文豪とホロスコープ

星占い&読書好きが主に古今東西の文豪のホロスコープを見ていきます。ほか、読書感想や星占い関連について、日々のつれづれなど。

蠍座作家について

蠍座作家は「謎」が好きです。
推理小説怪奇小説などに惹かれる人も多いようです。
この謎には人間の心――深層心理も含まれます。
夜とか生とか死とかが象徴になることも結構あります。
愛ならば一途で重いほどの純愛です。
特に、蠍座には恐怖や欲望という感情が深く関わってきます。
推理小説でも恐怖を与えるような書き方だったり、
犯人の動機や心理に焦点を当てるのは蠍座らしいなあ、と思います。
恐怖や欲望は人間の一番原始的な感情というか本能で、
一番強いものだからでしょうか。
あとは、海外の作家では宗教心の強い人も見られます。
ドストエフスキーの『罪と罰』の終わり方は
蠍座ならではかなあ、とも思います。


蠍座の作品は濃厚なものが多いです。
文量が純粋に多かったり、緻密な描写や設定に支えられていたり、
読み応えがあります。
ドストエフスキーなんかは描写が濃すぎて疲れますが。
書き味は重量のある人もいれば、軽い人もいます。
しかし、たとえ一見軽かったとしても、
深読みすると、怖いくらい鋭いことを言っているということがあります。
ミヒャエル・エンデとか児童文学なのに怖いです。
蠍座は堅実な実力派という感じです。


蠍座は性と死に関係するとよく言いますが、
描写はあまり、期待するほどエロくないです。
そこはかとなく色気があったり、夜の匂いがするということはあります。
ただし、踏み込むときはかなり奥まで踏み込みます。
そこまで書くか、というくらい。
それでも安っぽくならないあたりが蠍座のすごさなんだろうなあ、と思います。


主な作家
・太陽
ドストエフスキー、ストーカー、スティーブンソン、ジッド、泉鏡花萩原朔太郎カミュ織田作之助、エンデ
・月
ヴェルヌ、ルルー、チェスタートン、スタインベック坂口安吾中原中也中島敦
・水星
フロベール、トゥェイン、スティーブンソン、ワイルド、ジッド、萩原朔太郎江戸川乱歩坂口安吾織田作之助
・金星
コンラッド、ウェルズ、萩原朔太郎、クリスティ、グリーン

 

蟹座作家について

蟹座の守護星は月です。
月はその人の感情、女性性、家庭環境などを表わします。
そのせいか、蟹座の作家は
母なるもの、自分を保護するもの、自分を形成しているもの、
などに惹かれる傾向があるようです。
母親や家庭、時には父親に対してコンプレックスを持っていることもあります。
わかりやすい例ではヘッセ、カフカ太宰治(月金星蟹)あたりです。
なんとなく、蟹座が強い作家は、母親っぽいというか、
女性らしい女性が好みなんだろうなあ、と読んでいて思います。


自分の生まれ育った土地や国に対して愛着を覚えている人も多いようです。
社会は基本的に山羊座の担当ですが、
ご近所づきあいレベルの地域社会はむしろ蟹座っぽいなあ、と思います。
ルールではなく、感情で繋がっている連帯性ということです。
パール・バックホーソンなど読むとよく分かります。
そもそもアメリカという国そのものが蟹座っぽいのですが。
ところで、ヘミングウェイオーウェルも蟹座ですが、
どちらも内乱を題材にした文学を書いています。
蟹座は意外と闘志のある星座で、とくに守るための戦いに関連します。
そういう意味で、民衆対政府の内乱を描くというのは、
蟹座らしいなあ、と思いました。


蟹座は生き生きとした生活を書くことに天分があるようです。
乙女座も日常を書くことに才能がありますが、
どちらかといえば蟹座は、そこにくっついてくる感情が大事なのだろうと思います。
何をしたかではなく、何をしてあげてどう思ったか、とか。
一見ぶっきらぼうですが、繊細な感性とセンチメンタルさを持っています。
ヘミングウェイとか典型的です。
主人公の心理描写が多大に盛り込まれるので、
共感できるかどうかで面白さが変わるなあ、と思います。
主人公は傷つきやすくて優しい人が多いので、
けっこう感情移入も簡単です。


主な作家
・太陽
ホーソンサッカリープルースト、ヘッセ、カフカパール・バックヘミングウェイサン=テグジュペリオーウェル
・月
フロベールモーパッサン尾崎紅葉、ジッド、トーマス・マン永井荷風江戸川乱歩太宰治
・水星
デュマ・ペール、サッカリープルースト
・金星
バルザックサッカリー、ルルー、ヘッセ、パール・バックサン=テグジュペリ三好達治太宰治

