文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープ フランス作家編その8 ジュール・ヴェルヌ

ジュール・ヴェルヌはフランスの作家です。
空想科学小説といわれるジャンルの始祖で、
H・G・ウェルズと共に、SFの父と呼ばれています。
代表作は『八十日間世界一周』『海底二万哩』『二年間の休暇』など。

・人となり


フランスのナント出身、
当時港町だったナントには船乗りが訪れ、
子供の頃はよくその話を聞いていたそうです。
父親は論理的な性格で、母親は空想力の豊かな人だったとか。
大学に通うためパリに滞在中、デュマ父子と出会い、
作家を志すようになったそうです。

 

ヴェルヌの作品は子供向けのもの、とされていますが、
中身には十分なリアリティーがあると思います。
海底二万哩』には世界中の海やそこに住む魚類について
オタクかっ!と言いたくなるほど詳しい解説が加えられますし、
科学機器に関しても子供向けを超えている部分があります。
ちなみに、私としては『二年間の休暇』(または『十五少年漂流記』)
無人島サバイバルが結構好きでした。

友情あり、冒険あり、悪党との大立ち回りあり、と。

あと鶏やエミューを捕まえて育てるところ。

(昔から育成モノのゲームとか好きなので)


ホロスコープ解説
ジュール・ヴェルヌ(1828/2/8 12:00)

 

水瓶座の太陽、蠍座の月、ASCは双子座。
太陽と水星が科学や新技術に強い水瓶座で、
さすがSFの父という感じです。
ASCは双子座ですが、この約20年後生まれの
コナン・ドイル水瓶座の月で双子座ASCだったなあ、と思います。
ヴェルヌは水瓶座ですが、
同じくSFの祖のH・G・ウェルズは乙女座で
作風がけっこう違います。
コナン・ドイルは『失われた世界』を見る限り、
ヴェルヌ寄りのSFみたいです。

 

風属性が目立つ一方、
蠍の月と木星魚座の金星、蟹座の土星で水のグランドトライン、
さらに山羊座海王星を含めてのカイトです。
どうやら想像力が非常に豊かで、しかも安定しているようです。
山羊座海王星魚座の金星のセクスタイルとは、
すごく具体的に架空のものを空想しそうです(笑)
それに蟹座の土星が逐一ツッコミを入れて、さらに現実的にしていく、
という感じでしょうか。
また、蠍の月と木星はほぼぴったりのコンジャクションです。
想像力の豊かなお母さんの影響が強いのかな、と思う一方、
蠍座木星はたとえばボルヘス司馬遼太郎など、
徹底的に資料を集めて読み込み、具体性の高い世界観を形成する
という傾向があるようです。
ウェルズの世界観も現実の世界の情報を取り込むことで
現実的な基盤が出来ていることで空想でもリアリティを持つことができるんでしょう。

 

あとは、射手座に火星があります。
ヴェルヌの作品の場合、空でも海でも地下でも無人島でも、
どこでも冒険要素が入ってきますね。
とくに『二年間の休暇』は
ティーブンソン(金星射手座)の『宝島』ともけっこう似た雰囲気があります。
少年向きって言われるのはこの辺りの影響が強いのかな?

文豪とホロスコープ フランス作家編その7 デュマ・フィス(小デュマ)

アレクサンドル・デュマ・フィスはフランスの小説家、劇作家です。
同姓同名の父親と区別するため、デュマ・フィス(子)とか
小デュマと呼ばれています。
代表作は『椿姫』。

・人となり
アレクサンドル・デュマとお針子の女性との間の子で、
最初は私生児扱いでしたが、父親に認知され、
引き取られて教育を受けることができました。
代表作の『椿姫』が大ヒットし、大文豪の父親同様、
劇作家として広く名が知れ渡ったそうです。
しかし、キャラの濃すぎる偉大な父親のために、
なかなか現代では目立たないのが悲しいところ。

 

若い頃は父親の金を使って遊び回りましたが、
高級娼婦のマリー・デュプレシと出会い、
後に病死した彼女との思い出を元にして書かれたのが『椿姫』。
ちなみに、椿姫の椿の花は日本の原産で、
当時は値段の高いゴージャスな花として知られていたそうです。

