文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

文豪とホロスコープその33 中野重治

中野重治は日本の詩人、小説家です。
プロレタリア文学者としてがとくに有名で、

戦後は参議院議員をやっていたこともありました。
代表作は『歌のわかれ』『梨の花』など。

 

福井県出身で、
学生時代、関東大震災で金沢に避難していた室生犀星に弟子入りしました。
その後、田端に住んでいた堀辰雄とともに『驢馬』という同人誌をはじめました。
芥川龍之介とも面識があったらしいとか。
同人誌と前後してプロレタリア文学の活動をを始めました。

中野重治といえばプロレタリア文学者として有名です。
昭和初期の日本では、プロレタリア文学が最盛期を迎えました。
労働者の、労働者による、労働者のための文学。
他に『蟹工船』の小林多喜二、『太陽のない町』の徳永直が有名です。

ですが、プロレタリア文学への弾圧は徐々に厳しくなります。
文学活動をしているだけで逮捕や投獄をされるようになり、
小林多喜二も獄死します。
中野重治も転向を条件にやっと出獄することができました。
この後に続く時期に書いたものは転向文学と言われ、
ひとつのジャンルになっています。
戦後は共産党に入党し、政治家としても活動しました。


中野重治(しげはる、田端時代はしげじとも)について、
堀辰雄が書いているものがあります。
二人は仲が良かったみたいですね。
この頃(『驢馬』同人時代)は、重治は詩を書いていたのですが、
この詩が結構激しいです。

詩人は詩人でも、プロレタリア詩人です。
『お前は歌うな』とか『帝国ホテルⅠ・Ⅱ』とか。
詩というと、自然詩とか叙情詩がほとんどのイメージだったので、
これだけ現実的な詩に、自分はたいそう驚きました。
あとは字が汚かったらしいとか。
田端文士記念館で見てきましたが、
でかくて豪快で、たしかに読みにくい。

 

中野重治(1902/1/25 出生時間不明)

太陽は水瓶座、月は獅子座(確定)。
水瓶座には水星・火星のコンジャクションも同座していて、
かなり水瓶座が強めです。
水瓶座のテーマは革命・改革ですから、
なかなか意味があるのではないでしょうか。
水瓶座は正義感というか、理想主義なところがあって、
間違っていることを放っておけないところがあります。
詩や批評が激しい調子で、たまに攻撃色すら帯びるのは、
水星・火星のコンジャクションかな、とも思いますが。
水瓶座の火星は、かなり言葉の切れ味が鋭そうです。
ちなみに、この水星火星は獅子座の月とオポジションそうです。
ますます激しくなりそうな・・・

他、木星土星山羊座でコンジャクションしています。
グレートコンジャクションですね。
政治家としての活動もしています。
文学者としては珍しいな、と思うのですが、
たしかに山羊座ならば現実に影響を与える手段を取ると思います。

他、気になったのは射手座の天王星冥王星です。
1900年代はそもそも大惑星がきつい配置になることが多いのですが、
この辺りは革命思想っぽいなあ、とも思います。
射手座の天王星がそもそも自由のための革命っぽいから?でしょうか。

 

谷崎潤一郎『痴人の愛』のナオミの謎

昨日、『痴人の愛』を読み終わりました。

もっと早く読んでも良かったかもしれない。

 

痴人の愛』とは色々と谷崎潤一郎の作品です。

ひと言で言えば、「冴えない中年がナオミという小悪魔な少女の奴隷になる話」。

ドM作家の谷崎氏のドMさがよく出ている作品、

だいたい一般のイメージはこんな感じでしょう。

けれど、実際に読んでみるとそれだけじゃないみたいです。

主人公が少女を引き取って理想通りに育てようとする様子は、

日本古典の源氏物語光源氏に通じますし、

創造主と創造物、芸術家と作品の関係に置き換えれば、

バーナード・ショーの『ピグマリオン』のパロディとも読める。

他、ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』の影響もある。

相当の教養と読書量がないと作れない話です。

谷崎氏は変態とかドMとかマザコンとか言われていますが、

わたしはそれだけの枠に収まらない作家だと思いますが。

 

