文豪とホロスコープ

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文豪とホロスコープ 推理小説編その9 S・S・ヴァン・ダイン

お久しぶりです。

なんやかや仕事やプライベートなことが重なりまして、

ご無沙汰しておりました。

いつの間にかサイトも一周年を越えておりました。

最初の方に書いた日本作家とか、

もはや全て書き直したいという衝動で一杯ですが、

ひとまずは推理小説作家編、続行していきたいと思います(^o^)

***

 

S・S・ヴァン・ダインアメリカの推理小説家です。
美術品をこよなく愛する素人探偵ファイロ・ヴァンスを主人公とし、
代表作は『グリーン家殺人事件』『僧正殺人事件』など。

生年月日では本来はクロフツとクリスティの間に入る人なのですが、

諸事情で後回しになっておりました。

 

○『グリーン家殺人事件』

ある雪の降る夜、時代に取り残されたような館に二つの銃声が響く。
それは、名家の連続殺人の始まりを告げる音だった……


作品に入る前に作者についてちょこっと解説。
ヴァン・ダインは本名はウィラード・ハンティントン・ライトと言い、
元々は新聞に美術関係の批評を書いていたそうですが、
病気療養中に暇にまかせて2000冊の推理小説を読破し、体系的に研究、
「この程度の作家がヒットしているなら私にも書ける」
と思って、推理小説家になった……とまことしやかに語られています。
が。
それは自伝で書いているウソらしく、
本当は借金や麻薬で首が回らなくなった時に金のために書いたのがきっかけ、
というのが真実らしいです。
かなり大胆なウソをつく人ですな(笑)。

しかし、実際に推理小説はかなり読み込んでいたらしく、作品の完成度は高め。
エラリー・クイーンもかなり影響を受けたのだとか。
両者読んでもらえてたらわかると思うのですが、
(探偵がやたらフランス語・ラテン語を使う。)
(やたら古美術や古典作品に対して言及する。)
こういうのを衒学的(ペダンティック)というらしいですが、
後の世代の探偵にもにもちょくちょく影響が見られますね。
私なんかは、てっきり、
「探偵は推理以上に文学・美術・音楽の知識がないといけないのか」
…と、思っていました。

さて『グリーン家殺人事件』はヴァン・ダインの第三作品にあたり、
『僧正殺人事件』と並んで、傑作の名高い作品です。
先に言っておきますが、S・S・ヴァン・ダインの作品は一筋縄ではいきません。
普通だったらトリックやアリバイや現場の状況から犯人を割り出しますが、
ヴァンス先生はそんなまどろっこしいことはしません。
現場の証拠品を一切否定し、
「この事件はいったいどんな犯人が起こすだろうか?」
「この人物は事件を起こし得る性格だろうか?」
という、心理学的なアプローチで犯人を追い詰めます。
私が最初に読んだのは『僧正殺人事件』だったのですが、
(最後の最後で思いっきりしてやられました。)
今まで出てきたトリックやアリバイや証拠を全裏切りしつつ、
筋が通っている。
心理学といえば、江戸川乱歩の『心理試験』ですが、
その前身みたいな感じです。
ただし、彼のやり方に慣れてくると犯人の特定がしやすくなるのが玉に瑕。

『グリーン家殺人』のすごい所は、
解答編の前に今までわかった情報が箇条書きでまとめて示してあるところです。
全部で90数個の情報が読者に示してあります。
エラリー・クイーンの読者への挑戦以上の、
ある種、究極のフェアプレイとも言える所行。
実際、ちゃんと読んでいけば犯人はわかります。
わたしは論理的な推理がわりと苦手なので、
犯人の心理を追っていくやり方は、けっこうわかりやすかったです。
ただ、トリックそのものやアリバイそのものはかなり単純なものが多いので注意。
ロジック重視ではない、一風変わった事件の解き方に興味ある方はぜひどうぞ。

 

ホロスコープ解説

S・S・ヴァン・ダイン(1888/10/15 出生時間不明)

太陽は天秤座、月は水瓶or魚、ASCは不明。

出ました、推理小説家の天秤座。
太陽と天王星コンジャンクション
さらに射手座の火星、獅子座の土星が組み合わさって
小三角を作っています。

ぱっと見、派手好きそうだなあ……と感じました。
ヴァン・ダインの作品と言えば、
わりと展開が派手で、驚きの結末が待っていることが多い、
という特徴があげられると思います。
観客を飽きさせない、アメリカ映画的な感じです。
エラリー・クイーンの『エジプト十字架の謎』のような。

あとは、先に述べましたが、ヴァンス先生のややこしい喋り方。
ようするに、自分の知っていることを見せびらかしたいというか、
すごく幼稚な言い方になりますが、
「見てー、見てー、俺こんなに色々なこと知ってるんだよ(えへんぷい)!」
って、言っている感じです。
射手座とか獅子座ってそういうところありますよね。多少は天秤座も。
元々、天秤座って批評が得意なイメージがありますが、
ヴァン・ダインが最初は美術の批評記事で生計を立てていたあたり、
納得でした。

 

ただし、獅子座の土星は目立つことに関して多少強迫観念的というか、
人に見せびらかすために多少無理をしているところが感じられます。
要はかっこつけたがりで自分の実力以上に見せたがる。
射手座の火星もかなりやんちゃで無謀なところがありますし、
冷静なはずの天秤座の太陽も破天荒な天王星と合しているし。
ヴァン・ダインは派手好きで豪遊癖があったらしく、
そもそも、推理小説を書くきっかけになったのも借金のせいでした。
そして、お金を稼ぐために本来6作品で終わらせるはずのシリーズを12作に延長、
しかも、後になればなるほど質が悪くなっていくという、
悪いパターンにハマってしまったそうです。
射手座の木星が双子座の海王星冥王星オポジションしているところ、
地のエレメントが一つもないところも影響してそうだなあ。。。
射手座の木星って根がかなり楽観的で自分に甘いところがあるので、
ルーラーだけど、すごく良い!とは手放しに言えないところがあります。
いやまあ全体的にルーラーの星って強力過ぎるところがあるんですが。


別の所へと目を向けると、蠍座の水星と金星がコンジャンクションしています。
ここがヴァンス先生の心理学的アプローチの秘密でしょうね。
犯人の行動を外から見て判断するのではなく、
犯人や被害者になりきったつもりで内から行動を予測する。
客観ではなく主観、人の心は数量化できないものです。
この辺、ごっつ蠍座っぽい。

わたしは蠍座に水星があるのですが、
ヴァンス先生のやり方がすごくわかりやすかったです。
アリバイがどうのトリックがどうのと言われると頭が混乱してくるタイプなので。。。
ホロに水属性多めの人にお勧めです。
逆に、風属性多めの人は論理が合わないことが多いので面食らいそうですね、

この人の作品は。

 

しかし、推理小説作家は意外と水強い人が多いですね。
論理派のエラリー・クイーンも二人合わせると水属性強いし。
時に論理では括れない心理、つまりは感情というのも、

案外推理小説では外せない要因なの、かも。