この『椿姫』は小説から演劇となり、
今ではヴェルディのオペラ『ラ・トラヴィアータ』で特に有名ですが、
原作もけっこう面白いです。
詳しくはホロスコープ解説で書きますが、人柄がよく出ている感じです。

 

ホロスコープ解説
アレクサンドル・デュマ・フィス(1824/7/27 18:00)

獅子座の太陽、獅子座の月、ASCは山羊座
太陽、月、水星、金星が獅子座という、
めっちゃ獅子な感じの人です。
太陽月が同じ組み合わせな人に、日本の詩人の三好達治がいます。
実際よく似てるなあ、と思います。
というのも、代表作『椿姫』はそもそも
作者の恋人の女性を物語にすることで永遠たらしめるため、
に書かれたものだからです。
しかも、とてつもない美談にした上で。
作者は恋人に振られて別れましたが、
物語では愛のために身を引いたみたいにされているし。


『椿姫』は書き手(恐らくデュマ・フィス本人)が聞いた、
ある青年(アルフレッド)の語った思い出を聞き書きした、
「本当にあった話なんですよー」という体で進みます。
主人公の主観とアルフレッドの主観でのみ語られる、
ある種、写実主義自然主義とは対極の存在です。
そこでマルグリット(ヒロインの椿姫)は物語冒頭から既に故人のため、
生きた本物のマルグリットが語られることはないわけです。
結局、読者が知り得るのは、
恋は盲目のアルフレッドの主観で美化されたマルグリットなわけです。
三好くんも同じようなことをしていますね・・・
獅子座の男性(E・ブロンテもいるから女性もか)は
全体的に異性を素晴らしい存在みたいに捉える傾向があるようで、
理想の異性を賛美するとか、理想と現実の間に幻滅するとか、
何故かそういうテーマが多くてけっこう面白いですね。
同じ火属性でも牡羊座や射手座とはちょっと違う感じ。
獅子座はあれこれ計算を巡らすより本能的にさっと書くタイプのようなので、
自然と皆そういう主題にするのかもしれない。

 

あと、彼のホロスコープで面白いのが、
前述した太陽・水星・金星のステリウム(月は少し離れている)と、
蟹座の木星がけっこう近めにコンジャクションしているところです。
木星は富や幸運、社会的地位を意味しているとよく解釈されますが、
同時に、偉大な父親の影響をも意味します。
私の愛読書である『石井ゆかりの星占い教室のノート』の
太陽と木星アスペクトに、
「「父なるもの」に飲み込まれることも」と書いてあるのを
以前興味深く思ったのですが、彼の場合、
偉大な父親の影響が強すぎてその息子としか見られないこと、
を表わしているように見えます。
同姓同名で、いつまでもフィス、小と付くわけですし。
同じようなことはドイツ作家のフランツ・カフカにも起こっています。
偉大な父親コンプレックスです。

 

ネタバレになりますが、
『椿姫』内で、アルフレッドの父親がお節介をして
マルグリットとの間を引き裂く場面が出てきます。
ほぼアルフレッド=デュマ・フィスなので、
この父親はデュマ・ペールに当たるわけです。
現実の父親は高級娼婦をモノにした息子を誇りに思えど
身を引けということはまず言わないでしょう(意外と潔癖症なところはあるけれど)。
参考にしたというプレヴォーの『マノン・レスコー』の影響かもしれませんが、
作者の中の父親へのコンプレックスというか、反逆精神があって、
それがここに表われているようにも見ることができるので、
あー、と思います。
この作品はかなりストレートに出ているので、
ホロスコープ見ながら読むと面白いです。

文豪とホロスコープ フランス作家編その6 フロベール

ギュスターヴ・フロベールはフランスの作家です。
代表作の『ボヴァリー夫人』にて作者の主観を徹底的に排するという
写実主義を完成させた作家として有名です。
代表作は『ボヴァリー夫人』『感情教育』『三つの物語』など。