それはともかく、読んでみて自分が一番興味を惹かれたのは、

ヒロインであり、半分以上主役であるナオミです。

こういう場合の女性キャラクターは作家の理想の女性像の投影、

という場合が多そうです。

理想の女性性は概ね金星で表わされますが、

谷崎氏の金星は双子座です。

これには、うーん、と思うわけです。

解説にもある通り、ナオミには教養も知性の類は欠片もありません。

ですが、男を惑わすために上手く奸計を巡らすことはできます。

双子座の金星はバカは嫌いですが、話術が巧みとか、

そういうある種の頭の良さが好ましいのかなあ、とも思います。

 

ただ――

ナオミのもうひとつの特徴は野生的であるところだと思います。

見栄っ張りで、自我が強くて、男よりよっぽど男らしい(たまに男口調になる)。

このへんが双子座っぽくはないなーと読んでいて思いました。

双子座も相当ファッションに気を使う方ですけどね、もう少しセンスは良いと思う。

 

で、作品内に何度も言及されるのですが、

ナオミは、アメリカの女優のメリー・ピクフォードに似ているらしい。

この文が何度も出てくるので、谷崎氏の好みの女優だったに違いない、

ひょっとしたら理想の女性だったのかもしれない、

と思って調べてみると、

メリー・ピクフォード(1892/4/8 02:30)

ま さ か の、

日本の作家で、谷崎氏の親友で、奥さんを巡って争った、

佐藤春夫氏と一日違い(笑)

佐藤さん逃げて!谷崎はあんたを狙ってる!

 

それは冗談として・・・

太陽は牡羊座です。アセンダント水瓶座

佐藤さんもそうなのですが、

金星は双子座の頭にあって、海王星冥王星とコンジャクションしてるんですね。

海王星冥王星の恩恵を受けて、なんとなくエロティックな魅力がありそうです。

佐藤さんも詩はすごいらしい(官能的とか何とか)、と聞いたことがあります。

それはともかく、牡羊座というのが。

野生的で、自我が強くて、まあ男らしい(そしてファッションセンスも飛んでる)。

女性でも少年っぽい感じの魅力が出てくるというか。

アセンが中性的と言われる水瓶なのもそれっぽいですね。

そして、谷崎氏の火星・木星天王星のある天秤座とオポジションの関係にあります。

天秤座の人工的で、人の手で作られた調和美と、

牡羊座の野生的で、自然そのままの生命力溢れる美は、まさに真逆です。

しかし、オポジション関係は相反しながらも強く惹かれる場合も多い。

谷崎氏としては天秤座的な美を理想としながら、

正反対の牡羊座に惹かれるものがあったのかもしれません。

 

 

ちなみに、ナオミには実際にモデルがいます。

谷崎氏の元妻の妹で、映画化した自分の作品の女優として推すなど、

ずいぶん可愛がっていたそうです。

佐藤春夫と奥さんを巡る三角関係事件の原因となった女性でもあり、

彼女に振り回されていたようです。

この女性(和嶋せい子)の誕生日が

1902/3/26

牡羊座ァ・・・

もはや呪いのようですな。

ちなみに太陽と火星がコンジャクション。

死ぬほど気が強そうです。

ひょっとすると、この自我の強さが谷崎的ポイントだったのかもしれない。

 

まとめると・・・

痴人の愛』のナオミは、

実際のモデルを参考にしつつ、谷崎氏の理想の女性観を投影したキャラクターで、

牡羊座要素を持ちつつ双子座を足したような人物」って感じでしょうか。

そして語弊のある言い方をすれば、佐藤春夫もとい、佐藤春子(笑)

 

そういう感じで、たいへん楽しく読むことができました。

他にも谷崎氏の外国コンプレックスやら美醜観やら、

興味深いところは多々ありますが・・・

谷崎氏のホロスコープはホントに奥が深くて面白いです。

ただのドMで収まりきらない作品なので、ぜひ一度、

牡羊座・双子座・佐藤春夫を念頭に読んでみてください。

 

 

日本文豪についての傾向と理解

なんか受験対策本みたいなタイトルをつけましたが、

ホロスコープを見た人数も増えてきたので、

ここらでひとつ、日本文豪についてまとめてみたいと思います。

 

