文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

星座別作家まとめ

ホロスコープも集まってきたため、星座別に作家をまとめたページです。

なおこの場合の「星座」は太陽星座です。

今後も随時更新していきます。

 

牡羊座

二葉亭四迷(日本)

島崎藤村(日本)

小川未明(日本)

佐藤春夫(日本)

遠藤周作(日本)

 

牡牛座

樋口一葉(日本)

武者小路実篤(日本)

中原中也(日本)

中島敦(日本)

 

双子座

川端康成(日本)

太宰治(日本)

 

蟹座

小泉八雲(日本)

坪内逍遙(日本)

 

獅子座

幸田露伴(日本)

谷崎潤一郎(日本)

室生犀星(日本)

吉川英治(日本)

三好達治(日本)

新美南吉(日本)

立原道造(日本)

司馬遼太郎(日本)

 

乙女座

国木田独歩(日本)

若山牧水(日本)

宮沢賢治(日本)

 

天秤座

正岡子規(日本)

江戸川乱歩(日本)

坂口安吾(日本)

 

蠍座

泉鏡花(日本)

萩原朔太郎(日本)

織田作之助(日本)

 

射手座

与謝野晶子(日本)

永井荷風(日本)

小林多喜二(日本)

久米正雄(日本)

 

山羊座

尾崎紅葉(日本)

菊池寛(日本)

夢野久作(日本)

・徳永直(日本)

堀辰雄(日本)

三島由紀夫(日本)

 

水瓶座

森鴎外(日本)

夏目漱石(日本)

徳田秋声(日本)

田山花袋(日本)

北原白秋(日本)

井伏鱒二(日本)

梶井基次郎(日本)

中野重治(日本)

 

 魚座

有島武郎(日本)

正宗白鳥(日本)

高村光太郎(日本)

志賀直哉(日本)

石川啄木(日本)

芥川龍之介(日本)

横光利一(日本)

 

 

文豪とホロスコープその41 立原道造

立原道造は日本の詩人です。

13才の時に自作の歌集を作ったそうですから、かなりの早熟ですね。

詩人の他に建築家としても活動していて、賞を取ったこともあります。

しかし、24才と日本文豪でも屈指の若さで急逝しました。

代表作は『萱草に寄す』『暁と夕の詩』。

 

彼の詩はすごく優しいです。というか、初々しくて可愛らしい。

女性に人気が出そうな感じ。

人柄も優しくて、いかにも良い人オーラが滲み出ていたそうです。

室生犀星堀辰雄と仲が良くて(室生さんは彼のことをドーゾ―と呼んでたらしい)、

とくに堀辰雄のことを大層尊敬していましたが、

たしかに作品傾向は二人と似ているなあ、と思います。

 

詩人漫画の『月に吠えらんねえ』では通称ミッチーとして登場しています。

ミッチーくんはかわいいです。

文アルでもそのうち登場することを願っています。

 

立原道造(1914/7/30 出生時間不明)

獅子座の太陽、蠍座の月(確定)。

太陽が獅子座の詩人というと、他に室生さんや三好くんがいます。

共通点は叙情詩人、というところでしょうか。

叙情詩は自分がどう感じたか、という感性が重要になるからかなあ、と思います。

言葉の響きや巧さよりもイメージや共感重視というか。

この三人、蟹座に重要な星が入っているところも共通していますね。

しかし、月が蠍座というのはちょっと意外でした。

かなーり頑固そうですね。

詩の中になんとなく死を感じさせるものがあって、

「?」と思っていたのですが、

蠍の月のせいかなあ、とも思います。

 

ミッチー(と呼ばせてもらいます)の作風が一番表れているのが、

乙女座の金星、火星のコンジャクションです。

たしかに、彼の詩は「乙女」や「少女」だなあ、と。

乱暴な言い方をすると処女や童貞っぽい。

優しいけれど弱々しくて、ちょっと健全な男子としては心配になる感じ。

金星と火星がコンジャクションしていると、

男性は女性っぽく、女性は男性っぽくなる、ということもあります。

しかも乙女座なので、かなりの潔癖症

乙女座は地属性ですが、水星が守護星です。

なので、知的、精神面にも重点を置いています。貞操観念も厳しい。

こじらせると現実の女性を直視できず(肉体的なものを否定するわけです)、

知的・精神的なものばかり追いかけることも。

良い例がD・H・ロレンスの『チャタレー夫人の恋人』。

ミッチーの詩はかなり処女っぽいので、たぶんこじらせてたんじゃないかなあ、

と思います(個人的な感想ですが)。

 