 

・人となり
フランスの医者の家庭に生まれ、
小さい頃は妹とともに病院の死体安置所で遊ぶなど、
あまり教育によろしくなさそうな環境で育ちました。
大学で法学を学ぼうとするものの、
病の療養のため、別荘で好きなだけ執筆できるという、
とてもうらやましい境遇に落ち着きます。

 

彼は弟子のモーパッサンとともに写実主義の代表と言われていますが、
この写実主義、および後の自然主義はどうも定義が曖昧なんですよね。
フロベールはほとんど偏執的な推敲をすることで有名で、
その結果、作者の主観ではなく、登場人物の心情のみを追求したようです。
言わば、登場人物の主観になりきるタイプの写実主義です。
色々文章も工夫していて面白いですが、
読んでて、あれ全然客観的じゃないなあと思ってしまいました。

 

一方、後の自然主義作家、特に日本の場合は、
主観的な様子を排し、心情を含めて客観的に描写することで
人間のありのままの姿を表現しようとしたわけです。
つまり、外側から見た人間の姿です。
そうすると、ある種内側から人間を描こうとした
フロベールとは逆なのではないかと思います。
見ている方向が内からか外からかの違いですが、
読んでいると結構大きな違いだなあ、と思います。
自然主義作家はタイプが結構分かれるもので、
火属性か地属性かでかなり分かれるなあ、と思います。

 

ホロスコープ解説
ギュスターヴ・フロベール(1821/12/12 4:00)

射手座の太陽、獅子座の月、ASCは蠍座

ボードレールで既に書きましたが、
ボードレールとドストとフロベールは同い年で、
牡羊座に大合があります。
ドストとは一ヶ月違いなんですよね。
しかし、二週間とかならともかく、
一ヶ月で結構ホロは変わってしまうものですがね。

 

注目するべきは、蠍座の水星、獅子座の月、魚座冥王星
水(一個火ですが)のグランドトラインです。
前述した通り、フロベールは登場人物になりきるタイプの人で、
地の文に登場人物の内心がそのまま出てきたりするようです。
(こういうの何て言うんでしたっけ・・・自由なんとか文)
他の人間の心理になりきる、ようするに相手の立場になって物を考える
というのは、感情の働きで水タイプの独壇場です。
水星と冥王星がけっこう近めにトラインしているので、
多分、この辺だろうなあ、と予想が付いています。
彼の有名な言葉で、「ボヴァリー夫人は私だ」というものがありますが、
主人公のエンマ(ボヴァリー夫人)になりきって、
ある種エンマの霊が憑依してというか、
そういう風に書いていたんだろうなあ、と思います。

 

ただし、読んでいただければ分かりますが、
エンマはそもそも射手座っぽいです。
ロマンチックなことが大好きで、
ぞくぞくするような恋愛小説が大好きで、
結婚して普通のつまらない現実に幻滅するという、
射手座にとってすれば、まったく身につまされる話でした(笑)。
私的に射手座女子といえば『赤毛のアン』ですが、
もしアンが上手く現実になじめなかったらこうなるんじゃないかなあ、
という感じです。
「普通」「凡庸」に幻滅するのは射手座にはよくあることです。
なので、
フロベールはエンマという女性の心理を一から理解してすごい!
というわけじゃないんでしょうねえ、きっと。
文庫の後書きに「エンマは男性っぽい」(うろ覚えですが)とあったのを見て、
そう思いました。
あれ、そうすると作者の主観を排するっていうのは・・・?