データのみなら50人以上集まっているので、

眺めていると、おおまかに傾向みたいなのが出てきます。

気づいたことを書き出してみると、

 

日本文豪の傾向

・太陽星座は山羊座魚座にかけてが多い。他、獅子座も多い。

 逆に少ないのは双子座、蟹座、乙女座。

・月星座になると牡羊座が多くなる。

・太陽星座以外にも水瓶座に重要な星が入っている人が多い。

 

概ね、こういう感じです。

総合的に見て水瓶座がやたら強い印象があります。

まず、夏目漱石森鴎外という明治の二大文豪がどちらも水瓶座ですし、

詩人界の大物である北原白秋水瓶座

太陽こそ水瓶座でないものの、志賀直哉高村光太郎菊池寛水瓶座が強くて、

現代なら村上春樹が水星・火星コンジャクションが水瓶座です。

 

山羊座の強い人も一定の数がいます。

とくに古典主義や自然主義は強い。

水瓶座が太陽でも、水星や金星は山羊座に入っているパターンもありますからね。

逆もまた然り。

 

そして、魚座にはあの芥川龍之介がいる。

戦前の文壇を支えた横光利一もいる。

また、やはり水瓶座に水星、金星が入っている人も多いです。

 

 

水瓶座がとくに強いのには、

日本近代小説の発展そのものに理由があるのかな、と考えたりします。

日本近代文学は「自分は何者か」ということを探る文学である、

と文アルで言っていたのですが、

自分を客観的・俯瞰的に見て、知的に分析する水瓶座は、

この目的に上手く合致しているのではないか・・・と思います。

ついでに自分のアイデンティティを求めるというのなら、

牡羊座が多いのも納得というか。

出生時間不明なので、何人か牡牛座月かもしれませんが。

夏目漱石なんかは牡羊座の月も含めてホロスコープそのものが

新しい時代の中の「自分探し」

という感じがします。

夏目漱石が日本を代表する文豪であることは、

実は、とても意義深いことなのかもしれません。

 

山羊座が強い人が多いのは日本人の性質って感じがしますね。

真面目というか、勤勉というか。

軽い読み物や娯楽のための小説って、とくに日本の古典では少ない気がします。

ユーモア小説や風刺が発達しなかったからでしょうか。

 

魚座に関してですが、

聞いた話では、日本はもともと魚座が強い国民性らしいです。

古代は卑弥呼の時代から目に見えない信仰を重んじる魚座的な政治。

奈良時代からすでに和歌が大流行。

行事でも宗教でも何でも取り入れて自分のものにしてしまう吸収性といい、

けっこう魚座っぽいです。

だから、魚座の文豪が好まれるのも、まあ分からなくもない。

全体を通して、精神的なものが好きなのかもしれない。

 

ちなみに、獅子座が多いのは詩人です。

とくに、叙情詩人に多い。

室生犀星三好達治立原道造と続いていくと、

なんとなく傾向が掴める気がします。

 

 

個人的には双子座や乙女座が少ないのが意外でした。

フランス文豪では、双子座はめっちゃ多いのですが。

射手座も心なしか少ないので、ミュータブルサインが弱いのかもしれません。

蟹座は・・・小泉八雲を日本文豪としていいかどうか悩んでます。

八雲さん抜いてしまうと、坪内逍遙さんしかいなくなってしまうのです。

そもそも、文豪の中に福沢諭吉を入れていいのかが謎。

入れていいのなら射手座の仲間がひとり増えるわけですが。

 

もちろん、日本文豪を全員調べたわけではないのですが、

人数が揃ってくると、ある程度傾向が見えて面白いですね。

 

文豪とホロスコープその32 梶井基次郎

梶井基次郎は日本の小説家です。

31才で亡くなったため、作品数は少ないですが、個性の強い作品が多いです。

「桜の木の下には死体が埋まっている!」(『櫻の樹の下には』)