 

水瓶座作家について

水瓶座作家は人数が多いです。
現時点で210人中28人。牡牛座の倍以上います。
そのためか、大物も多いです。
スタンダールディケンズ森鴎外夏目漱石サマセット・モームジョイスなど。


水瓶座は未来志向で不思議ちゃんと言われますが、
作家にもその傾向が見られます。
SFの先駆者であるコナン・ドイル(月水瓶)、ヴェルヌやウェルズ(月水瓶)、
新しい手法を試したジョイスヴァージニア・ウルフ
独特な世界観のホフマンやキャロルや梶井基次郎など。
水瓶座は各個人で自分の世界を持っている人々ですが、
そのため、個性があることが水瓶座らしいと言えるのかもしれません。


水瓶座の作品で、
自由や平等を扱ったものがけっこうあるなあ、と思います。
多い例では自由恋愛、身分差の恋。
モームの短編やコレットの『青い麦』、有島武郎の『或る女』、
中野重治プロレタリア文学とか。
革新主義というか、自由のために筆で戦うあたりは
水瓶座らしいなあ、と思います。


水瓶座の文章はわりとクールです。
客観的に見て、冷静に自分の意見を述べることが上手いです。
たとえ主人公でも入れ込みすぎず、距離を置いているため、
簡潔で不要なものがなく、わかりやすくシンプルな文章となります。
典型例は小説の神様こと志賀直哉(水星火星水瓶座)。


水瓶座作家は世界的に見ても多いのですが、中でも日本人の水瓶座率は高いです。
それは明治時代以来、文明開化の影響で、
家や藩ではなく個人として生きなければならなくなったから、じゃないかなあ、と思います。
人として、個人としてどうやって生きるべきか、
その悩みを一番考えて、悩みつつ答えを出したのが
水瓶座なのかなあ、と思います。


主な作家
・太陽
スタンダールディケンズ、ヴェルヌ、キャロル、森鴎外夏目漱石コレットモーム北原白秋井伏鱒二梶井基次郎
・月
オルコット、コナン・ドイル、ウェルズ、夢野久作
・水星
スタンダール夏目漱石高村光太郎志賀直哉井伏鱒二スタインベック中野重治
・金星
スタンダール、ハイネ、有島武郎高村光太郎石川啄木井伏鱒二梶井基次郎

天秤座作家について

天秤座の作家のテーマはずばり「美」です。
耽美派のワイルド、谷崎潤一郎(火星木星天秤)、江戸川乱歩あたりが代表で、
他にも芸術家肌だったり、美しい文章を書く傾向にあります。
ただし、完全完璧な美よりも、醜さと隣り合わせの美を好む人も多いです。
ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』や谷崎潤一郎の作品はその典型ですね。
美はそれ単体では存在しえず、裏に醜さがあるもの、という。
太陽天秤座にとっては蠍座が隣にあることも影響しているのかもしれません。


もうひとつのテーマは「正しさ」かなあと思います。
この正しさは社会的な正しさなら正義になりますし、
客観的正しさという意の真実にも、
人としての正しさという道義にもなります。
美しさというのも形式的な正しさなわけですし。
冷静なわりに、けっこう正義感が強い人が多いようですね。


天秤座の文章は上の二つの特徴を兼ね揃えています。
天秤座作家の書いた文章は美しくて正しい。
言葉の選び方のセンスが抜群に良いためだと思っています。
論理的に正しい文章を書くことを心がけていて、
どちらかといえばノリや感情というよりテクニックで書く人々です。
文章の綺麗さでいえば一二星座で一番でしょう。


天秤座といえば人との交際に関連する星座ですが、
実際に人に恵まれる作家も多いようです。
華々しい社交生活や身近な人との付き合いの中に作品の題材を得る人も多いようです。
文章でも、景色や社会背景を描くよりも、人物描写をする方がずっと多いです。
フィッツジェラルドとかカポーティは登場人物が使う言葉遣いひとつで
その人柄を表わしてしまいます。
天秤座の人物評は的確で面白く、さすがだなあ、と思います。

 