ミッチーの詩はたしかに優しい。

優しいのですが、なんとなく物足りない感じもするんですよね。

亡くなったのが24才というと、まだ太陽期に入っていません。

乙女っぽい詩が乙女座の金星期(15~25才頃)とすると納得ですが、

詩人としてはまだまだこれからだったのかなあ、とも思います。

作家界で急逝はよくある話ですが、勿体ない。

 

 

乙女座さんにおすすめの本

こんにちは、

しばらく右手の腱鞘炎でお休みしていました。

今年に入ってから身体の故障が多いのはなんででしょうか。

 

昨日、太陽が乙女座入りしましたね。

乙女座さん、おめでとうございます。向こう一ヶ月、良いことがありますよう。

というわけで、乙女座の人におすすめの本を書いてみます。

私的に、

「太陽と同じサインに星がある人の本は面白いと感じる」、

と思っています。

自分は射手座ですが、同サインに太陽や月、2,3個星が集まってる人の本は、

面白いと感じることが多いなあ、と思います。

トラインしている(つまり同エレメントな)星座の作家も好きなことが多いですが、

今回は同サインに限定して、

乙女な乙女座作家たち(もちろん男性含む)を難易度別に集めてみました。

 

宮沢賢治:『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店
難易度 ★
日本人なら誰でも知っている児童文学。
独特の擬音語&表現で、とにかく読みやすい。
かつ、小さな動物や自然の出てくるところは非常に乙女座的で、

持ち前の鉱物や自然の知識や世界観がツボになるのでは。
宮沢賢治の言う「みんなのための、ほんとうの幸い」というのは、

「誰かのため」を思って一生懸命になるという、

乙女座にとっては重要なテーマと呼応するのでは、と思います。

 

 

・メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン
難易度 ★★
世界的に有名なモンスター、の原作。ちなみにフランケンシュタインは人物の名前。
怪物(案外努力家でシャイ)含めた登場人物に乙女座らしい人物が多く、
特に主人公の婚約者のエリザベスは乙女座女性のイメージに近い。
ただし昔の小説なので、
フランケンシュタインという人物から伝え聞いた話を書いた話」
という体で書かれていて、多少形式がややこしいかもしれないです。

 

アガサ・クリスティ:『オリエント急行殺人事件
難易度 ★★★
理路整然とした推理や、毒物などの豊富な知識が特徴で、
読み終わりがさっぱりする。
現実的な描写やトリック、それと巧妙な伏線はさすが乙女座。

個人的にはポワロのシリーズよりも、

ミス・マープルが主人公の方が乙女座っぽいのでは?と思っています。

 

 

トルストイ:『アンナ・カレーニナ
難易度 ★★★★★

いわずと知れたロシアの大文豪。
主人公のアンナは華やかな女性だけれど不幸になり、
同時進行するキティの恋愛は普通だけど幸せに描かれていて、
トルストイ自身は平凡な日常に価値を見出していたことがわかります。
社会批評、自然描写も素晴らしい。
けれど、いかんせん長くて難しい。大名作を読むならこれ。

 

なお、乙女座作家たちは乙女座に星が入っている作家で、

太陽乙女座というわけではありませんのであしからず。

これから始まる読書の秋に一冊、いかがでしょうか?

 

 

永井荷風についてその1

前に永井荷風について書いた時、いまいちどんな人かわかっていなかったので、

集英社新書の『永井荷風という生き方』(松本哉、2006年、集英社

にて、勉強してきました。

以下、永井荷風についてまとめてみました。

 

1、女好き? 家庭嫌い?