という言葉は有名ですね。

代表作は『檸檬』『櫻の樹の下には』『Kの昇天』など。

文壇に認められた矢先に、結核によって亡くなります。

作品数は短編が20数個あるのみですが、

多くの作家たちから高く評価されています。

友人の三好達治に、自分の吐いた血をワインだと言って見せた、

などという話にもある通り、奇行が目立ちますが、

特に酒を飲むとひどかったらしい。

その狼藉の様子はwikiに詳しくあります。

 

自分が梶井基次郎を知ったのは、

万城目学さんの『ホルモー六景』という小説です(その中では通称もっちゃん)。

京都の三高時代の話でしたが、当時からかなり気に入った話でした。

もっちゃんは無骨で不器用だけど、そこが可愛らしいというか。

今でも梶井氏のことは心の中でもっちゃんと呼んでいます。

通学中、英語科の女子に一目惚れしてその場で英詩の頁を破いて渡す、

というエピソードが好きでしたが、まさかの実話だったんですね。

おかげで別の話でもっちゃんが出てくると、

キャラ違いによる梶井カルチャーショックを受けることになるのですが・・・

 

梶井基次郎(1901/2/17 出生時間不明)

太陽は水瓶座、月は水瓶or山羊座

ちなみに森鴎外と同じ誕生日です。

梶井氏は水瓶サインに金星も同居していて、けっこう強めなのですが、

海外も含めて、作家は水瓶座が多いです。

とくに近代小説は客観的な視点で物事を捉える傾向が強いのですが、

客観的思考はお手の物で、知的な見方をする水瓶座がやりやすいジャンル、

なのかもしれません。

反対に、ロマン主義作家や詩人には水瓶座が少ない気がします。

梶井氏も自己分析的な、知的な作風が特徴なので、

水瓶座らしさを発揮しているのだと思います。

水瓶座作家がなぜ客観的思考が得意か、

についてはまた別の話ですが・・・

 

水瓶座も強いですが、梶井氏の水星は魚座です。

この水星は、射手座の天王星、双子座の冥王星

ほぼゼロ度でTスクエアを作っています。

Tスクエアはスクエアの先端部(この場合は魚座の水星)が重要なのですが、

絡んでる天王星冥王星はかなり強烈だなあ・・・と思います。

水星と天王星のハードアスペクトは、かなりアクが強そうです。

かなりエキセントリックかつ奇矯な振る舞いをするというか。

天才と変人は紙一重、という感じです。

それに冥王星も関わってくるという。

梶井氏の奇人変人的な振る舞いはここに由来してくるのかも。

かつ、誰も彼のやっていることを理解できない。

それどころか、どうしてそんなことをするのか自分でも分からないかもしれない。

心境小説とも言われるような

彼の作品の独特の味はこのTスクエアが元になっているのでしょうが、

Tスクエアはかなりストレスが溜まりやすいので、

心身共に負担が大きいと思われます。

この場合、そこまで強い星でもない水星に負担がかかるという。

奇しくも彼の死因は結核でした。(水星は呼吸器・肺も意味する。

ついでにいえばスクエアの冥王星も肺を担当する双子座)

 

自分としては梶井氏の作品の魅力のひとつは、

生々しいほどの感覚的な表現だと思っているのですが、

乙女座の火星・山羊座木星土星のコンジャクション、

と、意外と地属性も多いです。

ですが、あの生と死を強く感じるような表現は

冥王星がらみのTスクエアかなあ、とも思います。

個人的に言えば『檸檬』は水瓶座及び風属性、

『櫻の樹の下には』は山羊座及び地属性、

で、表現にはTスクエアがどちらも強く絡んでる、というイメージです。

梶井氏の小説は面白いけれど解釈がちょっと難しいので、

ホロを念頭に置いて改めて読んでみると面白いかもしれないです。

 

 

文豪とホロスコープその31 三好達治

三好達治は日本の詩人です。

代表作は『測量船』『駱駝の瘤にまたがって』など。

 

大阪出身で、幼少期は病弱だったそうです。

陸軍士官学校に入りますが、北海道まで大脱走して退学。

その後、三高(京大)から帝国大学に進みます。

たしかこの辺りで萩原朔太郎の詩を読んで感動、

また、そこで友人の梶井基次郎に出会いました。

 