文豪とホロスコープ フランス作家編その5 ボードレール

ボードレールはフランスの詩人です。
近代詩人の先駆者で、退廃的・耽美的な作品が特徴。
各国の詩人・作家問わずファンが多く、
特に日本人はボードレール好きな人が多いような。
代表作は『悪の華』、散文詩の『パリの憂鬱』など。

 

・人となり
フランスの中流家庭に生まれましたが、
幼くして父親と死別し、母親が再婚。
それが結構衝撃だったとか・・・

 

義父に反発を覚えつつ、学生時代は頑張って優等生でいたそうです。
が、大学を中退し、文学者になると言い始めたそうです。
生活も破調というか、退廃的なところがあり、
借金を重ねに重ね、生涯貧乏に苦しんだり、
阿片中毒や性病に苦しむこともありました。
代表作の『悪の華』はケシの花のことだとか。
その『悪の華』は猥褻文章として有罪になったことがあります。
あとは、E・A・ポーが大好きで、
当時それほど注目されていなかったのに、フランスで紹介した
ということが有名でしょうか。

 

詩人からの評価は高い。
日本の近代詩人への影響はかなり大きいようです。
ぱっと浮かぶあたりで
北原白秋萩原朔太郎堀口大學三好達治中原中也
とかはボードレールの影響が強いかなあと。
白秋先生の『邪宗門』とか、朔ちゃんの『青猫』はかなり見てとれる。
あとは、芥川龍之介が『或阿呆の一生』で
「人生は一行のボオドレエルにしかない」
と言ったことが印象に残っています。

ホロスコープ解説

シャルル・ボードレール(1821/4/9 15:00)

牡羊座の太陽、蟹座の月、ASCは乙女座。
太陽と月はスクエアです。
意外と牡羊座って詩人多いような気がします。
島崎藤村佐藤春夫中原中也は水星と金星、宮沢賢治は月が牡羊座
私的にはけっこう好きな人が多い、火属性系詩人。

 

ボードレールは星の固まり方がすごく特徴的で、
まず、牡羊座魚座山羊座、蟹座にしか星がない。
牡羊座の初期度数と魚座の最終度数近くで、
コンジャクションがめちゃ多い。
具体的に言うと、水星・火星・冥王星魚座で、
金星・木星土星・太陽が牡羊座でステリウムを構成しています。

 

しかも、1821年はちょうど大合で、
牡羊座魚座の惑星群と山羊座天王星海王星がスクエアを結んでいて、
という、かなり個性の強いホロスコープです。
蟹座の月はオーブ範囲外ですが、サイン的にはスクエアですし、
かなり葛藤の強そうな人です。

 

多分この人、根は真面目です。
高校まで良い子にしようとしていたあたりでうかがえますが、
ちょっと理想が高くて感受性が強いのと、
自己の欲求に忠実であろうとするところと、現実への幻滅などなど、
ストレスが多すぎて、色々な非行に走るんではないかと。
というか、天王星海王星と水星・火星・冥王星のスクエアは
特にヤバそうです。
アルコール中毒か薬物中毒かニコチン中毒のどれかをもれなくプレゼント
ていう感じですね。どんな感じでしょうか。
そもそも詩人は海王星が強い人が多く、
酒や薬や精神錯乱や情緒不安定とお友達の人が多い。
ボードレールなんてその典型例。
海王星がそれら全部を示してるから、
いい作品を作るためには仕方ないことなんでしょうか。

 

ちなみに、この天王星海王星のコンジャクションは171年周期で、
だいたい40年ごとにスクエアやオポジションを結びます。
1820年代の世代がボードレールドストエフスキーフロベール
この次に牡羊座と蟹座でスクエアを結ぶのが1860年代後半、
夏目漱石正岡子規尾崎紅葉らの世代に当たります。
その次のピークが1900年代後半で、
天王星山羊座に戻り、蟹座でオポジションになりますが、
坂口安吾中原中也太宰治
フランス作家なら泥棒作家の異名を取るジャン・ジュネ
という、時代がくっきり出るような人々の生まれ年になっています。
天王星という星そのものが改革を意味していて、
天王星海王星アスペクトは精神の変動や改革を表わしているので、
それまでの社会や文学を否定して、新しいものを作りだそうとする人々が
多いなあ、と思います。1900年代は特に顕著ですが。
ちなみに、この天王星海王星、次にコンジャクションを結んだのは
1821年から約171年後の1990年代前半と、わりと最近です。
私もコンジャクション圏内だったりします。オーブ差一度で。
これからこの世代があれこれ改革を起こしていくのかどうか。
が、がんばります。