永井荷風といえば、生涯様々な女性と付き合ったことで有名。

あるとき思い至って、愛人一覧表を作ってみた荷風

関係を持った女性の数(妻、臨時のものを除く)は、挙げてみれば16人ほど。

30代半ばに結婚もしましたが、まず家庭というものが息苦しくて仕方がない。

妻への遠慮や煩わしい親戚づきあいが大嫌いで、半年もしないうちに離婚。

すぐに付き合っていた芸者と再婚もしましたが、そちらも一年経たずに破局

理由は荷風の女好きと浮気の他に、家庭というものが嫌いだったかららしい。

口うるさい妻や面倒な子供なんていないのが一番。

それから後、40年間以上は独居を通しました。

 

荷風氏は家庭というものが大っ嫌いだったと聞いて、

ぱっと浮かぶのは月の問題です。

蟹座か獅子座かは分かりませんが、

もし月が獅子座だとしたら、個人主義ですから納得です。

もし月が蟹座だった場合は天秤座の金星とスクエアとなります。

月と金星のハードアスペクトは、よく浮気や不倫、好色さに繋がります。

甘えん坊なところがあるというか、女性関係に対してルーズというか、

女性関係に対して我慢しないところがあるのが原因かと思うのですが、

まあ、なるほどな、と思います。

そもそも、太陽は女関係には積極的な射手座ですし。

タイプ的には純粋に美しい女性が好きでしょうか。

月や火星から見ると、肉感的でスタイルが良いとなお良いでしょうね。

 

2、ライフワーク=日記

永井荷風は日記が大好きな人でした。

いくつか日記は付けていたのですが、有名なところでは『断腸亭日乗』。

37才から79才まで毎日付けていた記録をまとめたものです。

わざわざ一年ごとにまとめて製本していたとか。

 

この日記のすごいところは、本音が何でも書かれているところ。

もちろん、日々の移ろいが文豪らしい美文で綴られている部分もありますが、

それ以上に荷風の正直さがすごい。

永井荷風は人の好き嫌い(とくに文士に対して)が激しい人だったらしいのですが、

人の悪口が書いてあるわ書いてあるわ。

ちょっとでも気に触った、または批判した人間は許さない。

日記で即座にぶった切っています。

特に嫌いな菊池寛についてはメッチャ書いてある。年賀状もわざわざ送り返したほど。

大丈夫かな・・・文アルの図書館・・・

直接言わないあたりは大人なのか、単に小心なのか、判断に迷います。

 

また、すごいのが戦時中の日記。

フランスが大好きでヨーロッパに留学したほどの荷風は、

日記の中でフランスが勝って欲しいと書いています。

他にも戦争の愚かさや小役人の態度にイラッときた等々、愚痴を挙げれば切りがない。

たかが日記といえども、されど日記。

戦争中のこともド正直に書けるのは日記だからこそ、という面もありました。

 

荷風氏は日本では比較的珍しく射手座(ちなみに筆者の誕生日の一日前)なのですが、

射手座といえば正直者です。

たまに大言壮語したり誇大妄想が膨らむことがありますが、

基本的には常に真実を言っていたい、嘘を嫌う人種です。

人を欺くとか、空気を読むとか、おべっかを使うことも嫌いです。

けど、周りの人を傷つけたくないし、嫌な雰囲気にはしたくない。

が、真実は言いたいし、自分が感じたことは絶対に正しい(と思っている)、

火属性に共通する悪癖、「根拠なき自己肯定感」が発動している。

その折衷案が日記だったのかなあ、とも思います。

周りをあまり気にしない牡羊座(例えば佐藤春夫氏とか)と違って、

射手座って、案外そういうのを気にする性質だと思います。

個対世界の星座だから、意外と社会性があるというか。

そういうところは対岸の双子座と似ているのかなあ。

また、荷風氏は水星も射手座なのですが、逆行の水星です。

ここも口で言うよりも日記に書く、ということに関係しているのかな?

 

他にも羊座の土星(意外と気が小さい)とか、牡牛座の火星(形に残したい欲)など、

思い当たる節がいくつかあります。

まず、40年以上も毎日書き続けるというところがすごい。

ただの射手座だったら、100%途中で飽きる。もう、三日くらいで飽きる。

牡牛座とか、不動宮の力がないと絶対に不可能。

しかし、この火星も逆行しているんですよね。やっぱり口で言えなかったのかな・・・

 

 

(その2に続きます)

 

 

文豪とホロスコープその40 織田作之助

織田作之助は日本の小説家です。通称、織田作(オダサク)。

大阪の下町情緒溢れる作品を書くことで知られています。

代表作は『夫婦善哉』『世相』『可能性の文学』など。

 

