文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ 推理作家編その7 エラリー・クイーン

エラリー・クイーンアメリカの推理小説家です。
実はエラリー・クイーンは一人ではなく、
プロットを担当するフレデリック・ダネイ、
執筆を担当するマンフレッド・リーの連名のペンネームです。
二人は従弟同士だったらしいです。
(ちなみにダネイとリーもペンネーム)

 

作家と同名の探偵、エラリー・クイーンが活躍する作品は
後に多大な影響をもたらしました。
代表作は『ローマ帽子の謎』に始まる国名シリーズ、
バーナビー・ロスという別の名前で『Xの悲劇』に始まるシリーズもあります。
こちらも名作として有名です。

 

エラリー・クイーンの国名シリーズ

「読者よ、すべての手がかりは与えられた」

 

タイトルに国の名前が必ず入っていることからこう呼ばれます。
フランス、オランダ、アメリカ、スペインなど。日本もあります。
この中でも有名なのが『フランス白粉の謎』『ギリシャ棺の謎』『エジプト十字架の謎』です。
それぞれどうしてそんな状況になったのか、理解に苦しむようなものばかりですが、
実に明快な論理で推理していき、最後には全てすっきりします。
なので、読後感がとても爽快です。
すごいところが、発想が奇抜なトリックや論理ではなく、
誰もが思いつくことができて、気づきさえすればわかるだろうところ。
多分、わかりさえすれば誰でも犯人が当てられると思います。
ただ、普通ならば気づかないような些細な手がかりなので、
まずもって誰もわからない。
そして、最後にエラリー・クイーンが解き明かして、
周りが「おお!」というのが鉄板のパターンです。
これが、本当に惚れ惚れするような推理なのです。

 

エラリー・クイーンの有名なところといえば、
読者への挑戦を入れるところでしょうか。
全ての手がかりが与えられて、犯人を当てることが出来る時点で、
「読者よ、すべての手がかりは与えられた」
というお決まりのセリフが入ります。
この時点までで出てきた情報で犯人を当てることは可能である、という。
わたしは当てられたことが一回もありませんが。
S・S・ヴァン・ダインの二十則の中にも解答編の前に必ず読者に知らせなければならない、
というものがあります。
登場人物紹介といい、フェアプレーに拘る傾向があるようです。

 

エラリー・クイーンの作品はつまらないものがないと言われているので、
推理小説好きの人ならば言うまでもなく、
初心者の人も読みやすいと思います。

 

ホロスコープ解説

フレデリック・ダネイ(1905/10/20 出生時間不明) ※プロット担当
マンフレッド・ベニントン・リー(1905/1/11 出生時間不明) ※執筆担当

それぞれ太陽天秤座、山羊座、月は蟹座、魚座(確定)、ASCは不明。
推理小説家って全然出生時間明らかになってないんですよね……くそう。

 

さて、この二人(従兄弟同士らしいです)がどうして組んだかというと、
ダネイはプロットは作れるけど文章が書けない、
リーは文章は書けるけどプロットが作れない、
という、互いの短所と長所を補った結果だったそうです。
まずプロットをダネイが考えて、二人で相談して直しつつ、
リーが実際に書くという。

 

まずダネイの方から見ていきます。
天秤座の太陽と蠍座の水星が合、
これが水瓶座土星と双子座の冥王星とトライン、
風のグランドトラインを作っています。
うわあ、推理小説家っぽい。
たしか、アガサ・クリスティにもありましたね、風のグランドトライン。
前述した通り、エラリー・クイーンは奇抜なトリックは使いません。(わたしが読んだ限りでは)
ごく当たり前の、些細な事実から推理を重ね、
やがて全体の真実を導きだしていきます。
トリック派というより、ロジック派。
そういうところは天秤座、および風属性らしい。
同世代のディクスン・カーと正反対で面白いです。

 

他に気になるところでは
山羊座天王星と火星が合、
これが太陽水星、土星と小三角、双子座の冥王星オポジション
ということは、風のグランドトラインにカイトを作っています。
しかも火星の正反対には月と海王星の合が。
この辺り、かなり訳分からなくなっています(乙女座金星も入れればTスクエア)。
1905年から10年近く続く、天王星海王星オポジション世代です。
多分ですが、この人がプロットしか書けなかったのはこの辺りに原因があるんじゃないかなあ、と思います。
あんまり天王星海王星の影響が強すぎると、かえって普通の文章が書けなくなるのではと。
例えば、ジャン・ジュネの文章とか、かなり難解です。
考えるんじゃない、感じるんだ方式というか。
しかし、推理小説は明快で簡潔な描写あってこそですからね。
人によってとらえ方の違う、感じるんだ形式では困る。
文章が理解できなければ推理以前の問題です。
月と海王星の合、火星と天王星の合はそれぞれ単体で見れば大作家も多いんですけどねー。
ダネイは発想力がすごいけれど、それを形にまとめられない人って感じでしょうか。
数学の証明は得意だけど計算が苦手みたいな。


続いて、リーの方。
天秤座の火星、魚座の金星、蟹座の海王星でグランドトライン、
さらに、海王星山羊座の水星天王星の合がオポジションでカイト。
火星、水星天王星、金星で小三角。
なんと、9ヶ月も離れているのに二人ともだいたい同じ位置でグランドトラインがあるという。
ダネイと似ていますが、リーでは風属性は減って、水の方が強くなっています。
しかし、リーも文章が訳分かんなくなってもおかしくないのに、
ちゃんと簡潔に書けていますね(失礼)。
割合シンプルになっているからか、カイトになっているからか。
オポジションこそありますが、カイトはかなり安定している形なのだそうです。
グラントトラインの循環するパワーが一点に流れ込むとか。
その先は水星ですしね。
天秤座の火星も関わってるし、
面白く、かつ整頓された文章が書けそうだなーと思います。

 

しかし、二人とも似たもの従兄弟だったようですね。
同い年とはいえ、なんとなく構成要素が似てる。
これだったら、そうモメずに面白い話が作れたんじゃないかなあ、と思います。
しかも、それぞれお互いの水星と火星が入ることで水と風のグランドトラインを作っている。
論理面と心理面、両方からアプローチ。
エラリー・クイーンの作品は複雑なトリックが少ない代わりに、
犯人が誰か(フーダニット)、
どうやったのか(ハウダニット)、
どうして起こしたのか(ホワイダニット)、
をきっちりと推理していきます。
この過程で犯人の心理や背景にもかなり迫っていきます。
その辺りが水っぽいなあ、とも思います。
作品を書くとき、カーはトリックから、エラリー・クイーンは犯人から考え始めると聞いたことがありますが、やはり犯人の心理あっての推理なんでしょうね。
ダネイとリー合わせての二人だったらそれが補えたのではないか、と思います。

特に、ベテランになってから書いた『災厄の町』などは、

論理より心理描写にメインが置かれているそうです。

クイーンは時間が経つごとに作風が変わっていくそうなので、

がんばって読んでいきたいと思います。