文豪とホロスコープ フランス作家編その4 デュマ・ペール(大デュマ)

アレクサンドル・デュマはフランスの劇作家です。
息子のアレクサンドル・デュマと同姓同名のため、
デュマ・ペール(父の意)もしくは大デュマと呼ばれます。
わたしは心の中でおやっさんと呼んでいます。
同様に子供の方はデュマ・フィス、小デュマと言います。
代表作は『三銃士』『モンテ・クリスト伯』など。

 

・人となり
ユゴーと同じく父親はナポレオン軍の将校で、
祖父は黒人、父親はハーフでデュマ自身も肌の色が濃いです。
が、父親は早くに亡くなり、母子家庭で育ったそうです。
そのせいか、結構マザコン気味だったとかなんとか。
22歳で息子ができ、その後も愛人を取っ替え引っ替えしていた
というくらいの女好きはその影響もあるのかなあ、と思います。
勉強は特に興味がなかったけれど、字は綺麗だったらしい。
元々は役人になるつもりでしたが、
若い頃に見たシェイクスピアの劇に大層影響を受け、
劇作家として身を立てることを決めたそうです。
ちなみに、ユゴーシェイクスピアは好きだったそうです。


性格は豪放磊落で、派手好きで目立ちたがり屋。
バルザックとは親友、同い年のユゴーは親友兼ライバルだったそうで、
デュマは劇作や新聞小説で華々しく活躍しました。
作品を凄まじいスピードで量産し、金を荒稼ぎし、
成り上がり者らしい贅沢な生活に明け暮れました。
自前の劇場を作り、
「モンテ・クリスト城」なる超豪邸を建て、
バルコニーに尊敬するシェイクスピアの像を造った、
という金持ちエピソードがあります。
あの借金王バルザックをして「正気の沙汰ではない」
と言わせたという(笑) どんだけ~
まさに調子に乗った成金ですが、
どこか純粋で憎めない感じです。

 

が、二月革命ユゴーが亡命した政変)の影響で
市民は劇場へと足を運ばなくなり、
作品が売れなくてやがて破産して国外逃亡、
という憂き目に遭います。
最後は財産を無くして
作家として活躍している息子の元に身を寄せたそうです。

 

ちなみに美食家として知られ、食べるのも飲むのも作るのも好き。
友人達を自宅(例のモンテ・クリスト城)に呼んで、
自分で作った料理を振る舞っていたそうです。
好きが高じて料理辞典まで出しています。
話によるとオムレツやポトフが得意だったとか。
ワインでも有名な言葉があって、
白ワインの最高峰モンラッシェを
「脱帽し、ひざまずいて飲むべし」
と称したとか何とか。

 

ホロスコープ解説


アレクサンドル・デュマ(1802/7/24 5:30)
獅子座の太陽、牡牛座の月、ASCは獅子座。
派手好きな性格や所行を考えると、
華々しいのが大好きな獅子座というのは大納得です。
この太陽月の組み合わせ、そして日付も含めて
谷崎潤一郎と同じ組み合わせだったりします。
かといって、別にどMなわけじゃないですが、
多数の作品を書き上げる体力と気力、
女好きなところ、食べること大好きな美食家なところ、
あとはお母さん大好きなところ?(牡牛座月は母親にべったりな人が多い。モームとか)
なかなか共通点が見えるところが面白いです。

 

が、作品は意外と堅実です。
もちろんストーリーや構成は獅子座らしく派手でドラマチックなのですが、
細かい豆知識や時代背景を元にした舞台を用意するような、
意外と細やかでしっかりしたところもあります。
というか、うんちくがすごく長い。
ユゴーと同い年なので、乙女座に大合があるのですが、
それと金星がコンジャクション。
この辺りに意外な神経の細やかさ、几帳面さが出てるなあと思います。
あとは金儲けの才がありそうだなあ、と。
さらに加えると、そこに魚座冥王星オポジション
蓄財から破産まできっちり示されています。

彼の作品はだいたい歴史を題材としているので、
フランス本国では歴史小説家として名が売れているらしいです。
そういえば日本を代表する歴史小説の大家の
吉川英治司馬遼太郎も獅子座ですね。