その後、萩原朔太郎に会い、師事。

朔太郎は見知らぬ人と会う時には三好氏に用心棒を頼むなど、

実に頼りにしていたようです。

また、朔太郎の妹であるアイに一目惚れします。

ですが、家族の反対に遭い、就職するものの会社が倒産し、

婚約は失敗し、それぞれが別の人と家庭を持ちます。

諦めきれなかった三好氏は彼女の夫の死後に再度求婚。

しかし、この結婚はあまり幸せな結果にはならなかったようです。

 

また、太平洋戦争の際には戦意高揚の詩を作ったとして、

戦後に批判を受けたこともありました。

詩から受けるイメージからすると、真っ直ぐ過ぎる人って感じでしょうか。

 

そういえば、

先日、買いました。『月に吠えらんねえ』。詩人漫画の。

あれを読んで三好達治氏の好感度が上がりました。

文アルの影響もあって、三好くんと呼びたくなります。

『月吠え』は文豪漫画の中では、今のところ一番気に入っています。

もともと自分、萩原朔太郎好きですしね。

ちょっと内容は病んでますが、おすすめです。

 

三好達治(1900/8/23 出生時間不明)

太陽は獅子座で、月も獅子座。

めっちゃ熱い。

ご本人はどういう方だったかよく知らないのですが、

文アル、月吠の三好くんのイメージにはぴったりです。

純粋で、熱血漢で、やや単純で、頑固で持論は絶対に曲げない感じ。

ていうか、全体で火のエレメントが6つです。

風は大惑星で、地はゼロ。辛うじて水の蟹座に金星と火星。

真っ直ぐなのは良いんですが、たまに熱くなりすぎそうっすね・・・

たまに、思い込みや理想が強すぎて現実ばなれしてしまったり。

自分の尊敬している師匠である朔太郎の作品でも厳しく批評したり、

朔太郎の妹さんを巡るあれこれを見ても、

そういう傾向があったのかなあと思います。

 

三好氏の詩は、自然を見ても人を見ても、

自分で受けたイメージを言葉にしている、という感じですね。

叙情的だと評判ですが、

叙情の意味が自分の感じたこと、思ったことをそのまま言葉にすることだったら、

もっとも純粋な叙情詩人と言えるのではないでしょうか。

ぱっと一瞬の感じを掴みとるなら、火属性ほど向いているサインもないでしょう。

ただし、感じや思いはすぐ消えてしまうので、

代わりに、思想や意味が掴みにくい。

地のエレメントがないことも影響しているのかも。

三好氏の詩の中に『砂の砦』という詩がありますが、

まさにそういう感じ。

ちなみに、敬愛する師匠の萩原朔太郎蠍座で、正反対のタイプです。

どちらかと言えば三好くんの詩は、同じく獅子座の室生さんの方に似ている。

さらにいえば、朔ちゃんと室生さんの師の白秋先生は水瓶座で、

それぞれ、まったくタイプが正反対なのが面白いですね。

というか、日本の詩人は不動宮多いですね。

 

さて、色々と批評の厳しい戦中詩のことに少し。

当時の風潮とか事情とか空気とかがあってのことなので悪いとは言えないのですが、

戦争に積極的に協力した、と言われている作家さんの中に、火属性が強い人がいます。

とくに獅子座。

獅子座は正義を重んじる火のエレメントで不動宮です。

不動宮は自分のテリトリーを大事にするところがあって、

獅子座も例外ではなく、自分の周りの人間や、所属する組織や、

生まれた国を守ろうとする。

だから、祖国の勝利や正義を純粋に信じて、

そういう詩や小説を発表したのかなあ、と思います。

論じるにはちょっと難しい問題ですが、

彼らには彼らなりの信念や正義があったのだと思います。

それが客観的に正しいか正しくないかはともかくとして。

しかし、獅子座にとって「客観的」というのは、一番遠い言葉でしょうね。

 

 

文豪とホロスコープその30 川端康成

川端康成は日本の小説家です。

日本人の文学者で初のノーベル賞を受賞した作家でもあります。

代表作は『伊豆の踊子』『雪国』など。

 