主な作家
・太陽
ワイルド、正岡子規江戸川乱歩フィッツジェラルド、フォークナー、坂口安吾カポーティ
・月
シェイクスピア、スウィフト、オースティン、ハイネ、クリスティ、カポーティ
・水星
O・ヘンリー、国木田独歩、クリスティ、フィッツジェラルド
・金星
ワイルド、正岡子規国木田独歩泉鏡花永井荷風江戸川乱歩、ミッチェル、小林多喜二カミュ織田作之助

双子座作家について

双子座は語り(テリング)の名手です。
読んでいてすっと頭に入ってきて、会話文が上手く、
口で話しているのを、そのまま聞いているような感じがします。
芸術というより、純粋な読み物としての面白さでしょうか。
純文学というよりも大衆文学です。
民衆的、庶民的。
堅くるしくなくて接しやすい。
同じ水星が守護星でも、双子座は話術、乙女座は文章を担当すると聞いたことがあって、
なるほどなあ、と思います。


双子座といえば随筆が面白いです。
語りが上手いためか、純粋に文章が面白い。
トーマス・マンカフカ(月水星双子)やオーウェル(水星双子)や織田作之助土星双子)など、
洒落や言い回しや用語に異様にこだわりの強い人も多い。
また、口述が得意で、
ドストエフスキー(月双子)が〆切間際の小説を口述で間に合わせたとか(しかも借金のカタ)、
太宰治がやはり〆切直前に二〇分で口述したものを載せた(『フォスフォレッスセンス』)とか、
その前に〆切守れっつー話ですが。


双子座の特徴はフィクションが上手いことです。
思考力の賜物か、全く自分とは違う考えや経験を持った人間を創造することも得意です。
シェイクスピア(金星双子)、バルザック木星双子)、オースティン(木星双子)など、
ひとりひとりの人間を生き生き書け分けるのは、双子座らしいなあ、と思います。
同時にひたすら自分語りをすることが大好きな星座でもありますが。


双子座はなぜか推理作家が多いです。
コナン・ドイルやチェスタートン、
ちょっとマイナーだけどセイヤーズなど。
面白いストーリーと豊富で奇抜なアイディアが魅力の作家が多いようです。
双子座中心の大作家は思った以上に多くはないのですが、
面白い作品を書く人には入っていることの多い星座です。


主な作家
・太陽
コナン・ドイル、チェスタートン、トーマス・マン川端康成、ラディゲ、太宰治サルトルサガン
・月
ホーソンサッカリードストエフスキー田山花袋カフカ、C・Sルイス、司馬遼太郎
・水星
小泉八雲、ヘッセ、カフカ川端康成オーウェル、ラディゲ、太宰治サガン
・金星
シェイクスピアカフカ谷崎潤一郎室生犀星佐藤春夫

 

山羊座作家について

山羊座の作家を並べてみると、やたら貫禄があります。
E・A・ポー、尾崎紅葉菊池寛堀辰雄サリンジャー三島由紀夫ウンベルト・エーコなどなど。
なるほど、その道の一流が多い。
たとえ通俗小説だったり、題材が世俗的だったとしても、
軽佻浮薄の娯楽小説という感や、浮ついたところが全く感じられないのは、
さすが山羊座といったところでしょうか。
内容も真面目なものが多いですしね。
山羊座はこだわりが強く、自分の作品を一流の芸術作品として作り上げる傾向があるようです。
描写の力強さ、時にえげつないほどの写実さは
十二星座ナンバーワンだと思います。


この描写力にも関係することなのですが、
山羊座の作家が書く作品は時にグロテスクだったり、悲惨だったり
もちろんフィクションなのですが、
それがあたかも現実にあったことのように思えるのが山羊座の力なのかなあ、と思います。
E・A・ポーや夢野久作という怪奇小説は現実を超越していますが、
怖い話が怖いのは、本当にありそうと思うからこそなのでは、と思います。
本当にあった怖い話は、本当にあったから怖いわけで。
ポーの『黒猫』や『告げ口心臓』が怖いのはそういう理由なんでしょう。
山羊座はその現実主義ゆえか、現実の経験を下敷きにする作家も多いようです。
菊池寛は小説は25才になるまで書くべきではないと言っています。
また、ファンタジーでも現実的なトールキンの世界観も面白いです。


あとは、古典や美しさにこだわりが強い人が多いなあ、と思います。
尾崎紅葉三島由紀夫など古典主義の人々、
北原白秋(水星金星山羊)や萩原朔太郎(月山羊)のように言葉の美しさを求める人、
堀辰雄のように生き方に美しさを求める人などなど。
山羊座はなんとなく日本人が多いです。
とくに尾崎紅葉は戯作だった小説を芸術にまで高めた人ですが、
日本的な美と山羊座らしさは一致するところがあるなあ、と思います。
そういえば弟子の徳田秋声(水星金星山羊)、田山花袋(水星山羊)、
泉鏡花(火星山羊)と、山羊座関係が多いですね。