 

生涯に250を超える小説を書いたらしいですが、
その全部を本人が書くことは不可能と言われているそうです。
実際、他の人との共著も多数あり、

中にはゴーストライターを使っていた説もあります。
が、デュマの名前を使うと売れるため、
膨大な数の著作が生まれたのだとか。
性格や作品や業績など、何かと目立つ人だったことは間違いないです。

 

文豪とホロスコープ フランス作家編その3 ユゴー

ヴィクトル・ユゴーはフランスの詩人・劇作家・小説家です。
親友であるバルザック、デュマ・ペールと共にフランスを代表する作家で、
日本では『レ・ミゼラブル』がとにかく有名ですが、
フランス本国では詩人としても有名らしいです。
代表作は『エルナニ』『レ・ミゼラブル』など。

 

・人となり
生まれはフランス革命の数年後、
ナポレオン軍将校の次男として生まれました。
が、父親と母親が別居。
母親に引き取られたユゴーは、長い期間ナポレオン嫌いで、
父親とは不和にありました。
読書と勉強に明け暮れた寄宿学校で詩を書き始め、
若き作家の旗頭としてデビュー。
劇作の『エルナニ』は伝統と因習に凝り固まったフランス文学に風穴を開け、
発表の日にあわや乱闘騒ぎになりかけた程だったそうです。

 

ユゴーの作品は、政治と切っても切り離せない関係にあります。
ナポレオンは長い間嫌いでしたが、
父親と和解したことを切っ掛けに逆に大好きになりました。
折しも、共和国の政治家として活躍していたユゴーですが、
ナポレオン三世の復古王朝を大批判した影響で、
ベルギーに亡命を余儀なくされます。
ユゴー自由主義者であり、
革命前に似た復古王朝が相容れなかったようです。
しかし、亡命先からもナポレオン三世批判の詩を書きまくり、
失脚後に華々しくフランスへと帰ってきたそうです。
その影響もあり、『レ・ミゼラブル』の中には
ユゴーの政治上の思想がたくさん盛り込まれています。

 

政治家という肩書きや『レ・ミゼラブル』を読む限りでは、
ユゴーは真面目でお堅い人物なんだろうな、と思ってしまいますが、
全然そんなことはないです。
正式な奥さんとは親に反対されながらも愛を貫いての恋愛結婚。
そのくせ、歴代様々な愛人を持っていて、
人妻と不倫して裁判になったこともある。
作品としても、かなり軽い恋愛詩も多いらしいです。
あとは、亡命時代に心霊主義に凝ったことがあるらしい。
今でいうテーブルターニングにハマっちゃった。
なんか、マーク・トゥェインも似たようなことをしていたような。
後述しますが、ユゴー魚座と射手座が強めです。
神秘的なことに弱いんでしょうねえ、多分。

 

ホロスコープ解説(1802/2/26 22:30)

魚座の太陽、射手座の月、ASCは蠍座
海外では珍しい魚座の作家です。日本人は魚座がやたらと多いですが、
海外の主立ったところでは、あとスタインベックとルナールくらい。
ただしユゴーは水星・金星、そして冥王星魚座で、
最も魚座が強い作家と言っていいかもしれません。
レ・ミゼラブル』はジャン・バルジャンが主人公とされていますが、
その中にも他の多数の人物の物語が入り込み、
時には多数の主観といえるような主人公不在の状況になったりもします。
ネタバレになりますが、バリケードを築いた時とか、そんな感じです。
急に俯瞰的になるからわかりやすい。
スタインベック氏の『怒りの葡萄』でも同じようなことがあったなあ、と
思ったりします。

 

さて、ユゴー魚座にめっちゃ星があるわけですが、
そのちょうど反対側、乙女座に木星土星があります。
いわゆる、グレートコンジャクションです。
この大合がただの大合ではなく、
1784年までの火属性の大合から、
現在の地属性へとシフトチェンジした最初の回でした。
ちなみに、第二回目の大合の年には
ボードレールドストエフスキーフロベールという
かなり派手な面子が生まれています。
このシフトチェンジは240年周期で起こるもので、
ちなみに次回2020年の大合(2018年現在で)は、
この地属性から風属性へと変わる節目の年だったりします。

