じがします。
太陽や月と水星が合している作家は、
作品を自分の言葉や思想を伝えるツールとして書いている面が強いなあと思います。
しかし、地属性ばっかり入っているせいか、
作品の展開が遅々として進まないことがままあります。
火属性や風属性が強い人にとっては読みにくく感じるかもしれませんが、
「これが地属性の典型か~」と思って読んでみると、
何か新しい発見があるかもしれません。