大阪の仕出屋が実家で、大学は三高(今の京大)。

これは当時異例のことだったそうです。

もともとは劇作家志望だったそうですが、スタンダールに影響を受けて小説家へ。

太宰治坂口安吾とともに無頼派と呼ばれるように。

この三人で無頼派三羽烏と呼称するらしい。

カレーライスが大好き。もちろん大阪の混ぜカレー。

身体が弱く、学生時代から喀血していた。

のわりに普段からヒロポン(薬物)を常用していたとか。

最期は結核で33才で逝去。

 

織田作といえば大阪の庶民文化を描いたことで知られていますが、

本当にすごいのはそこだけじゃない。

織田作は嘘つきです。ただ、面白い嘘つきだけど。

評論『可能性の文学』の中で

「嘘つきでない小説家なんて、私にとってはおよそ意味がない」

と織田作は言っています。

ようはフィクション(虚構)を作品内に取り入れるかどうかなのですが、

今でこそ小説内でフィクションを語ることは当たり前ですが、

当時の私小説全盛期の頃は、どうも作品内に虚構を入れるなどケシカラン、

となったようで。

織田作作品の中に著者自身が主観の小説(『木の都』『世相』とか)があるのですが、

あれは恐らく、大半が嘘です。

さすがに全部嘘ではないけれど虚実織り交ぜ。

とくに『木の都』なんかは私小説のパロディではないかとも思うほど。

嘘なんですが、あたかも全部本当のことのように書いてある。

それが面白い。まあ当時の文壇的にはケシカランのでしょうが。

他にも、元劇作家志望だけあって映画の脚本やラジオドラマの台本など、

声に出して読む小説を手がけたこともあります。

お偉いさんを無視してまで新しい試みをする面もある。

そりゃ無頼派と呼ばれるわけやわあ。

 

ちなみに、文アルにて当図書館の初期文豪。

コテコテ関西弁の気の良いあんちゃんですが、実際は・・・?

 

織田作之助(1913/10/26 出世時間不明)

蠍座の太陽、乙女座の月(確定)。

意外と蠍座と乙女座。案外真面目だったのかな、と思ったり。

乙女座はもちろん、蠍座も生活の匂いがする話は嫌いじゃない。

というより、観察眼があるためか、

よく見ている身近な場所を題材にするのかなあ、と思います。

あまりファンタジーすぎて地に足が着いていない話は書かない印象があります。

乙女の月(なぜかロマンチックに聞こえる)も、

石川啄木室生犀星(推測)、佐藤春夫、海外だとトルストイモンゴメリ

まあ何か共通するところがありますね。やっぱり生活感かな。

ちなみに織田作の『俗臭』は室生さんの推薦で芥川賞候補になっています。

あと織田作が尊敬していたスタンダールも乙女座の月。

生活感といえば、蟹座にも火星があります。

さすがだなあ。

 

ちなみに、1900年から10年ほど猛威を振るった天王星海王星のオポは

織田作の時には天王星水瓶座に移動しつつ、まだオポジション圏内です。

そして、そこに蠍座の太陽が加わってTスクエアを結んでいます。

可能性の文学、っていうのはここから来ているんじゃないかと思います。

何せ、天王星水瓶座のルーラーです。威力十二分。

今まで天王星山羊座に入ってた世代とは少し違っていて、

山羊座天王星は反権威というか、固まった社会や伝統に対する反抗という感じで、

水瓶座はその常識を壊した後にどう新しいものを築いていくか、

という感じかなあ、と思います。

織田作は他の無頼派とはちょっと毛色が違うのかもしれない、とも思う。

ただ、織田作の嘘つき部分はこれだけじゃないよなあとも思います。

個人的には双子座の土星が怪しいと思っているのですが。

双子座はフィクション大得意(例えば太宰とか)です。

まだ確証は持てていませんが。

 

余談ですが、前述した『可能性の文学』の

「キャッキャ」の話がとても面白いです。

作家ってこんなもんかあ、とも思いましたが。

 

文豪とホロスコープその39 中島敦

中島敦は日本の小説家です。

中島敦といえば眼鏡と『山月記』。

だいたいの人が知っているのは、高校の教科書で『山月記』の作者としてと思います。

代表作は『山月記』『光と風と夢』『かめれおん日記』など。

 