ただし、本人的にこの大合が良かったのかは分かりませんが。
同じく大合(むしろより強いコンジャクション)のデュマ・ペールともども、
海外に亡命を余儀なくされています。
配置として、必然的に大合の正反対に冥王星が来るのがとても気になります。
こう、築いてきた身分や財産を一瞬で無くすような出来事に遭遇、
っていうのを表わしてそうだなあ、と。
まあ二人とも偉人として名を残している以上は良かったのかなあ。
ある種、今までの時代を象徴する人物だったのかもしれない、と思ったりします。

 

さて、ユゴー氏は『レ・ミゼラブル』にて、
単なる法的な自由ではなく、人間の尊厳としての自由、
そのための教育の大切さを説いています。
社会的な悪を生むのは貧困と無知(ミゼラブル=持たざる者)であり、
法律はむしろ活用によっては人間の自由を制限し、
悪しき社会や法律こそが悪しき人間を作ると書かれています。
こういうところは魚座(もしくは射手座)らしさが出ています。
とはいえ、物語が難しくてつまらないわけではない。
むしろ、逃亡犯ジャン・バルジャンの受難と苦難と愛情の物語、
として読んでも一向に構わない。
物語の面白さはミュージカルとして成立するくらいなので折り紙付き。
むしろ、陳腐なドラマよりも思想に集中すべきだった、
という手厳しい意見がある(らしい)くらいです。
この辺りは射手座の月が良い仕事したのかなあ、と思います。
射手座にはどうしても話を物語として面白くしたがる傾向があるようです。
バルザックディケンズメルヴィルルイス・キャロルサリンジャー
という射手座月の面々を見ていると、なんかそんな感じがします。
魚座も射手座も自由を愛する、という意味では共通しています。
ただ、個人と社会という規模が違うようです。
レ・ミゼラブル』では法や革命という社会的な自由と、
ジャン・バルジャンなどなど登場人物の個人的の自由との、
それぞれの戦いが描かれていることに意義がある
と思います。

文豪とホロスコープ フランス作家編その2 バルザック

オノレ・ド・バルザックはフランスの小説家です。
十数年にわたってパリの裏表を書いた作品群は、
登場人物が千人を超える、『人間喜劇』という生涯の大作にまとめられました。
代表作は『ゴリオ爺さん』『谷間の白百合』『ウージェニーグランデ』など。

 

・人となり
裕福な実業家の子供として生まれましたが、
母親にあまり愛されず、孤独な少年時代を過ごしたそうです。
このことが後々に影響を与えたのかもしれません。
というのは、この後の人生で滅茶苦茶な私生活を送っていたため。


バルザックといえば派手好きと大食いと借金で有名で、
さまざまな事業に手を出しては失敗し、
虚栄心を満たすために社交界に出て借金し、
死後、払いきれなかった借金は、
亡くなる数ヶ月前に結婚した奥さん(ハンスカ夫人)が払ったそう。
その借金を埋めるために作品を速書き。
夜中にコーヒーをがぶ飲みしながら朝まで執筆し、
昼に社交場に出ていくという、身体を即壊しそうなスタイルです。
その大食いのために糖尿病だったそうです。
まるでどこかの谷崎潤一郎のようです。
ちなみに、貴族の出身ではなく、
名字のドというのは見栄のための自称。
これも人となりを表わしています。


その速書きにも関わらず作品は優れたものが多く、
多数の短編長編を合わせた『人間喜劇』という大作では、
人物再登場の手法というのを使っています。
この手法は以前フォークナーの時に書きましたが、
ざっくり言うと、
ひとつの作品の傍役のAが別の作品で主役を張る
みたいな感じです。
これによって多角的な視点で物事を捉えたり、
物語の繋がりが出来るという画期的な方法で、
フォークナーやフランス作家のゾラなど後の作家で使っている人も多いです。
特にゾラは『人間喜劇』に強く影響されて
同じように多数の短編長編からなる作品群、
『ルーゴン・マッカール叢書』を書いています。