川端氏は自伝や随筆も多く残していて、

経歴やエピソードがWikipedia等にこれでもかというほどに載っているので、

興味深いものだけ紹介します。

 

・孤独な幼少期

子供の頃に次々と肉親を亡くし、

最後に残った祖父も学生時代に亡くしてしまいます。

肉親がいないという孤独感や周りからの同情、とくに母親に対する憧れは、

川端氏の文学にも強く影響しています。

 

・無口なわりに、意外と社交的。

無口で眼光鋭く、人の顔を凝視する癖があったといいます。

その眼光で泥棒の他、家賃を受け取りにきた下宿のおかみさんも退散させた、

初対面の女性を泣かせた、など伝説には枚挙に暇がない。

ちなみに、けっこうマイペースで天然なところもあったらしく、

女性を泣かせてしまった後に川端氏本人も驚いていたそうです。

けれど、決して人付き合いが悪いわけではなく、

親切で人の面倒をよく見ていたそうです。

文学者同士の付き合いも積極的で、後輩や新人の文章指導も熱心に行っていました。

友人では横光利一梶井基次郎、後輩では三島由紀夫と特に親しかったそうです。

 

・非常に濃ゆい愛

とくに若い頃は同性愛の傾向があったそうです。

学生時代に寮で同じ部屋になった後輩の清野くん(男)への手紙は有名です。

また、老年になってからは古美術の収集に熱中して、

気に入ったものは何時間でもじっと見つめていたそうです。

ただし、お金には無頓着で、

お金を払わずに品物を黙って持っていってしまうこともあったらしい。

 

・・・と、いくつか紹介しました。

なんともとらえどころのない人ですね。

無口だけれど社交的で、どこか浮き世離れしているような。

そんな川端氏は長編・短編・随筆と多数の作品を書き、

作品傾向も次々に変化していくことから、

「奇術師」の異名を取ったそうです。

ちなみに、ノーベル賞受賞のスピーチでは「日本の美」について語り、

『山の音』は海外でも評価の高い作品となっています。

 

川端康成(1899/6/14 出生時間不明)

太陽は双子座、月は獅子座or乙女座。

 

たしかに、様々に変遷していった作風は双子座らしいのかもしれない。

意外と社交的なところとかもね。

そういえば、日本は双子座の作家が少ないですね。

主立ったところでは川端氏と太宰治しか知らない。

にしても、この二人って・・・(芥川賞受賞でもめた)

 

さらに川端氏のすごいところは、

この太陽が双子座で水星、海王星冥王星とコンジャクションしているところです。

双子座の太陽と水星って、

単純に解釈すれば一番作家として優れているとも考えられますよね。

さらに、川端氏のどこか不思議な世界観や死生観は、

この海王星冥王星と関わりがあるのかもしれない。

もっといえば、川端氏の無口だけど社交的という性質も。

双子座の太陽と水星は、本来とても社交的で明るいイメージがあるのですが、

それが海王星冥王星に影響されてしまっているのかも。

マイペースで天然なところは海王星

無口で眼光が鋭いというのは冥王星っぽいですね。

さらに、射手座の土星オポジションしているところも拍車をかけているのかも。

 

月は獅子座か乙女座か不明ですが、

火星とコンジャクションし、天王星、金星とスクエアしています。

月は幼い頃の家庭も表わしますが、

天王星は人間関係を切り離す、破壊する意味があるので、

別離や分離、時には一家離散も意味することがあります。

さらに、金星のスクエアということは、

他者からの愛に飢えている経験がある、愛されたいという欲求につながります。

やっぱり、幼少期のことが強く影響しているのかもしれません。

川端氏の作品、たとえば『伊豆の踊子』や『雪国』には

女性との恋愛が強く関わることが多いと思うのですが、

この孤独感が根になっているのかも。

 

ちなみに、川端氏の金星は牡牛座です。

牡牛座は価値あるものを好みますが、

これは晩年の古美術愛好を思い出します。

また、川端氏の文章は自然や季節の描写が巧みだなあ、とも思うので、

金星の影響が強いのかなあ、と思います。

収集癖があったというので、月は乙女座?とも思いますが。

乙女座は他の地属性よりもコレクター要素が強い気がします。

 