中島敦は代々続く漢学者の家に生まれました。ちなみに長男です。

祖父を始めとして親戚に漢学者が多いという漢学者一家でした。

2才の頃に両親が離婚し、母親と離ればなれになります。

継母と馴染むことができず、孤独な少年時代だったと言われています。

学校の成績はよくて、神童とも呼ばれたらしいですが、

母親の不在が影を落としているようです。

寂しさを紛らわすために、猫を抱っこして寝るのが好きだったらしいとか。

大学卒業後は女子学校の教師になり、

その後、役人になった友人の紹介で南国のパラオに赴任します。

しかし、長旅が身体に障ったのか、帰国後に喘息で亡くなりました。

山月記』が教科書に載ったのは、その役人になった友人の助力があったため、

とも言われています。

 

中島敦というと代々学者の家に生まれて、東京大学卒業で、

大学卒業後は女子校の教師になった(しかも顔が良い)ということから、

スマートな優等生のようなイメージがありますが、

意外と大学時代はかなり荒れていました。

授業には出席せず、麻雀やダンス、乗馬や将棋に没頭、

しかも大学時代に女性と同棲して結婚もしています。

完全に大学デビューです。

女子校の教師も、本当は小説家になりたかったこともあり、

内心は複雑だったようです。

山月記』では李徴が自分の自尊心のせいで虎に変わりますが、

中島敦自身もけっこう闇を抱えていたようです。

 

中島敦(1909/5/5 出生時間不明)

牡牛座の太陽、蠍座の月。

さらに太陽と金星がタイトにコンジャクション、

そこに水瓶座の火星も加わってTスクエアです。

いかにも自分の存在に葛藤がありそうな感じ。

中島敦には『かめれおん日記』という作品があって、

その中に預かったカメレオンを見て、自分の中の矛盾を考えるという場面があります。

それに似てる状況なのかもしれない。

また、『山月記』で李徴は高すぎるプライドのせいで虎になってしまいます。

太陽と金星のコンジャクションは美や才能を得る反面、

自意識高めで強いプライドを持つ、という傾向もあります。

しかも蠍の月もけっこうプライド高い、かつ負けず嫌い。

どうにか本心を隠してスマートに振る舞うのに苦心していたのでは?と思います。

この配置は、猫を被って虎を隠しているように見えてしかたないですね。

 

大体1905年から10年くらいの間の世代には

天王星海王星オポジションがありますが、

中島敦にもあります。

しかも、牡羊座土星が加わってTスクエア。

同年生まれの太宰治と同様です。ていうか、一ヶ月くらいしか違わないのか。

『かめれおん日記』や『悟浄出世』(西遊記沙悟浄が主役、面白い)などの中で、

「本当の自分がわからない、自分らしくいられる居場所がない」

という悩みが出てきます。

牡羊座土星は自分らしさや自己主張することに対して制限がかかります。

牡羊座は戦うことや自分らしくあることが得意な星座ですが、

周りの空気や環境のせいでそれができなかったのかもしれない。

言うより前に自分から引っ込めてしまうタイプ。

例えば小説家になりたかったけれど、それが叶わなかったとか。

わかってもらえないだろうから、失敗するかもしれないから、本当のことは言わない。

これも『山月記』の李徴と一致します。

虎の一部かもしれません。

中島敦のホロで、火属性は土星だけですしね。

地属性が強めです。

中島敦は水星も牡牛座なのですが、

それっぽいですね。

泉鏡花が好きだったらしいですが、

どちらも地属性強めだからかなあ、と思います。

地属性強いと、古文や漢文や匂いがします。

 

参考資料:

中島敦山月記伝説」の真実』島内景二、文春新書、2009年

文豪とホロスコープその38 太宰治

太宰治は日本の小説家です。

坂口安吾織田作之助石川淳らと戦後に無頼派として活躍した作家です。

日本三大文豪に挙げられることもあり、日本を代表する作家としても良いでしょう。

代表作は『走れメロス』『斜陽』『人間失格』など。

 

前にも書きましたが、

自分は太宰治があまり好きではありません。

才能は凄いと思いますが、なんかこう、理由なくイラっとくる。

言葉に棘が混じらないように気を付けますが、たまに悪口になってるかもしれません。

にしても、前回とえらい温度差だな、これは。

 

えー、太宰治は青森出身です。

大地主の家系で、父親は衆議院議員貴族院議員を務めた大人物で、

11人兄弟の末っ子(六男)でした。

小学校の頃は成績優秀で、特に作文が得意だったそうです。

ちなみに、太宰治ペンネームで、本名は津島修治と言います。

これは津軽弁では津島が「チシマ」に聞こえるのが嫌だったから、

と、師匠の井伏鱒二が解説で言っていました。

中学校の頃からファッションに凝り出すなど、

名前も含めて、かなり格好や他人からどう見えるかを意識しています。

ナルシスト野郎です。

 