バルザックは『人間喜劇』の中で、
「パリのありとあらゆる階級と境遇」を描くことを目指しました。
そのため登場人物は貴族から庶民、老若男女、善人悪人エトセトラ、

登場人物は2000人を超えるそうです。
ものすごく幅が広い多種多様な登場人物を描ききったことに
バルザックの凄さがあると思います。
文章も推敲を繰り返しているため、
とても濃厚で、すなわち文章が長くて分厚くてたまにくどい。
すごいでっかくて甘いチョコレートパフェみたいな感じ。
誇張ではなく、ひとつのとても長い物語に人生を注ぎ込んでいる。

 

ホロスコープ解説

オノレ・ド・バルザック(1799/5/20 11:00)

牡牛座の太陽、射手座の月、Ascは獅子座。
水星も牡牛座で、文章はまさしく牡牛座の特徴が出ています。
牡牛座の作家は説明が細かくて描写が詳しい(裏を返せばくどい)ため、
必然的に文章が長くなることが多いです。
バルザックも同様、というより代表格です。
ゴリオ爺さん』で主役のゴリオ爺さんが出てくるまでに
相当長くかかりました。とにかく下宿屋の描写が長い長い!
射手座太陽的には描写ばかりで話が一向に進まないので
イライラすることも多いですが、
小説を読んでる!っていう感じがするので、嫌いではないです。

 

牡牛座の太陽ですが、双子座の木星とコンジャクションしています。
この木星が恐らく、彼のホロスコープで一番の幸運だったろうと思います。
双子座の木星を持つ作家は個々の人物描写に優れている傾向があるようです。
例を挙げれば、オースティン、ディケンズコナン・ドイル志賀直哉などなど。
個々の人物の書き分けが上手ければ群像劇に強く、
『人間喜劇』の成功はこの辺にあったのだろうなあ、と思います。

 

まあ、木星が持ってくるのは幸運ばかりではなく、
同時に散在や虚栄心も付いてきます。
牡牛と双子の太陽木星コンジャクションということは、
人からよく見られたい、という意味も込めての散財でしょうか。
さらに、この木星と月とがオポジション
月と天王星がスクエア、太陽木星冥王星とスクエア・・・
と、まあややこしいですが、まとめていうと、
虚栄心の原因は幼少期の愛情不足では、
ということ。
月と木星のハードアスペクトは、他の作家では室生犀星にあります。
(室生さんの場合は金星含めてTなのですが)
幼少期の愛情不足というか、安全な環境ではなかったのかなあと思います。
バルザックの場合は一応お金はあった家庭なので、
前述した通りに母親に可愛がられなかったこと、
寄宿学校で過ごした孤独な子供時代というところ、でしょうか。
だからこそ、注目を浴びようとして目立つ格好や散財をして
人の気を引こうとしていたのかもしれません。
その裏を返せば、どうやったら注目してもらえるのか、
人のことをよく見ているということ。
そう考えれば、あの虚栄心にも意味があった・・・のかなあ。
少なくとも、ただの贅沢好みのわがままな人ではなかったと思います。
ただ、太陽が牡牛座でASCが獅子座なので、
美味しいものを食べるのは本気で好きそうです。


私がバルザックで読んだのは『ゴリオ爺さん』くらいなのですが、
この中でゴリオ爺さんに対する目が優しいなあ、と思いました。
あまり主観的に書く人ではないようなのですが、
基本的に向けられる目は、金持ちには厳しく、貧しい人間や不幸な人には暖かいです。
バルザックは金星と火星が蟹座でコンジャクションしていて、
かなり弱者に対しては同情的です。
知識や技巧をひけらかしたり、冷笑的な部分はあまりなく、
主人公が不幸せな結果に終わっても、
向けられる目が暖かいから読後が不快にはならないというか。
案外、こういう人間性も魅力のひとつじゃないかなあ、と思います。