文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ 推理作家編その5 江戸川乱歩

江戸川乱歩は日本の推理小説家です。
横溝正史と並んで、日本の推理小説の第一人者です。
細かいところは以前に書いた文章があるので、そちらを参考に。

ポーやドイルには言うことはないけれど、

乱歩には言ってやりたいことがあるので。
乱歩の作品にはスリラー小説や少年向けや純文学っぽいものもありますが、
ここでは推理小説家として見ていきます。

 

○『D坂の殺人』他 ※多少のネタバレ注意

D坂にある古本屋にて女主人が殺害された。
その解決に明智小五郎が乗り出すが、どうも彼も怪しいようで……?

 

乱歩初期の短編です。
この作品を読んだ先輩探偵作家の小酒井不木が絶賛したことで有名です。
視点人物は明智小五郎じゃないんですが、
探偵役のはずの明智小五郎がかなり怪しいという、ちょっと変わったものです。
殺害したトリック(というかロジック)そのものはごく単純、

そんなのアリかよ!?と思うもので、
わたしは持っていた本を壁に投げつけそうになりました。

(図書館のものだったのでやめましたが)
乱歩は最後の最後で結末を二転三転させて、しかも嫌な方面にひっくり返す傾向があるので、
それが許せるか許せないかで好みが分かれそうですね。

非現実的なこと書いているくせに、変なところで現実的なんですよね、この人。


『赤い部屋』『湖畔亭事件』、推理じゃないけど『人間椅子』などでは、
見事に嫌な方面にひっくり返されて、ポカーンとしました。
「ハハハ、嫌だな~、そんなことが現実にあるわけないじゃないですか~」
と、言われている気がする。お前が言うな、と。
その読後感の悪さも含めて魅力なんでしょうか……ううむ。

 

そういえば、乱歩は長編が苦手だったらしいですね。
最後までプロットを考えずに書き出して、詰まると旅に出るというパターン。
一寸法師』『蜘蛛男』は確かにちょっといまいちだったかな……
色々とツッコミ所が多すぎるので、そういう意味で面白くはあるんですが。
しかし、短中編はなかなか面白いものも多いです。
『心理試験』『石榴』『陰獣』ちょっと変則だけど『目羅博士』とか?

 

わたしのオススメは『何者』です。
乱歩の中ではかなりまとも、というか珍しく本格派です。
というか、力を入れて書いたこの作品の評価が当時あんまり宜しくなかったので、
結局、怪奇や変則方面に向かって行ってしまったという曰く付きのもの。
タイトルや内容はE・A・ポーの『お前が犯人だ!』を参照にしていますが、
推理もちゃんとしていますし、良い意味での裏切りもある。
ポーよりもエラリー・クイーンに近い感じ。
この人もやろうと思えばちゃんとやれる人なんですよ。
むしろ、本格派の方が書きたかったらしいですし。
ただ、折しも時代がエログロナンセンス最盛だったのが運のツキだっただけで。

 

そういえば乱歩の作品って、海外作品のトリックの流用・変形が多いようです。
『何者』然り、『心理試験』然り、『石榴』然り。
『赤い部屋』も谷崎潤一郎の作品を参考にしたらしいです。
ちゃんと工夫はしてあるものの、
なんかどっかで見たことあるなあ、と思うものがしばしば見られる。
明言しているあたり、正直なのか、なんなのか。
自分でトリック考えろや、と思う一方、
よっぽど国内外のミステリを読んでいたんだなあ、と感心します。
幻影城』という東西の推理小説のトリックを分類した本も書いているくらいですから、よっぽど詳しかったんでしょうね。
天才というより、秀才タイプなんでしょうか。


ホロスコープ解説

江戸川乱歩(1894/10/21 出生時間不明)

 

太陽は天秤座、月は蟹座(確定)、ASCは不明。

前にも書きましたが、太陽天秤座で土星と合、
それが牡羊座の火星ときっちりオポジションです。
エログロの部分がここに由来しているだろうことは周知の事実。
推理小説家としてはロジック中心に持ってくる作家、という感じでしょうか。
また、土星ときっちり合している辺りは、
最後の(私の苦手な)嫌なひっくり返し方に通ずるところがあります。
結局のところ、現実主義なんでしょうな。
また、乱歩は戦後になると評論の面で活躍します(『幻影城』含む)。
個人的なイメージですが、天秤座って評論が得意そうですね。
客観的に言葉で語りたいタイプに思えます。


で、水星は蠍座天王星と合。
この辺りはエラリー・クイーンとよく似ている。
プロット担当のフレデリック・ダネイとも、
執筆担当のマンフレッド・リーとも。
かなり意表を突く結末や展開が得意。
蠍座ゆえか、乱歩の作品って心理トリックが結構多いですよね。
誰もそんなことは考えない、人の盲点を突くというか。
そういうところは蠍座っぽい。
発想そのものはかなり奇抜なんですが、
それを天秤座で論理的に道筋立てて考えていく。
天秤座そのものは理知的なのですが、手に負えない蠍座の水星が振り回している感じで、結構見てると面白いです。
セイヤーズもそうですが、風星座と水星座が隣り合って強い人って結構面白く感じます。
また、蠍座って情報を集めて分類していくのが好きなタイプなので、
ここもらしいなあ、と思います。トリック集成について。

 

さて、蟹座には月と、木星が同居しています。
ぱっと浮かぶのは、
蟹座といえば、模倣が得意だな……ということ。
しかも、蟹座はただの真似ではなく、さらに自分なりに発展させるところ。
まさに乱歩スタイルでは? と思います。
乱歩も若い頃は人付き合いが超苦手(あの太陽と水星じゃ無理もない)でしたが、
徐々に克服して、日本推理クラブを作ったり、若手の世話をしたり、
けっこう面倒見の良いところが発揮されるようになります。
そもそも蟹座って、天才というより秀才タイプですよね。

 

こう見ると、牡羊座の火星以外はかなり推理小説家っぽい配置してますね。
火星だけは明らかに別方面。
こう、少年探偵団とか猟奇趣味とかそういう方面の影響だろうなあ、と思います。
しかし、これがあってこそ乱歩になる要素であることは間違いない。
なかったら、乱歩もただの推理小説家です(それはそれで本望かもしれませんけど)。

というか、気になるのが乱歩はどういう要素でE・A・ポーが好きだったんですかね。
やっぱり蠍座の水星あたりが怪奇趣味に反応したのか、
天秤座の太陽、土星、金星あたりが推理もの(ポーの火星は天秤座)に反応したのか。
その辺りがちょっと気になりますね。

 

しかし、特に国内の作家は江戸川乱歩の影響がある人が多いようですね。

新人発掘や日本推理クラブ、

少年探偵団などの子供向け活動があったことも理由のひとつでしょう。

名探偵コナン』を含めていいならば、現代への影響も計り知れない。

あとは、やっぱり日本人にしか通じないネタが使えるのが強みかなあ。

やっぱり文化や言葉の違いってあります。

わたしはあまり好きって言いたくない人ですが。

だって変態だし、怖いじゃん。ねえ?