太宰治といえば、自殺未遂と薬物中毒と心中です。

就職の失敗での自殺未遂やらカフェの女給と心中未遂やらをして、

入院した先の鎮痛薬で薬にはまったりで、

最期は家族を残して、愛人との心中です。

自殺の理由に関して諸説あります。

ちなみに酒が大好きで、安吾は心中について、

酒に泥酔したノリでやったのではないか、ということを書いていました。

(『太宰治情死考』より)

 

自殺・薬物・心中という三点セットのせいで病んでる暗い人物と思われがち?ですが、

実際は話好きで明るい人物だったとか何とか。

しかし、本当のところはわかりません。

この人、根っからの大嘘つきですから信用できない。

 

太宰治が尊敬していた人物は師匠の井伏鱒二芥川龍之介でした。

とくに芥川龍之介は大ファンで、名前の付いた芥川賞が欲しくてたまらなかった。

だから、選考委員だった川端康成やもうひとりの師匠の佐藤春夫に手紙を書いた。

佐藤さんへの手紙が4mあったことから必死さが伝わってきます。

反対に、志賀直哉の文学には大反発し、『如是我聞』という批判文章を書きました。

内容はまあ半分以上ヒステリーみたいなもんですが、面白いです。

とりあえず、志賀直哉が嫌いなことは伝わった。

 

と、けっこうなロクデナシですが、なぜか女にはモテました。

家族の他に愛人が何人もいて、心中したのも愛人のひとり。

どうしてこんな男に惹かれるのか、理解に苦しみますが・・・

 

けれど、彼は良い作品を書きます。

短編から長編まで、シリアスからユーモアまで幅広い。

上手いことオチが付いている上に、考えさせるような面白い話を書きます。

しかも文章が上手い。

人間性はともかく、作品は面白いです。

 

太宰治(1909/6/19 出生時間不明)

双子座の太陽、蟹座の月(確定)。

双子座の太陽には水星と冥王星がコンジャクションしています。

この部分で推測できることがいくつか。

まず、単純に文章力だったら日本屈指として良いかと思います。

志賀直哉のような簡潔な文章ではなく、むしろ谷崎潤一郎に似た、

面白く読ませる文章なのではないか、と思います。

しかも水星は逆行。思考をまとめるのに時間がかかる代わりに、

逆行の方が書き仕事に向いていると言われます。

太陽と水星のコンジャクションはサイン別で個性が出ますが、

双子座の太陽水星コンジャクションの作家では、

たとえばフランスの女性作家のサガンがいます(ちなみに彼女も水星逆行)。

どちらも句読点を多用した独特のリズムのある文章を書いていて、

かつ内容はきっちり伝わってくるという離れ業。

ところで、双子座はフィクションの天才です。サガンもそうですが、

双子座は頭の中で思考した事を書けるため、実際にあったこととは限らないようです。

作家としてはほんと、羨ましい限りでしょう。

 

太宰も、太陽が水星とだけコンジャクションしていれば良いのですが、

冥王星もいます。というより、こちらの方がタイト。

どうも、嘘を吐くやら自殺未遂やら心中やらはここに由来する気がします。

双子座は躁鬱性気質で、明るい時は良いのですが、落ち込んだらどこまでも暗くなる。

いわんや、冥王星が絡めば、どこまでも考えすぎるのは必至。

冥王星と太陽、水星がコンジャクションすると、

深刻に捉えすぎ、考えすぎな傾向にあります。やたらネガティブな方向に。

けれど、周りの空気は暗くしたくないから、

双子座は気を使って、わざと明るい風にふるまいます。

だから、太宰治が普段明るかったというのも、

自分は半分演技じゃないかと思っています。

多分、自分でも何考えているのか分からなかったかもしれません。

明るい顔なんてせずに、本当に辛いなら辛いと言えばいいんです。

この人のこういうところが嫌いです。

 

嫌いなわりに気づいたら二千字超も書いてました・・・

まだ太陽周辺しか書いてませんが、さすがにこの辺りで止めておきます。

ていうか、好きな人以上に嫌いな奴の方が語れるって、どういうこと?

おのれ、太宰め・・・