双子座が強い作家は構成と人物描写が巧みで文章そのものが上手いので、

誰が読んでも楽しめると思いますが、

とくに地属性の強い人に川端氏の作品はおすすめできると思います。

 

 

文豪とホロスコープその29 横光利一

横光利一は日本の小説家です。

本名はとしかずですが、作家としてはりいちと読みます。

独特の表現を使うことから新感覚派と呼ばれ、特に戦前の日本を支えた文豪です。

代表作は『蝿』『日輪』『機械』など。

 

新感覚派というのは、一例をあげると、

特別急行列車は満員のまま全速力で駆けていた。沿線の小駅は石のやうに黙殺された」(『頭ならびに腹』冒頭)

のような、擬人化と比喩を使った文学、だそうです。

文アルの説明文では「無機物を擬人化するような不思議な表現」と書かれていますね。

 

父親が鉄道技師だったこともあり、小さい頃はあちこちを転々としていたそうです。

15才くらいから家族を離れて下宿。

このころに文学を読み始め、小説家を志望し始めたそうです。

その後、親の反対を押し切って早稲田に入学。

文学に傾倒し、雑誌に投稿をはじめる。

その後、師匠である菊池寛と、菊池氏に紹介された川端康成に出会います。

菊池氏は「あれはえらい男だから友達になれ」と川端氏に言ったそうです。

さすが、人を見る目がある。

菊池氏の紹介もあり、有名作家への道を歩んでいきます。

 

横光氏は独特なレトリックや「文学の神様」と呼ばれたこともあって、

とにかく大物なイメージがありますが、

とくに大学時代はけっこう荒れていた模様で、

学校にはほとんど行かず、長髪で和服の上にマントを着けていた、

部屋に閉じこもって小説を書き、過度の喫煙をしていた、

とかなんとか。

まさかの不登校の上にロン毛&マント、そして引きこもりと煙草。

なかなかのギザギザハートに思わず(笑)。

文アルの理知的なイメージからすると、少し意外な・・・

また、ペンネームを一時期、横光左馬(さま)にしていた時期があります。

「これならいつでも人から敬称されている」と言っていたそうです。

鼠先輩と同じ発想です。

やっぱり尖ってて面白い(笑)

 

 

横光利一(1898/3/17 出生時間不明)

魚座の太陽、山羊座の月。

太陽は魚座の水星、牡羊座の金星とコンジャクションです。

魚座の太陽・水星コンジャクションは芥川龍之介と同じです。

新感覚の秘密はここにあるのかもしれません。

無機物をあたかも生物のように比喩するというのは、感情タイプの水らしいです。

感情タイプは感情移入すれば、何もかも自分自身のように感じられるし、

魚座にとっては人や物という境界線もありません。

または、山羊座の月が良い仕事をしているのかも。

その比喩が人物描写や心理表現ではなくて、もっぱら物に使われているのが、特に。

 

さて、横光氏の金星は牡羊座です。

牡羊座の金星はデトリメントであまり居心地が良くないのですが、

けっこう面白い出方をします。

横光氏の大学エピソードは、自己主張が強い牡羊座金星らしいです。

また、牡羊座の金星はファッションセンスが極端で、

無頓着か、妙にスタイリッシュ(笑)のどちらかだそうです。

横光氏が金星の年齢域だった大学時代に荒れていたことは前述したとおりですが、

ロン毛にマントです。

なかなか攻めのセンスから推測するところ、

横光氏はスタイリッシュ(笑)派のようですね。

ちなみに、同じ牡羊座金星の芥川龍之介は無頓着派の模様。

 

横光氏には他に、上海やヨーロッパを旅行して書いた小説(『上海』、『旅愁』)がありますが、

海外に関わり深い射手座には土星が、その対岸の双子座冥王星があります。

これらの小説が文明批評を含んでいるところが面白いなあと思います。

旅の最中、東洋という劣等感を感じたと言いますが、

その劣等感の中からこれらの小説ができたのかも、とも思います。

 

横光氏は例えば川端康成らに比べると一般にあまり知られていませんが、

なかなか面白いホロスコープの人だと思います。