ちなみに、山羊座について不思議な現象があって、
作家で一番多い太陽星座は水瓶座ですが、
水星で一番多いのは山羊座です。(いまのところ)
太陽水星山羊座も多いのですが、
水瓶座の太陽で山羊座の水星という人が多い。
水瓶座は考えることが得意なのですが、それを形にすることが苦手と言われています。
思想や構想を形にする力があるというのは、
山羊座の持つ強みたりえるようですね。


主な作家
・太陽
E・A・ポー、尾崎紅葉菊池寛夢野久作トールキン堀辰雄サリンジャー三島由紀夫
・月
ジョージ・エリオットコレット萩原朔太郎、チャンドラー、横光利一ヘミングウェイ
・水星
ディケンズチェーホフ徳田秋声田山花袋モーム与謝野晶子北原白秋、老舎
・金星
ドストエフスキー、オルコット、夏目漱石、ジッド、志賀直哉北原白秋

 

乙女座作家について

乙女座作家を見ていて思うのは、自然が大好きだなあ、ということ。
題材に自然を取り入れるのはもちろん、自然の描写が巧みだったり、
重要なシーンが自然を活かして描かれることも多いなあ、と思います。
たとえばゲーテファウスト』の復活祭のシーンとか。
自然というのは花鳥風月や草木はもちろん、
人間と自然、人工と自然という対比も出てきます。
人間は所詮、雄大な自然の中のごく一部でしかない、ということを
乙女座の文学を読んでいると実感します。


乙女座は日常を大事にする人々です。
それは地属性全体に言えることですが、
とくに乙女座の作品や詩では、
ささやかな日常とそれに付随するささやかな悲喜こもごもが
肯定的に描かれていることが多いように思います。
小説は大事件が起こってこそ、という人もいますが(特に火属性は)、
さりげない日常の中にこそ大事なものはある、
と乙女座は伝えてくれているように思います。
大事件が起こっていないのにちゃんと面白い作品というのは、
けっこう凄いことなのでは、と思います。


乙女座は、ただ自然が大好きで日常を大切にするわけではありません。
私としては本当に不思議なのですが、
乙女座には独自のドライさ、シビアさがあります。
本を読み進めていて、衝撃的な出来事がさらっと起こり、
いきなり突き落とされたような感じがする時があります。
しかも劇的に、センチメンタルに語るのではなく、
本当にごく当たり前のこととして語ります。
クリスティとかスティーブン・キングとか顕著です。
大自然の中で当然のことですが、
弱いものは強いものに殺され、食べられます。
これは悲劇でも何でもなく、当たり前の食物連鎖です。
宮沢賢治の童話『やまなし』で唐突に魚が鳥に食われたりしますが、
この唐突さは、そういうのに似ています。
地属性としての現実主義の現われ方なのかなあ、と思います。
私としては乙女座の要素がひとつもないので理解が難しいのですが・・・


乙女座の文章はこざっぱりしていることが多いです。
守護星が水星のためか、必要なことを最低限の短い言葉で、
物事や感情の細部まで的確に表現します。
飾り付けは少ないものの、その分意見や伝えたいことがわかりやすい。
地星座らしく、観察眼が鋭いので、これを書けば伝わるという、
肝心要を取り出すのが上手いのだろうなあ、と思います。
O・ヘンリーの短編やグリーン(水星乙女)とかが典型ですね。
官能的な表現も見られますが、
どちらかというと初心というか、少女マンガっぽい。
と、D・H・ロレンスを読んでいて思いました。
神は細部に宿り給う、という言葉がありますが、
乙女座の文章はそれを思い起こさせます。
牡牛座の作品が芸術品ならば、乙女座は匠の職人技って感じです。


主な作家
・太陽
ゲーテ、メアリ・シェリー、トルストイ、O・ヘンリー、ウェルズ、国木田独歩、D・Hロレンス、クリスティ、宮沢賢治
・月
スタンダール森鴎外モンゴメリ石川啄木室生犀星佐藤春夫堀辰雄織田作之助
・水星
トルストイ、ウェルズ、D・Hロレンス、宮沢賢治、グリーン、カポーティ
・金星
ゲーテモーパッサンプルースト宮沢賢治立原道造